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第204話 一度聖王国へ

「巨人の国まで遠いなぁ…」

アリルはそう言って退屈そうに馬車の窓から外を見ながらそう言った。


「仕方ないさ。私はまさかお父様と旅をするとは思わなかった。」

マーミヤはそう言って少し恥ずかしそうに父であるポッシルを見る。


「私もだよ、いやー、うれしいねぇ。直に娘の成長を感じられて。娘と旅行に行けるなんてお父さん幸せだよー。」

ポッシルは満面の笑みでそう言った。


「旅行とか言ってるぜ?あ、愛されてるなぁ。なんか険悪な仲かと思ってたぜ。」

ドルフは少し引き気味にそう言った。


「うん、だって精霊術の才能がないから出て行ったって。言ってたしね。」

ルーカスはそう言ってマーミヤを見た。


「いやー、家出した時は本当にびっくりしたよ。国の兵士達にもたくさん探させたし、私も精霊達にたくさんお願いしたんだから。あの時はすごい精霊達に足元を見られたものだよ。なんか対価がすごく割高だった…まぁ、結局元気でやってるみたいだったし、魔法に興味があるみたいだったからしぶしぶ涙を飲んで受け入れたのさ。手紙もちょくちょくくれたしね。ただどこにいるのかわからなかったから送り返せないのがすごく辛かったんだけどさぁ。」


「なんかすごいフランクだね?一応大国のナンバー2なんだよね?この人。すごい偉い人なんだね?」

アベリオは少し混乱しながらマーミヤに言った。


「本当にマーミヤのことを大切に思ってるのですね!なんか自分のことのように嬉しい!よかったね、マーミヤ!」

アリルはそう言って安心したようにマーミヤに寄りかかる。



「は、恥ずかしいな。そういえば、お父様、エルフの王女、エルフ史上最高の天才 万能は転移の精霊術を使いどこへでもいけると言うのは本当ですか?」

マーミヤは恥ずかしさを隠すかのようにポッシルにそう聞いて話題を逸らした。


「…あぁ、そうだね。」

ポッシルはさっきの笑顔がまるで嘘かのように顔を顰めてこの話は終わりだとでも言いたげにたったそれだけ言って馬車の窓から空を見始めた。


「え?」

マーミヤは父の反応に戸惑う。


そして、その場が静まり返る。


お互いに顔を見合い、なにか触れてはいけない物に触れてしまったのか全員が不安になった。



「あ、そういえば、一回聖王国に戻って聖王に報告しないとね。」

アリルはとりあえず次の目的地の確認をする。


「うん、クリフト王に一度報告をしてからだね。事後報告になってしまったけども大丈夫かな?あと、聖王国にも同盟に参加してもらおう。」

ルーカスはそう言ってアリルに答えた。


「聖王クリフトですか…ルーカス、なぜあなたは彼に仕えるのですか?」

ポッシルは少し不安げな顔をしてそう言ってルーカスに尋ねた。


「なぜって?僕は聖王国の勇者ですから。」

ルーカスは不思議そうにそう答える。


「なぜ聖王国の勇者のままなのですか?」

続けてポッシルはルーカスに問う。


「どう言うことですか?」

ルーカスはどうしてそんなことを聞くのかわからず問い返す。


「貴方の正義はその国で成せますか?貴方の正義はその王で成せますか?」

ポッシルは真っ直ぐにルーカスを見つめた。


「つまり、何が言いたいのでしょうか?」

アリルが真剣な顔でポッシルを見つめながら言った。


「もし、聖王クリフトに止められたどうしますか?」

ポッシルはアリルのことは見ず、ルーカスにそう尋ねた。


「それが神託であるならば我らはそれに従うしかありません。」

ルーカスが答えるのではなく、今度もアリルが答える。


「神とは?」

ポッシルは目だけアリルの方を見て問う。


「正義の神ジャスティナ様です。」

アリルは祈るようにそう言った。


「ルーカス、貴方の正義とは誰かに従うことですか?神に従うことですか?」

ポッシルはやはりルーカスに尋ねる。


「神の意志に従うことです。」

それを遮ってアリルが答える。


「貴方には聞いていません。ルーカス、貴方に聞いているのです。」

ポッシルはアリルに手のひらを向けて無言でしゃべるなという意思を伝えてルーカスに尋ねる。


「僕は…行きますよ。例え聖王が拒もうとも神意に背こうとも、僕は僕の信じる正義のために戦います。」

ルーカスは少し考えると真っ直ぐにポッシルの目を見て答えた。


「っつ!?ルーカス!?」

アリルは驚いたようにそう言った。


「そうですね、それでこそ勇者です。」

ポッシルはニヤリと笑ってそう答えた。



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