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第217話 重要なピース

「どんな化け物ですか…ふふっ、しかし、そんな化け物の下にいくら巨人の国が加入したからといって人類の国々がそう簡単に集うでしょうか?我々獣王国、エルランドの同盟が発足した今、こちらにまだ分はあるはずです。」


「ふふっ、それはどうかな?」

ナラはそう言って笑う。


「どう言うことですか?」

ポッシルはそう聞き返した。


「アリアは人間だ。」

ルーファはポッシルにそう伝えた。


「人間!?」

ポッシルはルーファの方を向いて驚く。


「そう。そして、最後のピースがそこにある。」

ナラは笑みを浮かべてそう言い、ルーカスを指差して。


「えっ?」

指刺されたルーカスはポカンとした顔を浮かべる。


「っ!?ルーファ様、すぐにルーカスを逃がしてください!!」

気づいたポッシルはすぐにルーファにルーカスの保護を依頼する。


「無理だ。」

しかし、ルーファは即座に拒否した。


「ルーファ様!?」

ルーファに拒否されてポッシルは驚いた。


「怖がって言うこと聞かないもの。」

ルーファはそう言って顔を横に振る。


「そ、それはどう言う?」

ポッシルはルーファにそう聞き返した。


「ジン、勇者は貰っていく。いいね?」

ナラはジンの方を向いて尋ねた。

この場で、いや、この世で一番敵に回しては行けないのは彼だとナラは知っているからだ。


「それは勇者に聞くんだな。」

俺はそう答え、ルーカスの方を向く。


「どう言うこと?」

アリルは状況を理解できずに頭を傾げる。


「魔王アルモルドを倒し、猛将ファリルを救い出すなど様々な偉業をもつ勇者ルーカスの発言力はすでに絶大です。民の圧倒的な支持を得ている勇者ルーカスがその世界大同盟に入れば、それは勇者がこの組織は正義であると言っているも同然。貴方を取り込むことで、世界大同盟は正義を得れる。それは魔王すら取り込んでいる世界大同盟にとっては大きな意味を持つ。」

ポッシルはルーカスを守るように近づき、そう答える。


「そう言うこと。世界をまとめ上げる上で勇者という手札は必要。」

ナラはそう言ってルーカスに近づいて行く。


「僕は物じゃない!」

ルーカスはそう言ってナラに答えた。


「一緒に来てもらうよ、勇者ルーカス。」

ナラはルーカスの前まで来て、ルーカスに手を伸ばした。


「嫌だと言ったら?」

しかし、ルーカスはその手を取ろうとはしない。


「私は貴方達を逃がすために同族を殺し、族長の毒で力を封じられた。もう本来の蜘蛛の姿に戻ることも叶わない。そして、一族からも追放された。」

ナラは胸に手を当て、伏せ目がちにそう言った。


「っ!?」

ルーカスは目を見開く。


「借りを返してもらうよ、勇者ルーカス。」

ナラは真っ直ぐにルーカスの方を見てそういった。


「…わかった。そして、すまなかった。同族を攻撃した君が罰せられないはずがなかった。考えればわかることだ。そんな君だけを残して僕たちは…」

ルーカスは拳を握りしめて後悔する。そして、ナラの話を断ることはできなかった。


「別にいいよ。その代わりアリアと会ってほしい。アリアに着くかどうかはアリアと会ってから決めればいい。」


「わかった。その世界大同盟と言うのは奴隷も侵略も禁止しているのか?それは魔王達もか?」


「アリアは世界で一番優しい王様になりたいんだって。この巨人の国の救援にもかなり難色を示していた。でも、アリアは選択した。守るための進軍を。やさしくて強い王。勇者ルーカス、魔王も世界大同盟の盟約を適応するのかと言うその問いはアリアに直接聞けばいい。」


「世界で一番優しい王様、守るための進軍か。」


「きっと気が合うと思うよ。」

ナラはそう言って微笑んだ。



その後、俺たちは玉座の間を後にした。

そして、大きな控室に通され、ポッシルがルーファをキッと睨め付けた。



「ルーファ様!!これはどういうことですか!?」

ポッシルは激怒の顔でルーファを凄い勢いで問い詰める。


「し、仕方ないだろう!私だって脅されているんだ!!」

ルーファは必死にそう言った。


「脅されている!?誰にですか!」


「…だ、大精霊様。」

ルーファは言いづらそうにそう言った。


「大精霊様?どこの大精霊様ですか!大精霊様はお隠れになっておられます。なぜここで大精霊様が出てくるんですか!?」


「ア、アリアは大精霊様を使役しているんだ。」


「はぁ!?大精霊様と契約しているんですか!?ほ、本当に!?」


「ち、違う。」

ルーファは冷や汗をかきながら顔を横に振る。


「違う?どう言うことですか?今ルーファ様は大精霊と仰りましたしょう?」


「契約じゃ、ないんだ。使役なんだ。アリアは大精霊様を使役しているんだ。取引もなにもない。命じているんだ。」


「ば、ばかな!?大精霊様は神に等しいのですよ!?それを使役!!?」


「そうだ。そ、そして、アリアに精霊の使い方を教えています…」

その後にごめんなさいと聞こえるくらい消えありそうな声でそういった。


「教えているですって?はぁ、もうわけがわかりません。なぜ、教えてくださらなかったのですか?」 


「大精霊様のお怒りに触れたらどうするんだ!下手なことは言えないじゃないか!」


「まぁ、確かにそう、ですね。確認しますが、本当に大精霊様なのですね?」


「間違いない。全ての精霊に命令できる存在だ。」

ルーファはゆっくりと頷いて肯定する。


「ということは、大王アリアとルーファ様は師弟関係ということですか?」


「あんまり下手なことを言うな。怖いな!」


「大王アリアとはどんな人物ですか?」

ルーカスはそうルーファに尋ねた。


「人間の少女だ。」

ルーファはルーカスにそう答える。


「人間の少女なのか?」

ルーカスがそう聞き返した。


「あぁ、そうだ。だが、魔力の量が尋常じゃない。化け物だ。それ以外は普通の女の子かもな。」


「人間の少女が倒された魔王達の残党を率いているというの?」

アリルは信じられず眉を顰めてそうルーファに聞いた。


「あぁ、それも皆アリアにかなり心酔している。」


「とりあえず会ってみないとわかりませんね。私もエリシュオンについていきます。」

ポッシルはそう言って荷物をまとめ始めたのだった。



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