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第231話 勇者の力の覚醒

「あれ?ここは??」

ルーカスは眠りについた後、急に目が醒めるとなにもない白い空間にいた。


「ようこそ、勇者ルーカス。」

そう言って現れたのは黒いローブを深く被った者だった。黒いローブを深く被っている為顔はよくわからない。いや、おそらく認識阻害系のマジックアイテムなのかもしれない。


「貴方は?」

ルーカスは現れた者に何者か尋ねた。


「あははっ、さぁ?誰だと思う?」


「…まさかハシャ?」

正直こんな超常的なことができるのはハシャしか思いつかない。だが、姿は骸骨ではないが。


「んー、そうでもあるし、そうでもないとも言える。俺はハシャの力でお前に力を与えたわけではないからね。そういう意味では目の前にある俺はハシャではないと言える。そうだな、俺はお前に勇者の力を与えた者だ。」 

顎に手を立てて少し考えてからそう言った。


「…神様ってこと?」

ハシャであってハシャでない者?ルーカスはわけがわからなくなる。

だが、勇者の力を与える存在をルーカスは知っている。


勇者という強力な力を与えられる存在。

それは神だ。


「あははっ、呼び方は任せるよ。天使でも、悪魔でも、神でも。」


「女神ジャスティナ様じゃないんだ。」

ルーカスに最初に勇者の力を授けた女神ジャスティナ様。今はハシャにより女神ジャスティナ様の加護は切られ、代わりにハシャから勇者の力を賜った。いや、目の前のこの者かららしいが。


「あぁ、あいつは殺したよ?」

目の前の者はそういえば見たいな感じで、なんでもないようにそう言った。


「なっ!?」

女神ジャスティナ様が死んだ!?

聖王国の主神である女神様が?

まさか、僕の勇者の力が一時的に使えなくなったのって、ジャスティナ様が死んだから?


「あいつはお前を利用してこの世界に近づこうとしていた小物だ。前はかなり力を持っていたようだがな。だから、神位だけは高い。その位の高さ故に世界の外からお前に干渉できたんだ。」 


「女神を殺した貴方は…邪神ですか?」

女神ジャスティナ様を小物呼ばわりする存在。

そして、女神を殺す存在。それは邪神しか思い浮かばない。


「だから好きに呼べと言ったろ?邪神でも、死神でも。」

目の前の神はそう言ってふふっと笑う。


「くっ!」

ルーカスは目の前にいる存在が邪悪な存在だと思い戦闘体制に入る。


「さて、本題に入ろう!お前はまだ俺が与えた勇者の力を本当に扱えてはいない。」


「どういうことですか?」

ルーカスは警戒しながらそう尋ねた。


「初代勇者アーサーは光をその身に纏い、全ての闇を照らした。そして、アーサーの一撃は全ての悪を滅ぼし、どんな敵をも打ち砕く力を持っていた。」


「初代勇者?」

初代勇者の話なんて聞いたことがない。


「そう、君はその初代勇者の力の足元にも及ばない。」


「初代勇者の力?」


「勇者の資格を持つ君は、本来の勇者の力を得る資格がある。」


「…どうすれば力を得られるのですか?」


「あははっ、力が欲しいか!アリアと共に戦うための力が!」

神はそう言って笑う。とても楽しそうに。


「欲しい、僕には力が足りない。悪を払う力が!みんなを救う力が!」

僕にはまだ足りない。力が。

アリアの配下達は僕よりもみんなすごい。

アリアも僕よりも圧倒的に強い。

アリアと並びたって共に戦っていける力が僕には足りない。


正義を為す力が。助ける力が。


アリアの手を取る力が!



