第255話 ナラとナクアの結末
この展開の皆さんの感想を応援コメントで聞かせてください。
どんな感想でも一言でも構いません。もちろん酷評でも構いません。
かなり前からいろんな展開、結末を考えましたが、筆がこの結末に進みました。
自分的には納得できる展開にストーリーが進んだと思います。
この話の次回話でこの展開の主人公なりの考察が入ります。
これからも応援のほどよろしくお願いいたします。
作者 マロ
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「話し合いに来たのだろう?」
ナクアは頬杖をついてそう言った。
「知ってるんだ。」
ナラは意外そうにそう答える。
「あぁ、私は小蜘蛛を放ち情報を得ている。お前が大王国エリシュオンという国に力を貸していることも知っている。お前がマリラを殺して同胞を率いて帰って来たのも。」
そういうナクアの瞳には不思議と怒りの感情は見えない。
「じゃあ、話は早いね。族長、やり方を変えようよ。滅ぼすのではなく、私たちは共生の道を模索しよう?」
ナラは真っ直ぐにナクアを見つめてそう言った。
「共生、か。私は滅ぼす以外の道を知らない。やり方を知らない。我らを脅かすものがあるのならばそれを力で潰す、喰らい尽くす。糸を張り巡らせ罠を張る。それが我らの、いや、私のやり方だ。」
「ここは迷宮じゃない。話し合えば分かり合える。」
「だが、私は迷宮のモンスターだ。」
「ううん、もう違うよ。」
「なにも違わない。迷宮もここも結局は弱肉強食。弱いものは喰われ強いものは喰らう。違うか?」
「一緒に生きる。そんな道が私には見える。私たちが壊したあの街、クーリッヒには美味しいものがいっぱいあった。面白い物がたくさんあった。楽しいところもたくさんある。それはクーリッヒだけじゃない。この世界には楽しいことや美味しいものが溢れてる。私はみんなとこの世界を楽しみたい。美味しい料理をたくさん食べたい。」
「そんなことはできない。」
ナクアはそう断言する。
「できるよ。大王国エリシュオンと大王アリアがいれば。いや、私がして見せる。そんな楽しい世界に。だから、族長も一緒に!」
ナラもそう断言した。その言葉には熱が籠っていた。
「もう一度言う。私はそんなやり方を知らない。」
そんなナラに相反するように、ただ淡々とナクアはそう答える。
「だから、これから模索していけばいい!」
ナラは声を荒げてた。
「私は蜘蛛の楽園が作れればそれでいい。」
「もう罠を作る必要のない世界は楽園ではないの?」
「そんな世界を私は作れない。」
「わからずやだね。」
ナラは俯いてしまう。
「私は…蜘蛛の一族の族長だ。」
ナクアはそう言うと立ち上がり、ナラに近づいていく。
明確な敵意を持って。
「っ!?」
ナラは咄嗟に後ろに下がろうとするが、ここは族長ナクアの巣だ。すでにナラの足はナクアの糸によって囚われている。
必死に振り解こうとするが、振り解こうとすればするほど巻きつき、囚われる。
どんどん近づいてくるナクアにナラは黄金の瞳を光らせて麻痺の魔眼を放つ。
だが、ナラの魔眼の力はナクアには届かない。
「静止の魔眼。」
足掻くナラにナクアは漆黒の瞳を怪しく光らせて静止の魔眼を放ち、ナラの動きを完全に止める。
「ぞ、族長、なん、で?」
ナラは必死に口を動かしそう尋ねる。
「私とお前とではこれほどの差がある。私はお前になんの抵抗を許さず捕らえ狩取れる。そんな弱いお前の戯言を、なぜ強い私が受け入れなければいけない?」
ナクアはナラの近くに近寄り、ナラの身体に手を添えて耳元でそう呟いた。
「必要なのは、力だけではない。」
ナラは苦しそうにそう答える。
「力こそがこの世界のルール。だから、私は強くなった。」
ナクアはそういうとナラから離れていき、ゆっくりと元いた玉座に前に戻る。
そして、ナクアは静止の魔眼の力と束縛していた蜘蛛の糸を解き、ナラと見つめ合う。
「証明してくれ、お前の方が強いと。同胞を導くのはお前のほうが正しいと。」
ナクアはそう言うと背中から四対の脚を出す。そして凄まじい魔力を放つ。
背中から出した四対の蜘蛛の脚はまるで漆黒の翼の様。美しいその姿はまるで堕天した天使なのではないかと疑ってしまう。
不思議と恐ろしさは感じない。むしろ神聖な雰囲気すら感じる。
「族長…戦うしかないんだね。」
ナラはそう言うとナクアに立ち向かうために魔力を放つ。
ナクアの黒い魔力とナラの黄金の魔力がぶつかり合う。
まるでその姿は魔王に挑む勇者のワンシーン。
いや、実際にそうなのだろう。
そして、ナラは覚悟を決める。
私は族長には敵わない。
どう戦っても私が万に一つ族長に勝つことは無理だろう。それだけの力の差がある。
