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第199話 謎の大王

「抜けた!!」

先頭で敵軍を切り開いていたリーナが敵軍を突き破り声を上げた。


「よし!大森林に逃げ込むぞ!!」

アナスタシアがそう言い、俺たちは森の中に逃げ込んだ。


「くそ!!追うのだ!ここで見失えばもうアナスタシアの首は取れない!」

ドルジェの軍が大森林に侵入しようとしたその時、大きな声が轟いた。


「立ち止まれ!!!」

大森林の境に沿ってアーガストが不死者の大軍を率いて近づいてきた。


「あれは魔王アルモルドの死霊騎士団!?そして、あいつは魔王アルモルドの第一将のフルモンド・アーガストだと!?どうしてここにそんな大物がいるのだ…」


「これより先は大王国エリシュオンの領となる。軍を率いて領域を侵すことは許されない。」


「なに?大王国エリシュオンだと?そんな国聞いたことがない。この世界に今いる大王はルーとバーバルだけだ。どちらの国の領土か?」


「そのどちらでもない!我が王 アリア様は王の中の王、新たなる大王となるお方だ。」


「アリア?聞いたことがない?貴様が仕えているということは魔王アルモルドの後釜か?」


「ちがう、アリア様は人間だ。」


「あの列国から恐れられている死霊騎士団とその団長が人間に仕えている?どんな化け物だそいつは?」


「もうお喋りはいいだろう。それで?戦うか?引くか?」


「やってもいい、と言いたいところだが、あの遠い空を飛んでいる龍も貴様の味方だろう?流石に分が悪すぎる。悔しいがここは引かせてもらう。だか、一つだけ確認させてくれ。お前らは魔王アナスタシアの味方か?」


「そうか、今大森林に逃げ込んだのは魔王アナスタシアなのか。味方かどうかはアリア様がこれから見極めるであろう。」


「なるほど、な。わかった。」

ドルジェ将軍はそう言うと撤退していった。



「申し訳ございません!!我らが不甲斐ないばかりに!」

伏していた兵の隊長がドルジェ将軍に頭を下げる。


「いや、相手が悪すぎた。あの我が軍を切り開いていく女剣士も見事であった。クーリッヒであれ程のものたちを味方につけたとはさすがは魔王だ。」

ドルジェは優しく隊長の肩に手を当ててそういった。


「しかし、王よりアナスタシアの始末を厳命されています。このままではドルジェ将軍は…」


「あははっ!案ずるな、誰も私を罰することなどできはしない。ことさら、悪魔に命を売った王などに私は負けはしない。」


「ドルジェ将軍…」


「それよりも大王アリアか、また厄介な勢力が出てきたな。まったく、世界はどうなってしまったんだか。」










「おいおい、これはもう無理だろ?」

アナスタシアは汗をかいて消え入りそうな声でそう言った。

大森林に侵入したアナスタシア達を待ち受けていたのはオークの大軍であったからだ。


「止まれ!我が名は大王アリア様に仕える将、ガータ!貴様らは何者だ?」


「オークの将軍…あいつ、ブーモルに仕えていたオーク騎士団団長のガータ将軍か!?なんでそんな奴がここに!?」


「答えぬならば、排除するが?」


「待て!私は魔王アナスタシアだ!」


「魔王アナスタシアだと!?…武器を納めて投降しろ。我が王アリア様の指示を仰ぐ。」


「皆、武器を捨てろ。ここで戦っても勝ち目はない。」

アナスタシアは剣を納めて馬を降りる。


「お、おい。大丈夫なんだろうな?」 

ルーファは馬を降りながら不安げにアナスタシアに言った。


「大丈夫だろう、オークとエルフは相性がいいと相場が決まってる。」

ジンがニヤニヤしながら馬から降りてそう言った。


「なんのことを言ってるのかわかないが、何かあったら白銀を1人残して転移で逃げると今決めた。」

ルーファはそう言ってジンを睨め付ける。


「…ガーダ将軍よ、この者らは私が雇った冒険者に過ぎない。私は抵抗せずに縄につこう。だからこの者らは解放してくれないか?」


「なっ!?私達は貴方を置いて逃げはしない!」

リーナは驚き、そして真っ直ぐにアナスタシアを見て言った。


後ろでルーファが嬉しそうな顔をして「えっ!?いいの?」と呟いているのは誰も聞いてない。


「もちろんそれはできない。案ずるな、我が王は寛容だ。魔王である貴殿にもおそらく殺されはしないだろう。」


「いかにも、我が王は寛容である。だが、付き従う我らは敵に容赦などはしない。もし貴様が我が王を脅かそうとするならば躊躇いなくその命を奪う。」

背後から死霊騎士団を引き連れたアーガストがやってきた。


「フルモンド・アーガスト!?魔王アルモルドの死の軍勢をも従えているのか?」


「その通り、そして我らをも従えるアリア様は天空の覇者でもある。アリア様の元に全てのものは集う。」

空から舞い降りたのは赤い龍。

赤龍 アドネスが舞い降りる。


「せ、赤龍アドネス。竜王ダイヤの四龍の一柱も従っているだと?…どんな化け物だというのだ、大王アリアというのは!?」


「さぁて、どんなやつだろうな?大王アリアというやつは。あははっ!」

ジンは笑いながらそういった。


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