第196話 追手
クーリッヒを出た俺たちは馬を人数分買い、まずは大森林の方へ向かっていた。
「まずは大森林の方角へ向かう。中央の旧ブーモル領は今、魔王ナクアの領域だ。そこは通らず端の方の大森林を抜ける。大森林はモンスターも多く危険だが、今大森林の端の方に難民が逃れて集まり作った難民キャンプや魔王ブーモルの砦を利用した避難所があるらしい。そこを経由して今は主のいない旧アルモルド領を抜けて帝国に帰還する。それならばどこの捜索網に引っかからずに帝国に帰れるはずだ。」
「ふん、よく考えたものだ。だが確かにそのルートならば思ったより楽に帰れそうだな。」
ルーファは不機嫌そうに鼻を鳴らしてそう言った。
「そう簡単に行くかな?」
ジンがそう言って笑う。
「ジンさん、どういうことですか?」
アリはジンを見て尋ねた。
「ここまで魔王アナスタシアは誰にも見つからず来たんだろう?というより今言ったみたいな捜索網に引っかからないルートを選んできた。だけど、今はどうだ?ここは魔王アナスタシアが逃亡するルートで唯一捜索網にかかる領域と言える。もしも、魔王アナスタシアの逃走経路を読んでいる者がいたとしたら…もう捕捉されてるんじゃないか?」
ジンはそう言ってとても楽しそうに自分の考えを話した。
「ふふ、私の逃走ルートを先読みしている者がいるかもしれないだと?ルーであるまいしそんなこと…」
そんなわけないと鼻で笑ったアナスタシアであったが、後方で大きな砂塵を見つけた。
「あの砂塵って…」
ルーファはそう言って後方の砂塵を指差す。
「おいおい、嘘だろ。」
アナスタシアはそう言って冷や汗を流す。
「これは追いつかれますね。」
アリは険しい顔をしてそう言った。
「どうする?迎え撃つ?」
リーナはそう言って剣に手を添える。
「お前ら、全力で逃げるぞ!」
ジンはそう言って馬を駆けさせ、みんなも合わせて駆け出した。
敵はおそらく軍馬、対してこちらは速そうな馬を街で買ったものである。
追い付かれるの時間の問題だ。
「見つけたぞ!!魔王アナスタシア!!」
ドルジェの隊は必死に駆けているアナスタシア一行を捕捉しさらにスピードを上げた。
「あれは!?ドルジェ将軍!?なぜエバーデールの大将軍がここに?」
紫色の綺麗で腰まである長い髪に紫の強く鋭い瞳、傷だらけの鎧を纏った美女が馬を駆けさせている。
アナスタシアはそう言って追ってきた者の先頭を駆けているドルジェ将軍を見て驚愕する。
「弓、放て!!」
ドルジェは弓兵に矢を放つように命じて弓兵達は統率された動きで一斉に矢を放つ。
「くっ!?あれ?アリは!?」
アナスタシア達はそれぞれが矢をガードした。
しかし、アリの姿が消えており、ルーファは周りを見渡してアリを探すも、アリの姿は見つからない。
ガキンッ!!
ドルジェ将軍の剣とアリのナイフが激しくぶつかった。
「ちっ!取れなかったか。」
アリはそう言って馬を乗り捨て姿を隊の中に暗ます。
「ほう?全く間合いに入るまで気づかなかった何者だ?ん?どこに行った?」
ドルジェは強者の出現に警戒するもすでにその強者は姿をくらませている。
ぎゃあ!?うわぁ!!
姿をくらませたアリは、騎兵を次々に襲い、隊の中で動揺が広がる。
「アリが撹乱しているうちに逃げるぞ。サンダーレイン!!」
アナスタシアはそう言って雨のように小電撃を放ち敵の騎馬の足を止めた。
「一度体制を立て直せ、まずは隊に入った賊をやるんだ。」
ドルジェは隊にそう命じていったん足を止めた。
「申し訳ありません。取り逃しました。」
部下がそう言って頭を下げる。
「仕方ないさ、あれは相当な手練れだ。私もあれからずっと気配を探っているが全く感じられない。もしかしたら、あれが帝国で名高い裏路地の暗殺者なのかもしれない。まぁ、いい。これで取り逃したやつはアナスタシアとの合流は難しいだろう。大森林の前にもすでに兵を伏している。」
私はそう言って余裕の笑みを浮かべる。
あれほどの実力者はそうそう居ない。あの身のこなし、気配の絶ち方、おそらく帝国でまことしやかに噂されている裏路地の暗殺者だろう。
まぁ、ここで足を止めても兵はすでに伏してある。足もこちらのほうが早い。
こちらに襲ってきたやつももうアナスタシアとの合流は難しいだろう。
「おぉ、流石であります!では、この戦いで将軍が魔王を討ち取るのですね!」
「あぁ、魔王シャールブの策に乗るのは遺憾だか、ここで魔王を討ち取れば私の名声はさらに世界に轟く。それはエバーデールにもプラスになるだろう。そして、いずれは憎きシャールブの首を刎ねる。」
ドルジェはそう言って拳を固くした。
「面白い!」「続き読みたい!」「最後まで見たい!」など思った方は、ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします!一言でも感想お待ちしております!!




