第202話 仲直り
魔王アナスタシアの護衛の依頼をエリシュオン軍の将軍であるアーガストに引き継ぎ、俺達パーティー クローバーは任務完了ということで、馬でパカパカとクーリッヒにゆっくり帰還していた。
「アリは帝国に帰るのかと思ったけど、普通にクーリッヒに戻るんだ。」
リーナはそう言ってアリを見た。
「うん、だって僕の仕事は終わりましたからね。もちろん、アナスタシア様に求められればその限りではありませんが、アナスタシア様はもう私には関わるな、それが今回の護衛の条件だった。本当に自由なれ。と言ってくださいました。」
「ふーん。」
ルーファは少しツンとした様子でアリの話を聞いて相槌をした。
「ルーファこそアリア様のところに残らなくてよかったのですか?」
アリはそう言ってルーファに聞く。
「まぁ、いつでも転移でいけるようになったからな。私はクーリッヒで暮らしながら通うとするよ。」
ルーファはどこか遠いところを見ながらそう言った。
「絶対大聖霊が怖いだけでしょ?」
アリは目を少し細めて意地悪そうな顔をしてルーファにそう言う。
「当たり前だ。大精霊様は神も同然。触らぬ神に祟りなし。できるだけ一緒にいたくない…」
ルーファは顔を振りながらそう言った。
「か、神なんでしょ?不敬じゃない?」
リーナが苦笑いしながら言う。
「いいだろ、聞こえてなきゃ。なんで私はこんな役目を…」
ルーファはそう言ってトホホ…とでも言いたそうに疲れた顔をした。
「だけど、あの子は強くなるだろ?いや、ルーファなら強くできるだろ?」
ジンはウキウキしながらルーファに聞いた。
「ふん!愚問だな、大精霊様を使役しているのだぞ?それに無尽蔵の魔力をあの子は持っているらしい…三大王を超える化け物になる。間違いなくな。」
ルーファはそう言って想像したのか冷や汗をかく。
「流石、エルフ史上最高の天才だな?」
ジンはそう言ってルーファを褒める。
「ふん!教え終わったら速攻で逃げてやる。」
「って言うか、ルーファの術でクーリッヒに帰れば良くない?なんでこんな馬でパカパカ歩いてるの?」
アリはそう言ってルーファに尋ねた。
「そんな長距離は対価もなく力を貸せないとさ。おねぇさまに命令されたアリア様を教育するときは行き帰り力を無償で貸してやるが、それ以外はお前の力量以上の力は貸さないし対価はしっかり支払ってもらう。って言ってる。なんか少し拗ねてる。私悪くないのに。」
ルーファはそう言いながら不満げな顔をする。
「そう言うことだ。仕方なくパカパカゆっくり帰るしかない。」
ジンはそう言って乗ってる馬の首を撫でた。
「なんだ、ルーファ運送とか言って荒稼ぎできるのかと思った。」
アリはそう言って少しがっかりした。
「あはは!そんな悪目立ちしそうなことできるか。あと、それをやってもお前に一銭もやらんからな!」
俺たちはそうやって和気藹々とクーリッヒへの帰路についていた。
クーリッヒが近づいてきてアリが深刻な悲しそうな顔をして立ち止まった。
「…みんな、ごめん。僕はみんなに酷いことをした。とくにリーナには刃を向けた。許されることじゃない。僕をパーティーから追放するならしてもいい。僕はそれだけのことをした。」
アリは立ち止まって泣きそうな顔でそう言った。
「はぁ、やっと謝ったか。まったく、世話のかかるやつだ。許してやる!そして、アリの実力がわかったからこれからもっと働いてもらうぞ?」
ルーファはそう言ってアリの方に近づいてアリをそっと抱きしめた。
「うん、私も気にしてないよ。これからも一緒に冒険しよう。あと、ルーファ、貴方もすごい実力者だということがわかった。これからもっと働いてもらうのはルーファもだよ?」
リーナも少し笑いながらそう言って、今度はルーファをジト目で見つめながらそう言った。
「ルーファ、リーナ…ありがとう!」
アリはウルウルと目を光らせてギュッとルーファを抱き返した。
「俺はトゲトゲしたアリも有りだったぞ?あっ、ダジャレじゃないぞ?あははっ!」
ジンの言葉に一瞬その場が凍りついた。
「ジンって、そんな冗談も言うんだ。」
リーナがそう言って作り笑顔を作る。
「きっと機嫌がいいんじゃないか?アリが実は女とわかった。これで白銀はハーレムパーティーになったんだ。」
ルーファはそう言って目を細めてジンを見る。
「へぇ、ジンさんにもそういう欲求あったんだね。」
アリはそう言って自分の体を隠すようにして恥ずかしがる。
「お前ら…よし、わかった。すげー過酷な依頼貰ってくるから待ってろ。」
俺はそう言って馬を駆けさせた。
「待て、白銀!!悪かった!休ませてくれ!もういい、もういい!」
ルーファが止めようと必死に追いかけてくる。
「ジンさん!やめましょーよ!!お金もいっぱいこれから貰えるのに!仕事なんてしばらくやめましょーよ!!」
アリも続いて追いかけてる。
「ジン、私は頑張るよ!」
リーナは目をキラキラさせて追いかけてくる。
やっと元のクローバーに戻ったのだった。




