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第201話 次の一手

ルーファはこの場に来てから一言も言葉を発していない。


それはなぜか。


圧倒的な存在をこの場でただ1人、視認しているからだ。


「だ、大精霊様…」

ルーファは冷や汗を流しながら信じられないものを見たようにそう言った。


「まさか大精霊様と契約しているのか?」

そして、ルーファは続けてアリアに向かってそういった。


「え?なんですの?」

アリアはポカンとして答える。


「そちらのお方は大精霊様なのか?」

ルーファは虚空を見てそういった。


「えぇ、そうらしいですわぁ。」

アリアはなんでもないように答える。


「大精霊様と契約しているのか!?」

ルーファはそう言って驚いて立ち上がった。


—ふふっ、随分とした人気者が来たようね—


その場に光が満ちて1人の美女。大地の大精霊が顕現した。


「大精霊様!?」

ルーファは大精霊に跪く。


「エルフよ、私は大地の大精霊だ。」


「今まで何百年も姿を現さず、誰とも交信出来なかった大精霊様がどうしてこちらに!?」

ルーファは驚き質問した。


そうこの世界にはもちろん大精霊はいる。だが、この数百年誰もその姿や気配を感じ取ることができなくなっていたのだ。


「そうね、他の大精霊は深い眠りに着いているか、この世界の維持に使われているようね。」

大地の大精霊は考え込んだように手を顎に当ててそういった。


「この世界の維持ですか?」

ルーファは首を傾げる。


「えぇ、世界樹が弱っている。世界を維持する世界樹が弱り、その補助として大精霊が使われている見たい。だから、今この世界で自由に動ける大精霊は私だけみたいね。」


「なるほど、そのような事情があったのですね。」


「あと、貴方は一つ間違えているわ。」


「えっ?」


「私はアリア様に使役されているのよ。契約ではない、使役よ。」


「だ、大精霊様を使役!!?貴様、なにをしているのかわかっているのか!?」

ルーファはまた驚きアリアの方を見て問い詰めた。


「えぇ!?」

いきなりルーファに怒鳴られてアリアは困惑する。


「待ちなさいエルフよ。もしもアリア様に手を出そうものならば、あなたの精霊の力は剥奪します。全ての精霊は上位精霊には逆らえません。最上位の精霊である私は全ての精霊に命令できます。貴方の契約している精霊に貴方に力を貸させない事だってできますよ。物理的にペシャンコにしてもいいですが。」

大地の大精霊はルーファを睨みつけてそう言った。


「こわっ…」

ルーファは頭を下げて恐れ慄く。


「アリア様、このエルフをアリア様の指南役にしてはいかがですか?」

ルーファにしていた対応とは裏腹に大地の大精霊は極めて優しくアリアにそう提案した。


「指南役ですの?」

アリアは大地の大精霊を見て首を傾げる。


「このエルフは相当な精霊術師です。精霊術師とは精霊の力を使って力を行使するもの。アリア様が私の力を自由に使うために必要な力です。」 


「えっ?私が教えるの?」

まさかの展開にルーファは困惑した。


「えぇ、光栄に思いなさい。」

大地の大精霊はまたルーファをキッと睨みつける。


「うぅ、はいぃ。」

ルーファは怖くて逆らえないようだ。


「お、お願い致しますわぁ。」

アリアは申し訳なさそうにそう言った。


「アリア、もしもこの大地の大精霊の力を自由に扱うことができたのなら君はもう三大王に並ぶ力を持つことになる。もう、なにもできない口先だけの子供ではないね。」

スケルトンはそう言ってアリアの頭を撫でる。


「そうですわぁ!私はこれからもっともっとみんなをを救うために、みんなのために成長しますわぁ!」


ルーファはこれから転移の精霊魔法で時々ここにくることとなった。こんなに遠い距離本当は移動できないが、大地の大精霊がルーファの契約している空間の精霊に連れてくるように命じて移動できるようにしたみたいだ。


同盟国の王となった魔王アナスタシアはアーガストが護衛して帝国に帰してくれるようだ。俺たちへの報酬はギルドを通して支払われる形にすると。なので俺たちはこのままクーリッヒに帰る。






「本当に出来すぎてる。こんなタイミングで普通魔王が逃げ込んでくる?バーバルを裏切り私たちと同盟まで結んでくれた。アリアの指南役まで都合よく来た。」

ナラは砦の中を歩きながらそう呟いた。


「かもしれないな。あははっ!!」

カタカタとスケさんが後ろから来てそう言って通り過ぎて行った。


「…あいつは不気味。」

ナラはそう言って過ぎていくスケさんの背中を見た。




ナラは思案を深める。得られた情報を整理しながら、どうすれば他の国々を世界同盟に加入させられるか。次の一手はどうすれば良いのか。


それもアリアを盟主として。


勢力拡大はスピードも大事だ。


人間の勢力がそう易々とこの同盟に加盟してくれるだろうか?魔王の国よりも難しいか?


宗教が根強い国は加入するか?


最近流れてくる巨人の難民が増えている。王弟が祭り上げられて大反乱が起きているらしい。


エルフや獣人の国は遠いから後回し?


まずは人類の国が一つでも加入するのが先決?

アーガストにはアルモルド領の統治を急がせよう。戦力増強にもなるし、接する国も多くなる。帝国とも接して隣国となれる。


魔王ミンクの国はエリシュオンと接している、やつはいつ動き出すのか?そもそも対話が可能?どうすれば対話ができる?


バーバルやルーはエリシュオンのことをどう思う?


バーバルはなぜ動かない?蟻の一族の力があれば少なくとも人間の国々はひとたまりもないというのに。どちらにせよ動いていない今がチャンスだ。時間がない。


ルーと敵対すれば族長とも敵対することになるだろうか?


ナラの頭の中で様々な憶測と考えが駆け巡る。

そして、最良の次の一手を導き出した。










「巨人の王の首を刎ねるか。軍の準備をガータ、アドネスにお願いしよう。」

ナラは満足いく答えに辿り着き鼻歌を歌いながら準備を進める。


ナラは確信する。

この一手でエリシュオンは、いや、アリアは世界の盟主として地位を確立する決定打となる。


黄金の蜘蛛は着々と糸を張り巡らせる。


世界という巨大な獲物を狩りとるための罠の糸を。


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