「ならば、戦え!」

ジンはそう言って初代勇者アーサーのコピーを作り出す。

もちろん、当時のアーサーの力のをすべて再現しているわけではない。

だが、今のルーカスには強敵すぎる相手だろう。


何せ、ルーカスの完全なる上位互換なのだから。


「戦え、そして学べ。勇者の戦いを、勇者の力を。」


「いきなり!?」

ルーカスはいきなりの展開に驚いた。


「光の鎧、ブレイブパワー。」

初代勇者アーサーのコピーは光の鎧を纏い、勇者の力を高める。


「あぁ、ここで何回死んでも大丈夫だから心配するなよー。」


「えっ?なんて…」


「ブレイブ インパクト。」

初代勇者の強力な一撃はなにかを言いかけたルーカスを消し飛ばした。


「え、今、僕は死んだの?」

ルーカスはブラックアウトしたかと思うとさっきと同じ場所に無傷で立っていた。


「はい、リトライ!頑張って!」


「光の剣。」

アーサーのコピーは今度は光の剣を顕現してルーカスに斬りかかる。


「ひ、光の剣!」

ルーカスも光の剣を顕現するが、ルーカスが顕現した光の剣ごとルーカスは切り裂かれ、絶命した。




その後もルーカスは何度も何度も戦うがその度に殺された。


だが、着実にルーカスの勇者の力は高まっていった。

なぜか?

それは勇者の力が共鳴していったのと、初代勇者のコピーが使う勇者の力がどんどんルーカスに蓄積されていったからだ。

そして、勇者としての闘い方を理解していく。



そして、ついにルーカスはある技を覚える。


「ブレイブ…インパクト!!!!」

ルーカスの放ったブレイブインパクトがアーサーのコピーに直撃する。


「…見事。」

アーサーのコピーはそう言ってルーカスのブレイブインパクトによって消滅した。


ルーカスも力を使い果たして気絶して倒れ込んだ。


「さぁ、ボーナスはここまで!これは楽しませてくれたご褒美だ。これからも楽しみにしているよ、ルーカス。」


ルーカスの意識はそこで途切れた。
















「お疲れ様です、マスター。」

玉座の間、帰ってきたジンに労いの言葉をかけて、ジンが着ている高位の認識阻害の魔法のローブを丁寧に脱がしていく。


「あぁ、アステリア。どうだ?ルーカスも強くなっただろう?」

ローブを脱がしてもらったジンはそう言って玉座に行き、その玉座に腰を下ろす。


「…えぇ、そうですね。しかし、勇者に力を与えすぎるのは危険なのでは?」

アステリアは魔法のローブを虚空に仕舞うとジンに跪いてそう言った。


「なんだ?怖がっているのか?」

ジンはニヤッと笑ってそう言った。


「まさか。ただ、アーサーの二の舞にならなければいいですけど。」


「あぁ、そうだな。」

ジンはなにか思い出しながらそう言った。


「かつて大陸を割り、文字通り世界を滅ぼしかけた最悪にして最強のSSSモンスター 終末の勇者 アーサー。我らを除いた死の迷宮でおそらく最強の個体。」


「俺が終末のイーターの時、マジで殺されかけたからね?」

ジンはそう言って苦虫を噛み締めるような顔をする。


「処分できないのが残念です。」


「さぁ?アステリア、やられてしまうのは君の方かもしれないよ?」

ジンは揶揄うようにアステリアにそう言った。


「ありえません。私の力とアーサーとの間には明らかな力の差があります。」

アステリアはハッキリとそう言い切った。


「それを覆す者が勇者という輩だよ?あははっ!アーサーは堕ちても勇者だぞ?それもこの世界で初めての勇者だ。」


「マスター、証明して見せましょう。」

アステリアは不服そうな顔をするとそう言って立ち上がり、すぐさまどこかに転移して行った。


「あっ!!アステリア、本当に殺しちゃダメだからね!!行っちゃった…。まぁ、アステリアが勢い余って殺しちゃいそうだったら止めればいいか。どれどれ、初代勇者の実力拝見といこうか?」

ジンはニヤニヤしながらモニターのような高位ののマジックアイテムを起動させた。


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