第258話 大召喚コインの存在
アリアの王城、玉座の間。そこでデリラはアリアに拝謁することが叶った。
「新たなる竜王様にご挨拶を申し上げます。私は前竜王ダイヤの娘、デリラです。お会いできて光栄です。」
デリラはそう言ってアリアの前に跪く。
「初めてましてですわぁ!大王国エリシュオンの王のアリアです。母国がなくなり、さぞ大変だったことでしょう?我が国でよろしければゆっくりとお休みになってください!」
アリアは無垢な笑顔を向けてそう言った。
「ありがとうございます。私は我が国を滅ぼした憎き大王バーバルと共に立ち向かうために新たなる竜王様であるアリア様の下に馳せ参じた次第です。」
「まぁ!それは頼もしいですわぁ!!これからよろしくお願いしますわぁ!」
アリアはそう言って玉座から立ち上がってデリラの元に歩く。そして握手のために手を伸ばした。
「えぇ、よろしくお願いしま…えっ。」
デリラは頭を上げて、差し出されたアリアの手を取り握手をかわす。
握手をした途端デリラの顔が固まった。
「どうかしましたぁ?」
驚いた顔で固まってしまったデリラを心配したアリアが心配そうにデリラを覗く。
「し、失礼ですが、何か召喚系のお力をお持ちですか?」
デリラは召喚の天性の才能を持つ。そしてその才はアリアから強力ななにかを感じ取った。
「えっ?あぁ、持っていますわぁ!」
アリアは迷宮で手に入れた召喚のスキルのことだと思い、肯定した。そして、召喚のスキルでアリアの掌に小さなネズミの魔物を呼び出して見せる。
「いや…そんな程度の力ではありません。この出鱈目な力はいったい…?」
デリラはアリアの力を見るが、頭を振って否定する。デリラが感じている力はその程度の力の話ではない。
「えー?あっ!もしかして、これかもしれませんね!」
アリアはそう言って小さなネズミを肩の上に移動させて、空いた手でポケットから一枚のコインを取り出した。
「こ、これは!!?」
「大召喚コインですわぁ!死の迷宮で見つけましたの!」
アリアはそう言ってデリラに自慢げにコインを見せる。
デリラは大召喚コインに目を奪われる。
コインから感じる強大な魔力。内包される理解することもできない術式。
圧倒的なオーバーパーツ。
そして、確信する。
この媒体さえあれば、悲願である死龍イータルを召喚することができる!
迷宮の防御を突破できるかどうかは詳しく調べてみないとわからない。
だけど、これほどの媒体があれば、生贄なども必要なく召喚自体は問題ない。
ほしい。あの大召喚コインがほしい!
「これはどうにもならなくなったときの最終手段ですわぁ!まぁ、今はお守り見たいな感じになっていますね!」
「そ、それはそれは。失礼しました。あまりにもすごい品物だったため呆けてしまいました。」
「ふふん!いいでしょ?」
アリアはそう言って大召喚コインを頬につけて屈託な笑顔をデリラに向ける。
デリラはイラつきを抑えて、笑顔を見せる。
「さて、私も手ぶらで来たわけではありません。私には魔王ミンクを世界大同盟に誘致する準備があります。」
「えっ!?本当ですか?」
アリアはアドネスから聞いていたが、再度驚きの顔を見せる。
魔王ミンクは魔法の霧に閉ざされ、外部からの干渉が行えていなかったからだ。
「はい!魔王ミンクは我が父、前竜王ダイヤに恩義があります。その娘である私ならば対話が可能です。期待してお待ちください。」
「必要なものがあれば言って欲しいですわぁ!なんでも用立てしましょう!」
「心強いです。では、私は準備して早速魔王ミンクの国へ立ちます。必要なものがあれば、頼らせて頂きますね?」
「お気をつけてくださいまし!無理はしなくていいですからね!」
デリラはそう言うと玉座の間を出る。そして、偶然にもこの国に潜伏させることができた邪教の信徒の一室に向かう。
「うふふ、お久しぶりです。お元気でしたか?」
デリラはその手駒に邪悪な笑みを浮かべる。
「お待ちしておりました。」
その者はデリラに跪く。
「私のために働いてくれますね?」
「はっ、命をかけて。」
「大王アリアのもっている大召喚コインを手に入れてください。あれは我らにとって必要なものです。」
「…かしこまりました。必ずや手に入れて参ります。」
その者は周りからはわからない一瞬の迷いが見えたが、すぐにデリラの命令を了解した。
「ふふっ、では、お願いしましたよ?」
デリラはそう言って笑みを深めた。
本当はバーバルから逃れるためにただ一番安全そうな場所に根を張るつもりで大王国エリシュオンに行き着いた。
幸いにも捨てたアドネスと龍軍がこの国で地位を確立していた。
デリラはこの国で邪教を立て直す予定であった。
しかし、思っても見ない幸運にあった。
まさかあんなにも強力な召喚のアイテムがあったなんて。
しかし、まずは自分の地位を築かなければ。
幸いにも邪教はこの世界のどの国にも密かに蔓延っている。
私ならば邪教の力を存分に使え、どこの国にでも入り込める。便宜を図って貰える。
それほど邪教は、いや、母は力を持っていた。三大王の国 龍の国の裏の支配者である母の力は未だに健在だ。
その力を私は存分に利用しよう。
魔王ミンクの国とて例外ではない。魔法の霧で閉ざそうと、邪教がつかっている連絡を取るマジックアイテムでは内部との連絡は取れる。
外からは全てを拒み、開かずことは叶わない鉄壁の魔法の霧も、内からであれば開けることは容易い。
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