第190話 星の加護
「では、次が本番です。サモン!!」
先ほどのドラゴンゾンビと同クラスのドラゴンゾンビが5体召喚される。
「へ?」
俺は馬鹿みたいな声が出た。
「なにを見ているのですか?さぁ、構えなさい。」
5体の属性龍のドラゴンゾンビ達がそれぞれの属性のブレスを放つ為に口に力を溜め始める。
「…ふふっ、あぁ、やってやるよ!」
俺は黒い鎧の騎士に向かって駆け出した。
「ほう、笑いますか…諦めませんか、絶望しませんか。」
黒い鎧の騎士は少し言葉を弾ませながら言った。
「諦めない!!!」
俺は気合いを入れてもう力が足に力を入れる。
「ふふっ、それは…少し面白いですね。」
黒い鎧の騎士は少し優しく笑った。
5体のドラゴンゾンビのブレスが放たれ、俺はなすすべなく消し飛ばされた。
「お前の負けだな、アステリア。」
俺は虚空から現れてアステリアにそう告げる。
「そうですね。彼の勝ちです。」
アステリアはそう言って地面の黒いシミを見る。
破邪のナイフだけ地面に転がっており、レオンだったものは地面の黒いシミになってしまっている。
そう、この試練の勝利条件は諦めないこと。最後の最後まで諦めなかったレオンは見事アステリアの試練を乗り越えたと言える。
迷宮の黒いシミにはなってしまったが…
「ここから蘇生するのは手間なんだよなぁ。それで?面白かっただろ?」
俺はそう言いながらレオンの身体を再構築し始める。
「面白い、というより不覚にもワクワクさせられました。そうですね。彼の冒険をもっと見たいと思いました。」
「あははっ!そうだろう?さぁ、レオンへの褒美はお前に一任しよう!アステリア、お前は彼になにを授ける?武器か?力か?知恵か?はたまた名誉か?」
俺はワクワクしながらアスタリアの答えを待つ。
「そうですね…では…」
「あれ?俺は…また死んだのか?」
蘇生されたレオンが起き上がりアステリアを見る。
「えぇ、そうですね。」
アステリアはそう言ってレオンを見つめる。
先ほどのドラゴンゾンビ達はもういない。
「それで?なんで俺をまた生き返らせたんだ?」
「試練を乗り越えたからです。」
「へ?だって、俺は負けて死んだんだぞ?それなのに合格?」
「最初に言ったではありませんか。もしも諦めたら冒険者をやめてもらうと。最後まで諦めなかった貴方は試練を乗り越えました。」
「死ぬの確定の試練!?」
レオンはあまりに酷い試練に驚きを隠せないでいる。
「ふふっ、たしかにそうですね。」
アステリアはなんでもないように笑う。
「笑い事じゃないんだけど…」
「さて、試練を乗り越えたものにはその報いを。貴方に報酬を与えます。」
「報酬…」
「さぁ、もう少し私に近寄って跪きなさい。」
レオンは言われるがままに黒い鎧の騎士に近づいていき、跪いた。
なぜかわからないがそうすべきだと俺の勘が言っている。
俺が跪くのを見ると黒い鎧の騎士から凄まじいオーラが放たれる。
や、やばい!!?
圧倒的な力の差、いや、どれだけ離れているのかもわからない。どれだけ強いのか俺では推し量れない。ただ、この人の意思一つ次第で俺がどう足掻こうとどうとでもなるそれだけはわかる。
「神 アステリアの名の下に汝に一つの星の加護を授けます。汝が迷うとき、苦しい時、戦う時ににはきっとその加護は汝を明るく照らす。北極星の加護を汝に授ける。」
アステリアはそう言ってレオンの頭にそっと手を触れる。
レオンの身体が光り輝き、北極星の加護がレオンに付与された。
「貴方の戦いを見て不覚にもワクワクさせられました。貴方は試練の最中自分は何も持っていないと言っていましたが、あると思いますよ、貴方の物語が他のものを魅了する英雄の資質が。これからの活躍を私も楽しみにしています。」
そう言うとアステリアは姿を消した。
「えっ…神様だったのか?」
レオンは開いた口が塞がらない。
「いいねぇ。」
ラスボスは玉座でニヤつく。
Aランクモンスターの単独撃破。
それはまさに偉業。ギルドの依頼であればAランクモンスターの討伐はS級冒険者の案件だ。
つまり、今のレオンはS級冒険者にも匹敵する冒険者だということをこの試練で証明した。
スケルトンに殺された青年が、冒険をして成長し、Aランクモンスターに立ち向かい撃破する。
そして神がその偉業を認めて加護を与える。
物語の英雄譚が綴られるその瞬間を今、俺は楽しんでいる。
さぁ、レオン。もっと深く潜ってこい。
もっと俺を楽しませてくれ。
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