第209話 驚き
「クーリッヒに着いたね!少し休んでから行くんでしょ?」
アリルは馬車を降りると背伸びをしてそう言った。
「えぇ、まずは宿をとってその後に冒険者ギルドに行きます。」
ポッシルも馬車から降りてこれからの予定を言う。
「お父様、冒険者ギルドですか?」「なんで?」
マーミヤとアベリオは首を傾げた。
「戦力の補充を行います。もう依頼を出していますので、顔合わせです。」
「おぉ、さすがポッシルさん。すべて計算されているんですね。」
ルーカスは尊敬した眼差しでポッシルを見る。
「心強いぜ!」
ドルフもポッシルのことを心強く思った。
「冒険者を雇うってこと?」
アベリオがそう言って頭を傾げた。
「えぇ!その者がいれば百人力です。」
ポッシルはそう言って答える。
「お父様にそこまで言わせるとは、何者ですか?」
「さぁ、誰だと思います?」
ポッシルは少し味悪そうな顔をしてマーミヤを見た。
冒険者クローバーはギルドの応接室に依頼人を待つために集まっていた。
「ジン、今回の依頼ってなにをするの?指定依頼みたいだったけど?」
リーナはそう言ってジンに聞いた。
「あははっ、それは依頼人がきてからのお楽しみだ。だけどすごく難しい依頼になるだろうな。たぶん俺達が行っても達成できないかもしれないな。」
ジンは楽しそうにそう答えた。
「ねぇ、白銀、やめてって言ったよね?少し休もうって言ったよね?」
ルーファは泣きそうな顔でジンにそう言った。
「ルーファ、仕方ないよ。アナスタシア様の報酬の額が多すぎてこのギルドだけじゃ払えないっていうんだもん。準備できるまで時間がかかるって言うんだもん。もう僕たち宿代も払えるか怪しくなってきたんだもん。」
アリも目に涙を溜めてルーファにそう言った。
「ルーファもアリも使いすぎ。アナスタシアから報酬が入るからって毎日ギルド全員の酒代奢ったり豪遊してたらそりゃなくなるよ。」
リーナが軽蔑するような眼差しで2人を見ながら言う。
「「だって!大金が入ると思ったんだもん!!」」
2人はムキになったように前のめりでそう言った。
「貯金しろってあれほど言ったろうに。大丈夫だ。今回の依頼も報酬はすごく良い!その代わり激ムズの案件だかな!あははっ!!」
「はぁ、あの時の白銀の言葉は冗談じゃなかったのか。揶揄わなければよかった。」
ルーファは楽しそうに笑うジンを見て手で顔を覆い、後悔した。
割と大きな声で話しているらしく、ギルドの応接間からクローバーの声が聞こえる。
「ポッシルさん、雇う冒険者ってジンさん達ですか?」
ルーカスは驚いた顔でポッシルを見る。
「えぇ!そうですよ!」
ポッシルは笑って答えた。
「わーい!ジン達とまた旅ができるんだ!」
アリルは万歳して喜ぶ。
「って、ことはポッシルさんが言っていた百人力の人ってジンさんのことか!」
ルーカスは納得したように頷いた。
「確かにジンがあれば百人力だね!」
アリルも笑顔でそう言った。
「あぁ、あのエルフはともかく、彼らは心強いな。」
マーミヤも納得したように頷いた。
「ふふっ、白銀の冒険者ジンのことではありませんよ。もっとすごい人ですよ。」
ポッシルは楽しそうな顔でそう言った。
「えっ?もっとすごい人?」
ルーカスは首を傾げる。
「さて、入りますよ。」
ポッシルはガチャリと扉を開けた。
「げっ!ポ、ポッシル殿!?なぜここに?」
ルーファはポッシルの顔を見るなり顔を顰めて逃げようとする。
が、すぐにジンがルーファの後ろの襟首を捕まえてにがさない。
「お前、お父様の顔を見るなり嫌そうな顔をして失礼だろうが。」
マーミヤはそう言って不快そうな顔でルーファを睨みつける。
「お前のほうが私の顔をみて嫌そうな顔をしてるじゃないか!って、お父様!?お前ポッシル殿の娘だったのか?」
ルーファは目を見開いて驚いた。
「驚いたか?私はかの大精霊術師ポッシルは私の父だ!」
マーミヤは誇らしげにそう言った。
「ふふっ、お久しぶりです。この度はエルフ史上最高の天才 万能のルーファ様にご助力して頂きたくご依頼させていただきました。」
ポッシルは胸な手を当てて、跪き頭を下げてそう言った。
「えぇ〜!!?」
勇者パーティーは目が飛び出るくらいに驚いた。
「白銀っ!一体どんな依頼を受けたんだよぉ!!?」
ルーファはそう言ってジンに泣きついた。
「あははっ!驚いた?」
ジンはイタズラが成功したかのように楽しそうに笑った。
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