第254話 族長との再会
「あぁ、まったく。避難し忘れて大変だった。あいつらほとんど俺とリーナに戦わせやがって。」
まぁ、ルーファはバフを飛ばしたり、回復させて貰ったり、アリは時々気配を消して援護攻撃をしていて役割を果たしていたが…絶対2人とも本気で戦ってない感は半端じゃなかった。
最近2人は、冒険者ジンとしての俺の実力を知っているから、危険を冒さず任せようとしてくる。
今度仕返しに過酷な依頼を勝手に受注してやる!
「お疲れ様です。」
アステリアがそう言って玉座に座る俺に跪く。
ここはラストダンジョンと言われる死の迷宮最下層にある玉座の間。
俺はこれから始まる一大イベントを集中して見届けるために、本体にすべての意識を戻してここに戻って来た。
目の前の最高位のマジックアイテムで映し出した映像にはナラの姿が映し出されている。
「ふふっ、アステリアどうなると思う?」
俺は今から楽しみで笑みが溢れる。
「どうなるとはナクアとナラのことですか?」
「あぁ、どうなると思う?」
俺はそうだと肯定して再度アステリアにそう尋ねる。
「そうですね…なんだかんだでナクアとナラが和解して大王国の世界連合に組み込まれると思います。」
「そうだな、順当に行けばそうなるだろうな。俺はナクアにナラが殺されるじゃないかと思うぞ?」
「そうなればアリの一族との戦いは一気に不利になりますね。」
「そうだな。どうなるかな。」
これは本当に一大イベントだ。
世界の命運を賭けたイベント。
さぁ、どうなる?
「もうすぐ森か。」
ナラは同胞を率いてナクアの下へと向かう。
そして、すでに目の前にかつての森があった。
夜ではあるが、今日は満月でいつもよりも月は大きく感じ、月光も大きさに比例して不思議といつもよりも明るい夜だ。
ナラは森の中を進んでいき、かつて攻め落とした魔王ブーモルの城に着いた。
「ナラ様、どうか死なないでください。」
ダーラはそう言ってナラを心配そうに見つめる。
「うん、死ぬつもりはないよ。」
ナラはそう言って心配そうなダーラの頭を撫でる。
「族長の怒りも感じません。族長もきっとナラ様と話したがっているはず。」
マザースパイダーの一体が一歩前に出て来てそう言った。
「うん、確かに怒ってはなさそう。そうだね、私たちは一度しっかり話し合うべきだった。これは私が族長に頼っちゃったからだ。私達を率いているのは族長だと安心しきっていたからだ。しっかり話してくるよ、みんな。」
ナラはそう言って他の同胞に見守られて城に入っていった。
久しぶりの古巣。
張り巡らされた蜘蛛の糸も、食べ終わった骸も前と変わらない。
だけど、ナラの気持ちだけは明確に違っていた。
「待ってたよ、ナラ。」
そう言ってこの城の玉座の間。蜘蛛の糸が美しく張り巡らされ、族長の紡いだ美しい蜘蛛の糸は月光を反射して銀色に輝いている。
その中央に鎮座する巨大な玉座に座っている絶世の美女であるナクア。
その光景はまさに芸術だ。
「ごめんね、族長。遅くなった。」
ナラはそんなこの世で一番美しくて強い蜘蛛に見惚れながらそう言った。
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