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第226話 大王国エリシュオンの使節団来訪

「ついに今日だな、良いかいアリア。訪問する大王国エリシュオンの使節団には絶対に近づくんじゃないぞ?」

アリアの父親がそう言ってアリアの頭を撫でる。


「え、えぇ。もちろんですわぁ。」

アリアは目を合わせずにそう答えた。


「訪問する使節団の主要なメンバーは使節団長はナラと言う謎の人物、護衛は魔王討伐も果たした勇者ルーカス、その勇者に討たれた魔王アルモルドの最強の軍隊である死霊騎士団とその団長のフルモンド・アーガスト、今は亡き竜王国の四龍が1人 赤龍のアドネスだ。ふふっ、この国を滅ぼしにきたと言われても納得する。」

アリアであるハードル伯爵は遠くを見ながら冷や汗を掻いてそう言った。


「そ、そんなこと致しませんわぁ!」

アリアも冷や汗をかいてそう言った。


「そうだな、そうだと願おう。」

ハードル伯爵はそう言ってアリアを連れて歩き出した。




グラン王国 王都の玉座の間にはこの国の有力な貴族達が集まっていた。

今日突如と現れた謎の国家 大王国エリシュオンの使節団がこの場に訪れるのだ。


そして、その使節団には勇者、参謀のナラ、かつて世界に恐怖と死を振り撒いていた死霊騎士団とその団長のフルモンド・アーガスト、あの竜の国の四龍が1人 赤龍アドネスと竜王国最強の龍軍。


もしもこの勢力で攻めてくることになれば瞬く間にグラン王国は滅ぼされてしまうだろう。

誰もがそんな思いを抱きながら緊張した面持ちで張り詰めた空気で大王国エリシュオンの使節団を待った。


「大王国エリシュオンの使節団 玉座の間に入場されます!」

玉座の前を守る王の親衛隊がそう言って玉座の間の大きな扉を開ける。


壮観であった。

入ってくる者どもの一人一人が強者の覇気を纏い、濃密な魔力に包まれる。


先頭は黄金の髪と黄金の美しい瞳を持つ美女と勇者ルーカス。

その2人に追従するように他の者どもが続いた。


そして、王の前まで来て止まった。


跪かず、ただ王を見る。


誰もが不快であると咎めることはできない。

そして、違和感はない。

これだけの者たちが、跪く姿が想像できなかったからだ。



「よ、よくぞ来た。大王国エリシュオンの使節団よ。我はグラン王国 国王オーリアである!」

国王オーリアはこの化け物達を前に気丈に振る舞いながらそう言ったが、指は震えている。


「私はナラ。大王国エリシュオンの参謀を務めている。」

ナラはそう名乗って綺麗なお辞儀をした。


「今回は貴国との親交を深める良い機会だと思っている。どうか楽しんでいってほしい。」


「ありがとう。」


「さて、恥ずかしながら貴国について我らはなにもわからないのだ。色々教えて貰えないだろうか?」

国王は引き攣った笑顔を浮かべてそう尋ねた。


「もちろん。」

ナラは優しい笑顔を浮かべてそう答える。


だが、この場の者たちはその笑顔が怖くて仕方がない。

なぜならば、この使節団を引き連れて来たこの美女にしか見えないこの者もただの人間であるはずがないからだ。


「で、では、その貴国は本当に我ら人類と友好的なのだろうか?」

国王オーリアはチラリとアーガストとアドネスを見てそう尋ねた。


「そう。我らは種族による差別はしない。大王アリアの下に全ての民は一つの民だ。」


「な、なるほど。世界大同盟なるものの条約を拝見した。侵略をしない、奴隷解放などの一文を拝見した。それは本当か?先日その同盟に帝国が加入したと聞いているが?」

この面子が掲げる条約にしてはあまりにも平和すぎるのだ。

いくら勇者ルーカスがいるからと言っても違和感が拭えない。

勇者ルーカスも洗脳されていると言われた方がまだ素直に納得できる。


「本当です。大王アリアは救いの王。助けを求め手を伸ばす者のその手を取る王です。全ての者の光となる勇者に僕はなりたいんです。大王国エリシュオンとともに、大王アリアとともに!」


この場に集まっている王国側の人間が心の中でそんなわけないだろうと叫んだ。

亡き恐怖の魔王達の勢力をこれでもかと取り込んだ大王が救いの王な訳がないだろうと。


「なるほど。そなたらはどうして集まったのだ?大王アリア殿は元は竜王ダイヤの派閥だったのか?魔王ブーモルは竜王ダイヤの派閥であったが、魔王アルモルドは大王バーバルの派閥のはず。そして、勇者ルーカスもが大王アリア殿に降ったと言う。あまりにも統一性がなくてな。」

次に国王は大王国エリシュオンの主要な人物たちについて尋ねた。あまりに統一性のない構成の、悪と善が入り混じった、しかしあまりにも強大な力を持つ大王アリアに従う者たち。


「それは違う。我が王アリア様は我ら一人一人を救い、そして従えたのだ。元よりどの派閥にも所属はしていない。」

アーガストが口を開き、そう言った。


「一人一人を救い、従えたというのか?本当に?これほどのもの達をか?信じられん…」


「大王アリア様は偉大な大王だ。我らが命を賭して従うに値する王。地を統べ、そして我らを従え新たな竜王ともなったアリア様は大空をも統べる偉大な王だ。」

次にアドネスが口を開きそう言った。


「四龍のアドネスにここまで言わせるとは…一体どんな王なのだ?」


「大王国エリシュオンの王は世界を救う偉大な王です。彼女はこの世界の光です。僕は彼女のために剣を振い、僕と彼女の正義を貫く。大王国エリシュオンと大王アリアと僕は正義を成します。」


玉座の間に響めきが走る。

勇者の言葉には力がこもっていた。洗脳されているものには決して出せない意志が言葉には乗っていたのだ。



「グラン王国 国王オーリアよ。我らが大王アリアと謁見を望むか?」

ナラは国王オーリアを見つめてそういった。


「あぁ、いつか対面することを願う。」

国王オーリアはナラにそう答えた。そう言われたら会いたくなくともそう答える他ないだろう。


「ならば対面して頂こう!」

ナラはニヤリと笑って高らかにそう言った。




アリアはナラからの合図を受けて国王オーリアの前に出ようと歩き始める。



「ま、待て!アリア!どこにいく気だ!?」

アリアの父であるハードル伯爵がアリアがなにかしようとしているところを見てアリアを急いで止めた。


「ごめんなさい、お父様。行かなくては。」

アリアは父親にそういって謝った。


「行く!?どこに行くと言うのだ!?」

ハードル伯爵は驚く。やはり娘がこの場でなにかをしようとしていることに。


「みんなが私を待っていますわぁ。」

アリアは父親にそう告げてまた歩き出した。


ハードル伯爵は止めようと手を伸ばしアリアを掴もうとするが、身体が止まってしまった。


なぜならば、小さな娘の背中には確かに王の覇気を纏い、大王国エリシュオンの使節団が皆アリアを待っているかの様にこちらを見つめていたからだ。



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