第193話 ナラの狙い
「ちょっ、ちょ!ストーップ!!なにをしてるんですの!?なんでアドネスは街で暴れてるんですのー!?」
スケルトンを連れて急いで走ってきた少女。
魔王アリアがアドネスにそう言った。
「アリア様、お下がりください!賊です!こやつは魔王ナクアの手先、蜘蛛です!」
アドネスはそう言ってアリアを守るようにナラに立ち塞がった。
「貴方が魔王アリア?私はナラ。貴方に会いたくてはるばるやってきた。」
「会うから戦いをやめてください!!せっかく作った街が壊れちゃうから!」
アリアは慌てて2人の戦いをやめさせた。
ナラはアリアに連れられて大きな円卓のある会議室に連れられた。
もちろんアドネス含めアドネスの部下の精鋭の龍軍に囲まれながら。
しばらく待っているように告げられてしばらく待つと続々のこの国の幹部たち、アーガスト、ガーダ、人化し直したアドネス、そしてスケルトンことスケさんが入ってきた。
それぞれが席につき、ナラを睨め付ける。特にガーダは今にも襲いかかりそうなほど拳を固め、恐ろしい眼光で睨め付けている。
スケさんだけはカラカラと笑っているが…
「さて、お待たせしましたわぁ。まず、貴方は何者なんですの?」
円卓のナラの正面の席についたアリアがナラに改めてそう尋ねた。
「私はナラ。かつては蜘蛛の戦士だった。」
「それで、貴様は魔王ナクアの手先か?」
アーガストが腕を組んでそう問いただす。
「私は族長から追放された。だから今は族長の手先ではない。」
「なんで追放されたのですか?なにか罪を犯したのですのぉ?」
「簡単に言うと同族殺し。話すと長くなるけどいい?」
ナラがそう言うと誰もがナラにより一層警戒心を高めた。
「はい、詳しく聞きたいですわぁ!」
アリアだけは警戒心を持たずにナラにそう言った。
ナラはルーカス達やベネットのことをその場で話した。
「なるほどな、わかった。それで先ほどは本来の姿で戦うことができなかったというわけか。そして、お前はあの魔王ナクアの右腕か。」
アドネスは納得したように頷いてナラにそう聞いた。
「そういうことかな。」
ナラはアドネスを見て頷く。
「俺からもいいか?」
ガーダがそう言って手を上げる。
「えぇ。」
ナラは了承し、ガータを見て頷いた。
「俺はガータ。かつて魔王ブーモル様に仕えオーク騎士団団長としてオークの繁栄のために尽くした。なぜだ。なぜ貴様らは、魔王ナクアはオークの国を滅ぼした?なんで俺たちに攻撃を仕掛けたのだ!!凄まじい数のオークが死んだ、苦しんだ!そしてお前たちに喰われた!!なぜだ!!答えろ!!」
ガータは牙を剥き出しにし、ナラにそう言って怒鳴りつける。
「族長がなぜオークの国を攻撃したか?それは私が族長に言ったから。私が冒険者を迷宮で捕らえて色んなことをたくさん聞いた。オークの国は一番地理的にも私たちが暮らすのにも最適な場所だった。だから私がそこを滅ぼし乗っ取るように言った。」
ナラはなんでもないように答えた。そして、それは紛れもない事実であった。
「貴様が言っただと!?よくも俺の前でそんなことを言えたな!!首を刎ねて魔王ブーモル様の仇を討つ!!」
ガータはそう言ってついに自身の大斧を構えた。
「お前たちもやってきたことだろう?他種族を殺し、侵略し、滅ぼし、犯し、喰らい、そして弄んでいた。それが自分たちの番になっただけのこと。弱肉強食、それが根底にある絶対のルール。私達の方が強かった、ただそれだけのこと。」
ナラもガータをじっと見つめている。
「くっ!!…いや、そうかも知らないな。確かに俺たちオークがしてきたことは許されるものではなかった。滅ぼされても文句は言えないかもしれない。しかし!ここは違う、新たなオークの主はそのような蛮行は許さない。もしも、ここにも害を及ばそうとしているのならば命をかけてお前を殺す。」
ガータは今までのオークの蛮行の数々を思い出し、自ら怒りを鎮めた。そして、今護るべきものを思い出す。
「そんな気はない。私は魔王アリアに会いたくてここまできた。」
「私に会いにですかぁ?」
アリアは首を傾げてナラに尋ねる。
「そう、私は夢ができた。それを叶えるためにここにきた。」
ナラはそう言うとニヤリと笑った。
「夢、ですの?」
「お友達と世界中を旅したい。だれにも邪魔されることなく非難されることなく楽しく。それが私の夢。あなたの夢は?」
「素敵な夢です!私の夢は全ての種族が平等に笑い合える、助け合える国を創りたいのですの!困っている人が最後に辿り着くようなそんな国を私は創ります!」
「ふふっ、そうそれは私の夢に必要な国。でも、それだけじゃ足りない。」
「えっ?」
「世界中をそうして欲しい。」
ナラは両手を広げて笑顔でそう言った。
「えっ!?世界中をですか?」
突然スケールが大きくなってアリアは驚いた。
「そう、じゃないと世界中に遊びに行けない。私は考えた。どのような王が必要か、私を使うのが族長でないのならどのような者に私は使われたいのか、私が力を貸すのはどんな王なのか。私は求めるのは全ての国を平和に収めることのできる王の中の王。大王といえる存在。貴方は新たな大王となり世界を平定する。」
そう、ナラが求めているのは志しを共にする新たな大王の存在。
ハシャに言われたからただ来たのではない。
ただの王ではなく、バーバルやルーのような王の中の王となりうる存在かどうかを見極めに来たのだ。
「えぇ!!?私が大王ですって!?」
「貴方たちはどう思う?」
ナラはそういってこの場に集まった将軍達に尋ねた。
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