第232話 大魔王会議前
アリアはスケさんと共に赤龍アドネス率いる龍軍に乗ってナラとともに夜の国へと到着した。
「ここが夜の国…大王バーバルの国ですか。」
アリアはきょろきょろしてそういった。
「そう。私も一回来たことがある。」
ナラも龍から降りてそういった。
「アリア様、気を抜かぬように。いざという時は我らが命を懸けてお逃がせします。」
アドネスは龍の姿から人化してアリアに跪きそういった。
「ありがとうございますわぁ!頼りにしています。」
龍たちは人化して騎士の姿となりアリアに続く。その数は300匹。
頭数だけはかつての龍軍のに迫る勢いで龍軍は勢力を拡大していた。
成龍300匹の軍勢。それがどれほどの戦力であるか。想像にたやすい。
それがかつて三大王の竜王ダイヤの軍の強さである。
圧倒的な火力と力、機動力。
そして空という地の利を得る最強の軍。
それが竜王ダイヤの必殺の軍 龍軍であり、その力はアリアへと渡った。
「あれは…奴隷ですか。」
アリアは悲しそうな顔をしてそう言った。
「ううん、あれは食料だよ。」
ナラはアリアにそう答える。
アリア達の視線の先には、人が鎖につながれ吸血鬼のあとを続いている。
「しょ、食料ですの?人ですよ?」
アリアは人間が食料だと聞いて衝撃を受ける。
「なぜ人だから食べられないと思っているの?人は肉だ。肉は食える。」
ナラはなんでもないようにそう答えた。
「そんな…」
アリアは悲しそうな顔を深めた。
「私も人を食べていた。でも、食べるよりも一緒にいた方が楽しいってわかった。」
ナラはアリアの方を向いてそう答える。
「ナラ…」
アリアはじっとナラを見つめる。
「人を食べるのは、人を殺すのはもったいないと思った。私はおそらくアリアほどこの国に忌避感を持っていないし夜の国が間違っているとは思わない。でも、私は殺すのではなく共生の道を模索したいと思っている。それが一番楽しそうだから。」
ナラはアリアと目線を合わせて、アリアの頬に手を当てて柔らかく笑いながら、アリアにそう伝えた。
「そうですね。もしかしたらバーバルも考えなおしてくれるかもしませんわぁ!私が頑張らないと。」
アリアはそう言ってやる気を出す。
「…そうだね。もしかしたらアリアなら。」
「無理じゃろう。」
空からどこかで聞いた声がする。
「誰だ!?」
アドネスは不審な声に即座に警戒する。
「ふぉ、儂じゃ久しいの。小さき王よ。」
空から降りてきたのは大魔王ルーであった。
「大王ルー。」
ナラもルーの姿を見て警戒してアリアを庇うように前に出る。
「バーバルの心が変わるかも?そんなわけあるまい。」
ルーは地上にゆっくり降りてきてアリアの前に立った。
「でも、そんなのわからないですわ。もしかしたら話したらわかりあえるかもしれませんわぁ。」
「ふぉ、会えばわかる。では、後での。」
ルーはそう言って再び飛び上がってバーバルの城の方に向かった。
「ナラ、あなたはバーバルと会ったことがあるでしょう?ナラからみたバーバルってどんな人?」
アリアは飛んで行ったルーを見た後、ナラにそう問いかけた。
「んー…そうだね。一言で表すなら。悪意かな。」
ナラは少し考えた後、そう答えた。
「悪意?どういうことですか?」
アリアはそう言って首を傾げる。
「どうやったらめちゃくちゃにできるのか。多分そういう思考が彼女の根底にある。」
「なんでそんなこと考えるの?」
「さぁ?なにがしたいんだろうね?」
バーバルが戦力を求めて我らの元に来た時、彼女は終始笑っていた。
彼女は切羽詰まっていたし焦っていた。
でも、終始楽しそうだったのだ。
もうすぐ自分が、自分の国が滅ぶかもしれないのに。
たぶん、彼女は自分の置かれた状況を楽しんでいたんだ。
そして、それは今も同じだと思う。
どうすればもっと面白いか、どうすればもっと楽しいか。
最悪なのは、彼女のその面白いことが楽しいことが世界の混沌であること。その最悪はもはや紛れもない悪意。
ナラはアリアから視線を外し、飛んで行ったルーと、聳え立つバーバルの城を鋭い黄金の目で睨みつける。
我らは備えなければ。
この大魔王会議が終われば我らは一気に動き出す。
三大王の席を確固たるものにし、バーバル、ルーとも対立を深める。
そうすれば、バーバルもルーも迂闊には動けない。
その間に我らはこの大陸の全てを吸収する。
もう既に諸国は私の罠には掛かった。
あとは喰らうだけだ。
吸収できる勢力は吸収し、邪魔な勢力は排除する。
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