第228話 私の前で宣言させましたわぁ!!
「…いえ、まだ貴方達は世界大同盟に加入させることはできませんわぁ!!!」
アリアは高らかにそう言った。
グラン王国の人々も、大王国エリシュオンの面々も驚きに口を開けて固まり、どよめきが走った。
「アリア、話が違う。どうして?」
ナラは珍しく慌てたようにアリアにそう尋ねる。
「私はこの王都にきて色々と見てまわりました。そして、この王都にはスラム街があります。」
「それがどうしたのじゃ。」
オーリア王はどういうことだと問いかける。
「あそこは差別と排除を感じます。そんな場所を残して私はこの国と共に歩んでは行けません。即時、スラム街の是正を求めますわぁ!」
アリアはオーリア王を指差してそう言った。
「スラム街をなんとかしろじゃと?すぐになんとかなるものではない。スラム街はさまざまな要因が複雑に絡み合い形成されている。じゃが、もちろん解決に向けて努力はしていこう。」
「そんな曖昧な返事では納得いたしませんわぁ。」
アリアはオーリア王をじっと見つめてそう言った。
「しかし、我が国の事情も理解して頂きたい。ここはそなたの祖国でもある。共に改善していきたいと思っている。」
オーリア王はなおも曖昧な回答を続ける。
「巨人の国は世界同盟に加入する過程で国の民が立ち上がり王が代わり、大王国の要求する様々な要求を飲みました。」
アリアは目を閉じて巨人の国のことについて語る。
「な、なにを?」
オーリア王はアリアの語りに戸惑う。
「魔王アナスタシアは自らの力の源であるドワーフの解放を約束し、すでに解放を始めています。さらに圧政の是正、他国への不可侵を約束しました。魔王モグも闇社会との関係を手を切り、商い取引の厳正な規制、人身売買の完全禁止や大王国が要求する様々な規制を受け入れて世界同盟へ加入しました。魔王アナスタシアと魔王モグは自身の力の根幹を脅かされる約束を受け入れています。」
次にアリアは魔王アナスタシア、魔王モグが大王国エリシュオンから受けた制約について語った。
「ま、魔王がそこまでの要求を受け入れているというのか!?」
オーリア王は驚いた。いや、オーリア王だけでなく、この場にいるグラン王国の貴族たち全ての者が驚いた。
あの恐ろしい魔王たちがそんな無茶な制約を受けていることに。
「この国が私の祖国だからと私は目を閉じたりなど致しません!むしろ我が祖国だからこそ、いい国にしていきたのですわぁ!協力は惜しみません、どうか全ての民が笑い合い助け合える国にして頂きたいのです。」
アリアは目を開き、胸に手を当ててそうオーリア王に訴えた。
「わかった。では共に改善していこう。」
オーリア王は作り笑顔を浮かべてそう言った。
オーリア王の思惑としてはスラムをどうするかなど正直どうでもいい。まずは世界大同盟の庇護下に入ることが第一優先となっている。
スラムがどうだのはあとでの話し合いでいくらでもやりようはある。
スラムをなくす。そりゃ無くしたほうがいいだろう。だが、スラムを完全に無くすには、長期的な視点と多角的なアプローチが必要となる。雇用創出、教育、医療、インフラ整備、考えただけで頭が痛いし、金がかかる。
別に放っておいても国は回る。そこにリソースを割くのは勿体ない。
それがオーリア王の考えであった。
安心してしまったのだ。
怪物達との会談から自国の貴族の子女の会談に変わったのだから。
いくらでも言いくるめそうな相手に変わりオーリア王は安心してしまったのだ。
その少女が怪物達の主人だと言うことを失念して。
「宣言を。」
アリアは内に秘めていた巨大な魔力を解放してオーリア王にそう言った。
玉座の間に魔力の暴風が巻き起こる。
「は?」
オーリア王は状況が理解できない。
「差別や排斥をなくし、公正な王となると。すべての民が助け合い笑い合える国にすると言う宣言を。」
アリアは真っ直ぐにオーリア王を見つめてそう言った。少女から放たれた言葉は重みを持ち、確かな王の覇気を感じる。
そう、この少女はこの化け物達の王なのだ。
この世界を三分割する王の中の王 大王なのだ。
オーリア王はアリアの圧倒的な魔力と威圧に押されて大量の冷や汗を吹き出す。
「せ、宣言する。グラン王国は差別や排斥をなくし公正な国を目指す。」
そしてついにオーリア王は正式に宣言する。大王の目の前で誓いを立てた。
「今!オーリア王は世界大同盟の盟主であり、大王である私の前で誓いを立てましたわぁ!!グラン王国は我らと意思を共にし、世界大同盟に加入致しますわぁ!」
アリアは玉座の間に響き渡りほどの大声でそう宣言した。
大王国エリシュオンの使節団が拍手と歓声で大王アリアを讃える。
もう、この場にアリアを大王だと疑うものは居ない。
こうしてグラン王国は世界大同盟に加入したのだ。
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