第211話 ポッシルの依頼
「今回の依頼ですが、巨人の国 アトラースまで私たちと行き、今起こっている反乱を支援、成功させることです。」
ポッシルは依頼内容をクローバーに話した。
「白銀!これ本当に受けたのか?もう取り返しできないのか?大紛争してるところなんて危ないぞ!」
ルーファは依頼内容を聞いて目を見開く。
「ジンさん断りましょう!こんな政治絡みの依頼なんてやめた方がいいですよ!良くないですよ!」
アリも必死にジンに泣きついた。
「なんだ、モンスター討伐じゃないのか。」
リーナはモンスター討伐でないとわかると少しガッカリした。
「ルーファ、もう依頼を受けたから無理だ。契約には厳しいんだろ?アリ、お前がそれをいうか?リーナ、巨人なんてほとんどモンスターみたいなもんだ。」
クローバーのメンバー全員反対するが、もう依頼を俺は受けてしまっているから取り返せないのである。
「あぁ〜、ジンさんが受けてくれてよかったです!」
ポッシルは安心したように胸を撫で下ろす。
「いやいや、素晴らしい報酬を用意してくれる様だからな、気にしないでくれ。」
「うっ、その報酬、我が国で協議を重ねて悩みましたが、背に腹は変えられませんからね。」
「白銀、報酬って?お金じゃないのか?」
ルーファは首を傾げてジンに聞いた。
「もちろん、金もたんまり貰うがもう一つ条件をつけた。」
「条件?」
アリが呟き返す。
「あぁ、今の世界樹の枝を伐採して貰う。」
ガタッ
「お父様!!?」
マーミヤは驚いた顔で立ち上がった。
「仕方ありませんよ。金だけじゃ依頼を受けてくれなかったですし、滅ぶよりはいいでしょう?」
ポッシルはそう言ってマーミヤに答える。
「しかし、世界樹を傷つけるなんて。守り人様も許可されたのですか?」
マーミヤは不安そうな顔でポッシルに聞いた。
「協議を重ねたと言ったでしょう?しかし、世界樹の枝を何につかうのですか?」
「ふふっ、さぁな?」
ジンはそう言って笑う。
「確かに世界樹の枝なんてオークションで出したら凄まじい値段になるかもな!」
そう言い出したルーファをマーミヤとポッシルが凄まじい形相で睨みつける。
「じょ、冗談じゃないか。祖国の神同然のそのお体を売るわけないじゃないか。あははー。」
ルーファは冷や汗をかきながらみんなと目を背ける。
絶対本気だっただろう?
アリもあぶねぇー言わなくて良かったみたいな顔するな。
「それでその反乱は勝機はあるのですか?」
アリはそう言ってポッシルの方を見る。
「巨人の国は我が国エルランドからは遠く、情報はあまり得られていません。そのため、今情勢がどうなっているのかも実はわかっていません。」
「おい、白銀。行ったら反乱は鎮圧されてましたとか。風前の灯ってこともあり得るみたいだぞ?」
ルーファはそう言ってジンを見た。
「さすがルーファ様。もちろんその可能性はあります。しかし、今回の反乱の旗印は正義の巨人 ア・ベルゲルです。ア・ベルゲルは強者であり、ア・テスの圧政のいつもの反乱の規模ではありません。今回の反乱は王弟 ア・ベルゲルを旗印とした未だかつてない規模の大反乱です。勝ち目は十分あります。」
「でも、そんなうまく行ってるのかな?」
リーナは首を傾げてそう言った。
「そうですね。懸念しているのはア・テスに雷の巨人 イ・サンがついていることです。先の龍の国攻略の大戦でも巨人の軍勢を率いた歴戦の大将軍。私も彼を間近で見ましたが凄まじい強者でした。もしかしたら、彼によって反乱の目は早急に摘み取られてしまっている。または鎮圧されてしまっている可能性もあります。」
「お父様!?もしもそうだったならば、我々は?」
マーミヤは反乱がすでに鎮圧されている可能性もあることを知って驚いた。
「そのまま巨人の王 ア・テスとの同盟交渉に入るだけです。我らは軍を率いて巨人の国の国境を侵しているわけではないのですから。」
「おいおい、雷の巨人と戦えっていうのか?ポッシル殿、エルフの国から軍を出せ、我々だけで行くつもりか?正気か?」
ルーファはそう言ってポッシルに尋ねる。
「ルーファ様、軍で侵攻したらそれこそもしも反乱が鎮圧されていたら完全な敵対行動ですし、巨人の国までは遠い。いろんな国の国境を越えなければ行けません。龍の国を攻めた時は我々人類の三国が凄まじいほどの手札を切って進軍できたのです。各国の期待感もありました。我々エルランド軍や獣王国軍は巨人の国まで辿り着けない。だからこその少数超精鋭。勇者や大精霊術師の私、S級冒険者のジン、そして万能のルーファ様。我々の力を持ってすれば必ず戦局を変えられる。」
「白銀、この依頼本当に嫌なんだが。」
ルーファは本当に嫌そうな顔をしてジンを見る。
「僕はお力になれそうにないですね。僕はここで待っているのでルーファ、頼みましたよ。」
アリはそう言って立ちあがってこの場を去ろうととするが、ジンが手首を掴んで座り直させる。
「アリ、もうその手は通じないからな。と言うか、最初からその手は通じてないからな?お前も行くんだ。」
「3日後にクーリッヒを出ます。準備をしておいてくださいね。」
ポッシルがそう言って依頼の話が終わった。
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