第251話 冒険者だ。
「や、やばいかも。グハァ。」
ルーカス達が戦いを始めた時、ついにナラの身体がナクアの毒に犯され、身体中から血が噴き出て膝をついて動けなくなった。
「族長の毒にそれほど耐えるとは、さすがナラ様ですね。でも、これで終わりだ!」
マリラもすでにナラとの戦いの傷で満身創痍であるが、まだまだ余力を残していた。
マリラは動けなくなったナラにトドメを刺すために鋭い牙を出してナラに噛み付く。
マリラの鋭い牙がナラに迫った。
ガキンッ!!
鋭い牙とある冒険者のナイフがぶつかり合った。
「させない。」
レオンは歯を食いしばってマリラの鋭い牙を自身のナイフで受け止める。
「ニンゲンめ!!」
マリラは突如割り込んできたニンゲンに威嚇した。
「俺がこの戦いを終わらせる。」
レオンはそう言ってナイフでマリラを斬りつける。
「今頃ニンゲン1人が来たところでなにが変わる!」
マリラはレオンのナイフを躱してレオンに向かって糸を吐く。
「ファイアーボール!ファイアーボール!」
レオンは吐かれた糸をファイアーボールで打ち消す。
レオンはそのまま2発目をマリラに打ち込むも、マリラの分厚い外皮に阻まれてダメージを与えられない。
レオンはナイフを構えて大きく息を吐いて集中する。
マリラをよく観る。
すると、マリラの額が輝きを放つ。
それは星の輝き。それはある偉大なる神の力。
「ほんとこんな力をもらえるなんて。あの迷宮の神様も太っ腹だよな。殺されたのは許せないけど。」
そうそれは北極星の加護。
その力は強大だった。
その力の一端は敵に強制的に弱点を付与することだ。それがどれだけ凄まじい力かは言うまでもない。
「貴様…なにをした!?」
マリラは体感的にはなにも起こっていないし、見かけも変わっていない。付与された弱点が見えているのはレオンだけだ。
だが、Aランクモンスターの鋭い本能は察知した。目の前のニンゲンに何かされたと。
マリラはなにかが起こる前にとレオンに鋭い牙で襲いかかる。
レオンはそれをナイフで受け止める。
が、その衝撃でレオンは吹き飛ばされた。
「身体強化!身体強化!」
レオンは身体強化を重ねがけする。身体が軋むような音を立てながら激痛が体を走る。
そのままマリラの方に駆け出してナイフを振りかぶる。
「お前はなんだよっ!なぜナラを守る!?なぜ私に立ち向かう!?なぜニンゲンのくせに命をかけて戦うんだ!なぜ、逃げずに1人で立ち向かうのだ!」
マリラはそう言ってキシャーと叫び、威嚇する。
「俺がこの戦いを終わりにする!!この戦いが終わらなければ、クーリッヒは前に進めない!俺たち冒険者は歩みを止めてしまう!俺は止まりたくない、まだ見ぬ場所に俺が最初に足を踏み入れたい!!俺は冒険者だっ!!」
レオンは自分の想いを叫ぶ。
「なっ!?なんだその鋭い刃は!?」
マリラは前脚でこのナイフを防ごうとするも、レオンの持つ破邪のナイフがレオンの想いに比例するように輝きを増して、マリラの前脚の一つを切り飛ばした。
マリラは口から消化液をレオンに向かって噴射した。
レオンは咄嗟にクレイジースパイダーの毛皮で作ったマントで体を守って消化液を防いだ。
消化液を浴びて溶けてしまったマントを名残惜しそうに放り投げて、さらにナイフを振るう。
「クソクソ!ニンゲンなんかに!私がニンゲンなんかに!!」
マリラは残った脚でレオンのナイフを防ごうとするも、鋭い破邪のナイフにどんどん脚が短くなり、少なくなっていく。
マリラはたまらずレオンに向かって毒を吐いた。
レオンはそれでも止まらない。
レオンは吐かれた毒に飛び込んで、突き抜けてマリラの輝く弱点にナイフを深く突き刺した。
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