第105話 学力試験(二)
受験番号を変更しました。
師匠に火属性と時空間属性だけにしろって言われてたんだった。
サンドブラストは土属性じゃない。
生活魔法なんだ!
「ちなみに、あの魔法、生活魔法って信じる奴いないと思うぞ」
「ああっ……」
思わず俺は膝から崩れ落ちて、手を着いてしまった。
「ふうん、何かあるのか?」
俺は首を横に振った。
「まあ、いいや。そこは追及しないでおこう。次の会場行こうぜ」
タビー、いい奴!
次の実技の会場は第一実技棟だった。
ここは武術系の実技用の棟みたい。
先のグループが試験を受けてる様子を見る。得物は何を使ってもいいみたいだけど、圧倒的に剣が多い。
剣を使えないとダメって言ってたからな。
「打ち合いか~俺、盾を装備して片手剣で戦うスタイルなんだよな。盾を装備してる奴、いないな……」
「腕に小盾をつけるの?」
「そう。盾で受けて崩して攻撃って感じだな」
「へえ。僕は短剣のほうが得意なんだよね。剣は上達しなくて」
「俺も、盾を装備しないと話にならない腕なんだよ」
「え、そういうものなの?」
「まあ、これはスキルとかいろいろなもののせいらしいんだけどな」
「そっかー僕は剣術のスキルが生えなくて。やっぱり才能ってあるよね」
「うん。それはある。でもいいじゃないか。ルオは魔法の方、重視だろ?」
「あ、うん。多分」
「多分?」
「僕、戦うよりいろんな物作っている方が好きなんだー。あ、ダンジョンでは魔法メインで戦ったかな?」
「ダンジョン!?」
「うん。うちの領地にあるんだ」
「ええ~いいな~ダンジョン行ってみたい」
「そう? 暗いし、魔物だらけだし、いまいちだと思うけどなあ」
「それは行ったことがあるからなんだよ。行ったことないから行ってみたいんだ」
「まあ、それはそうか。王都にはダンジョンてあるのかな?」
「ないな。隣領まで行かないとない」
「よく知ってるね」
「俺は王都住まいだからな。そういえば、ルヴェール領は遠いんだろう? 寮に入るのか?」
「ううん。師匠が王都にタウンハウスを持っているから、そこにお邪魔して通うんだ」
「師匠? 武芸のか?」
「錬金術だよ。師匠は錬金術師なの」
「錬金術!? へえ……じゃあ、ポーションとか作るのか?」
「そうだよ! 瓶も作るよ!」
「瓶も?」
「ポーションとポーション瓶は切っても切れない間柄だからね!」
「ん? んん? そ、そういうものなのか?」
タビーは首を傾げて不思議そうにして俺を見る。
「そういうものなんです」
ポーション瓶に入ってないポーションは偽物だから!
「33番!」
あ、呼ばれた。
「行ってくる」
「頑張れ!」
タビ―に手を振って、呼ばれた場所に行く。
審査官と思しき資料を持っている人、剣を持っている人、審判らしき人と三人いる。
「それではこれからこの試験官と打ち合ってもらいます。勝負とかにこだわらず、普段鍛錬している成果を出してください。模擬戦ですので、こちらの木でできた武器を使ってもらいます。基本剣ですが、得意武器はありますか?」
「片手剣でお願いします」
何本かある片手剣(木製)を振って一番しっくりするものを選んだ。
床に一メートルほどの間隔で二本の線があり、そこに立つ。
その間に審判が立つ。
「お願いします」
「お願いします」
お互い声をかけあうと審判が片手をあげて、振り下ろした。
「始め!」
剣は弟に比べると平凡だが、多少の目は利く。例えば、足さばきだったり、力を入れた筋肉だったり。
それを見切って動くと、不思議と避けられる。
躱すばかりじゃ勝てないけれど、試験だからそれでいいはずだ。
でもそろそろ、攻撃を仕掛けないと点が辛そう。
半歩相手が後ろに下がった瞬間剣を突き出す。それを軽やかに弾かれて、試合終了。
「それまで!」
「はあ、はあ……ありがとうございました」
「いい動きだった」
こちらの言葉に満足げに試験官は頷く。俺は剣を置いてさっさと、タビーの元へ戻った。
「動きはよかったよ。攻撃がもう少し、なあ」
「それは俺も思う」
「38番!」
「お、呼ばれた。行ってくる」
「頑張って!」
タビーは俺と同じ片手剣と、丸い小盾を装備した。
盾を装備すると、雰囲気が変わる。
試験官もそれがわかったのか、表情を引き締めた。
打ち合いが始まった。最初は剣を避けていたがだんだんと盾で受ける回数が増えた。
そして、剣を盾で弾くと相手がよろけた。その隙を狙って剣を振るが、残念ながら剣は止められてしまった。
「それまで!」
「やっぱり勝てなかったな」
「あれスキル? 盾で弾いたの」
「おお、わかったのか? そうだよ」
「攻防一体の盾術。かっこいいね」
俺がそういうとタビーは顔を逸らした。
「ま、まあな! 盾はかっこいいんだよ」
ちょっと声が上擦っていて、耳が少し赤かった。
試験は全て終わって、帰る時間になった。
「同じクラスになるといいな!」
タビーは笑顔で言ってくれた。
「うん!」
「じゃあ、また入学式で!」
「また!」
タビーと別れて、車寄せに向かった。
スピネルが待っていた。
「試験はどうでしたか?」
扉を開けてくれながら、スピネルが聞いてくる。
「頑張った! 多分、そこそこの成績だと思う」
俺は馬車に乗り込みながら報告をした。
「それはようございました」
「入学式が楽しみ」
スピネルは微笑んで扉を閉めた。
俺、友達ができた! 初めての友達じゃない?
もっと、友達ができるかな?
ああ、学院が始まるのが凄く楽しみになってきた!
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