アリアに申し訳なさを感じながら、ナラは一つの決意を固める。
一撃。一撃に全てを賭ける。
私の思いをすべて乗せた捨て身の一撃を放ち、その一撃で族長の考えを少しでも変えられたらいい。ひとつのきっかけになってくれたらいい。
少しでも私の思いが族長に伝わるような私の全力の一撃を叩き込もう。
ナラは魔力を最大限高める。
そして、八つの目を出して、ナクアと同じように背中から四対の脚を出す。ナラの脚は黄金の毛皮を纏う。それはまるで黄金の翼のように見える。
ナクアの毒が回りだして身体中が痛む。そして、至る所から血が滴る。だが、ナラはそんなことはもう気にしない。
もう私はここで死ぬのだから。
「さあ、来なよナラ。」
ナクアは笑みを浮かべてそう言った。
「族長、私はこれに全てを賭けるよ。」
ナラはそう言ってナクアに向かって飛ぶように跳躍して向かって行った。
「貴方の全てを受け止めるよ。」
ナクアはそう言って飛んでくるナラをただ見つめる。
ナラは自身の右手に魔力を最大限纏わせて右手をナクアに突き出す。
ナラの右手は寸分の狂いもなくナクアの心臓目掛けて突き出された。
ナラは突き刺す瞬間、ナクアの顔を見た。
ナクアの瞳はしっかりと自身の突き出した腕を捉えていた。
あぁ、防がれると思った次の瞬間、私の右手は族長の胸に突き刺さり、右手にナクアの暖かな感触が伝わり、ナクアの心臓を突き抜けて私の右手は族長の身体を貫通した。
「ゴボッ、素晴らしい一撃だった。ナラ、貴方の思いはしっかりと伝わった。」
ナクアは吐血して優しく笑い、ナラを優しく抱きしめる。背中の脚も優しくナラを包み込むようにしてナラの身体をナクアの脚が包み込む。
「えっ、そ、そんな。族長、どうして?」
私は驚く。族長の瞳はしっかりと私の攻撃を捉えていた。絶対に防げたはずだ。なんの防御もせずに自身の心臓を私に貫かせた?
これは族長と言えど致命傷だ。
私はすぐに自身の右手を抜こうとするが、抱きしめている族長がそれを許さない。
「ぞ、族長!早く腕を抜いて、族長を治癒をしなければ族長は死んでしまう!!」
腕を抜こうとするナラを離さない族長にナラは慌ててそう言った。
「ナラ、貴方は強いよ。そして賢い。」
「今はそれどころじゃ!」
「我々は適応しなければならない。迷宮の外の世界に。迷宮の中では私が族長でも良かったと思う。だけど、私たちは外に出た。私のやり方では同胞を導けない。」
「私が補佐する!私が族長を助ける!」
「私はお前のようなやり方は知らない。私はずっと考えていた。この外の世界では私が族長をやっていては生き残れない。お前こそが同胞を導くに相応しい。」
「そんなことない!そんなことないよ、族長!!」
ナラはそう必死に叫んだ。
「弱肉強食。あぁ、ナラ。わかっているとも。強さとは多様だ。力だけではない。お前は私よりも強い。その証拠に同胞達も私の命令ではなく、お前に従って戻って来た。皆も私も、感じてるんだ、本能で、お前の方が族長に相応しいと。だから、もっとも強い蜘蛛であるお前に族長は譲ろう。同胞を導いてくれナラ。」
「いやだよ!族長!!私は、族長ともっとたくさんいろんなものを見たい、美味しいものを食べたい!わたしはそのために、そのために頑張ってるんだよ!?」
「これは力不足だった私のけじめだ。そして、ごめんね、ナラ。これから同胞を頼んだ。」
ナクアはそう言うとナラの首元に噛みついた。そして追放した時にナラに入れた毒を中和して無毒化する。
「ありがとう…ナラ。」
ナクアはそう言うと力が抜けて仰向けに倒れる。
安心した安らかでそして、うっすらと笑みを浮かべた顔をしてナクアは息を引き取る。
「族長ーー!!」
ナラはそう言って倒れたナクアに抱きついた。
その悲しみとは裏腹にナラは力が漲っていくのを感じる。
ナクアを倒したことによってナラは進化する。
蜘蛛の族長として相応しい力がナラに湧き出る。
進化に伴って人化が解除されて巨大な蜘蛛の姿となる。
頭には天使のような光の輪が浮かび上がり、黄金の毛皮は今度は、白く輝く。
その代わり、瞳はさらに黄金の輝きを増した。
魔力も黄金の魔力から神聖な白き輝きを放つ魔力となり体の周りにはその魔力に纏われ、さらに神聖な雰囲気を感じる。
「族長、私は絶対に同胞を正しく導いてみせるよ。」
ナラはナクアの骸にそう言ってナクアの顔を撫でた。
ナラは神聖なる絶対的な蜘蛛。
世界はこの世界に新たに生まれたその白く神聖なる絶対的な蜘蛛をカマエルという名をつけた。
ナラはSランクモンスター カマエルへと進化を遂げた。
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