第222話 王都に行きますわぁ
「アリア、最近家にいない時間が多いみたいだな。」
アリアの父はそう言ってアリアを見つめる。
「お、お父様、そんなことありませんわぁ?ちゃんと家庭教師の授業も受けていますし。」
アリアは冷汗をかきながらそう答える。
「夜中も出ていっているらしいじゃないか?危ないだろう?」
「スケさんがいますわぁ!」
「はぁ、お前が強力なテイムモンスターを従えているのはわかっている。しかし、騎士を連れて行かなければ私がお前のことを把握できない。」
もちろん強力なテイムモンスターとはスケさんのことではない。Bランクモンスターのマローダーベアーのことである。
「ふふん!把握されたらびっくりしちゃうと思いますわよ!」
アリアは小さな胸を張ってそういった。
「もう十分びっくりしているさ。さて、呼び出した本題だが…王都に行くことになった。」
「行ってらっしゃいませ!お父様!」
アリアは笑顔で送りだそうとする。
「お前も連れて行こうと思う。勉強だ。」
そんなアリアのことを意に介さずアリアにそう告げた。
「えっ!?それは困りますわぁ!!私やることがたくさんあって!」
まさか自分もつれていかされるとは思っておらずアリアは戸惑う。
「家庭教師の先生達に言ってあるから大丈夫だ。」
「いや、宿題とかではありませんのぉ!」
アリアは頬を膨らませて抗議する。
「それ以外お前がやる必要があることはない。明後日出発だ。荷物をまとめておきなさい!」
ハードル伯爵はそう切り捨てる。
「うぐぐ、横暴ですわぁ!」
アリアはだだをこね始める。
「勇者ルーカス殿も来るらしいぞ?いい機会じゃないか。私もこの間のお礼をしたい。」
「えっと、ちなみに何をしに行くのですか?」
アリアは先日のことを思い出し勇者ルーカス達勇者一行は大王国エリシュオンにいるはずだと思った。なぜグラン王国の王都にくるのかがわからなかった。
「大王国エリシュオン。この間新たな国が樹立された。その国の王はこの間、自らをこの世界の新たな大王だと宣言した。魔王ブーモル、魔王アルモルド、大魔王ダイヤの残党を従え、さらには瞬く間に世界大同盟などと言って大王アリアを盟主として魔王アナスタシア、巨人の国とも同盟を結んだ。」
ハードル伯爵は深刻そうな顔をしてそう言った。
「えっ?」
アリアはぽかんとした顔をする。
「すでに強大な国であり、その勢力はに日に日に拡大している。その国の使者団が来るのだ。そして、不幸にも私の領土はその国に接してしまっている。だから行かなくてはいけない。お前にも潜在的な敵国のことを知っておいて欲しいから連れて行く。」
「えっとー、お父様は大王国エリシュオンとその国の王のことをどう思ってらっしゃいます?」
アリアは聞きずらそうに言った。
「どうやら掲げる言葉はいいらしい。なんでも侵略は許さないだの、奴隷をやめるだの…どの口が言っているのか。従えている将軍達があの死霊騎士団のアーガストやオーク騎士団のガーダ、そして赤龍アドネス。この世界に恐怖を齎していた魔王達の第一将達を従えているのだぞ?信じられない。そして、そんな強者たちを一挙に纏め上げ従える王。どんな化け物だ。いくら巨人の国が同盟に入っているからと言ってもとてもじゃないが好意的には見れない。」
「うぅ。」
アリアは顔をゆがませる。
「だが…勇者ルーカスがその大王国エリシュオンに降ったのだ。正義の象徴たる勇者がそんな魔王たちをもまとめ上げる大魔王の下についた。もうわけがわからない。だから、直接この目で確かめる。大王国エリシュオンの王に会うことは叶わないだろうが、その使者と会いその国がどんな国なのかを知る。勇者殿も使者団に混ざって来るみたいだから詳しい話も聞きたい。」
ハードル伯爵は顎に手を当てて考えながらそう言った。
「…わかりました、行きますわぁ。」
アリアは観念して同行を承諾した。
アリアはかなり憂鬱になって父の執務室を出た。
今日中に参謀のナラに相談しなければいけないし、ルーカス様にもお話しなければいけない。
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