第212話 貴方でしょ?
「さて、依頼の話は終わったね!ジン、買い物手伝ってよ!」
アリルはそう言って俺の手を引いてギルドから出た。
「あぁ、いいぞ。」
俺もそう言って了承する。
また何か俺に聞きたいことがあるのだろう。
「ねぇ、ジンが助けてくれたの?」
アリルは街を歩きながらそう俺の方に振り返ってそう聞いた。
「何の話だ?」
俺はそう言ってアリルに答える。
「女神ジャスティナ様だよ。」
「…。」
「私は女神ジャスティスナの力によって聖王クリフトと完全服従の契約を結んでいた。もしも契約を破れば聖炎に焼かれて死んでしまう。でもね、その契約がこの間無効になっていることがわかったんだよ。」
アリルは軽く笑ってそう言った。
「そうだったのか。それで、なんで俺が関係してると思ったんだ?」
俺はそう言ってしらを切る。
「あの時、荒野の覇者 ハシャはルーカスに付与されていた女神ジャスティナの力を無力化した。正直そんなことできるなんて信じられなかっだけれど、ジンはハシャと知り合いでしょ?ハシャが私たちの為になにかするのはわからない。それにそんなことができる超越者はそうそういないわ。だったら、もしかしたらジンが何かしてくれたんじゃないかって。私はそんな気がしてならないの。」
「無力化してたのはハシャだろ?」
「ハシャにできて貴方にできないことなんてあるの?」
アリルは俺の本当の正体を知っている。
アリルに会った時の俺でもハシャなど比べものにならないくらいの力を持っていた。
強さで言うとハシャが10体居ても前の俺には敵わない。それぐらいの強さの差だ。
そりゃハシャにできて俺にできないことはないだろう。
「あははっ、ないね。」
俺はそう言って笑って答える。
「そうだよね。そっか、じゃあ、ジンが?」
「さぁね?俺かもしれないし、俺じゃないかもしれない。俺は知っているけどね。」
「なにそれ。ちゃんとお礼言わせてよ。」
「アイツは邪魔だったんだ。あいつがいるだけでアイツの意思が世界に介入する。それは見ていて面白くない。そのキャラが自由に動き、悩み、苦しみ、そしてその先にあるものを見てみたい。ルーカスやお前もそのそのキャラの1人だ。そして、盤外からの加えられる手は俺だけでいい。」
俺はそう言って笑う。
「ふーん、つまりジンが守ってくれたってことだよね?」
アリルは上目遣いで笑いながらそう言った。
「どうとっても構わない。」
「じゃあ、ありがとうジン。助かったよ。」
アリルはそう言って俺に礼を言う。
「ふふっ、あははっ。しかし、俺は盤上のものにはあまり触れない。備えろ。」
別に俺はこいつらを守っているわけではない。
俺の楽しみの邪魔になるやつを消しただけだ。
そして、こいつらがもしも戦いに敗れて死んでしまうとしてもその瞬間まで愉しむだろう。
だけど、俺は見てみたいのだ。
圧倒的で理不尽な力を前になお諦めずに抗い、輝くその様を。
だから、こいつらは備えなければならない。
奴らが盤上に乗るその前に。
「備える?なにに備えるの?バーバルとルー?」
アリルは首を傾げる。俺の含みのある言い方に。
「言っていただろう?お前たちが想像している何倍もの血が流れるって。さぁ、お前たちは生存競争を勝ち抜かれるかな?楽しみだ。あぁ、楽しみで仕方がない。」
俺はそう言ってニヤリと笑う。
「ふふっ、ジンがなんのことを言っているのかはわからない。けれど、見ていなさい。それをなんとかするのが私達勇者パーティーです!」
「それはどうかな?」
「世界を救って見せますよ。見たいんでしょ?救世の物語が、私の活躍が、最高の結末が。だから、もしもジンが満足できたなら…もう一度会いましょうよ。」
「あぁ、いいね。ドキドキするよ、ワクワクするよ。楽しみにしているよ。また君と面と向かって会えるその日を。」
俺はそう言ってニヤッと笑った。
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