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第185話 再会

「すまない、貴方はS級チームクローバーのルーファ殿で合っているだろうか?」

私は酔い潰れたエルフに話しかけることにした。


「ふにゃー?ふふん、いかにも私はS級チームクローバーのメンバーであり、A級冒険者のルーファよ!貴方は??」

エルフはかなり酔っているようで呂律が回っていない。それでもとても誇らしげにそう答えた。


「おぉ、本当か。白銀という冒険者と話がしたいのだが、どちらにいらっしゃるかわかるか?」


「む?白銀のファンか?よしよし、じゃあ、今日みんなで一緒に夜ご飯食べる約束してるから連れて行ってあげる。」 

エルフはそう言って納得してこともあろうに私の頭を撫で始めたのだった。


「ほ、ほう。みんなというのはクローバーのメンバーか?」

こいつ、私は仮にも帝王にして魔王だぞ?魔王の頭を撫でるなんていい度胸をしている。


「そうだ、白銀もリーナもアリもくる。」


「なるほど、それでは私もご一緒させていただきたい。」


「わかった!じゃあ、私と一緒に行こう!…おねぇさんはなにか飲む?」


「いや、私は水でいい。」

こいつまだ飲む気なのか?


この後、時間になるまでこのエルフの武勇伝をずっと聞かされた。

龍の国に行って竜王ダイヤに会っただの、その龍の国の邪教の教祖である王妃をとらえただの。

迷宮の巨大な龍との戦い。



どの話も信じがたく目の前の飲んだくれエルフが本当に冒険してきた内容とは思えなかった。

こいつ本当にクローバーのメンバーなんだろうな?ただのほら吹きじゃないよな?


それにしてもあの邪教は本当に恐ろしかった。

もともと龍妃ロベアは知者として有名であった。

バーバルもロベアが生きているうちは竜の国は落とせないと言わしめるほどの者。それほどの者が教祖であったあの邪教は、人知れず広がり各国の中枢にも潜り込んでいた。

我が国でもその邪教の事件の知らせを聞いてすぐに国内を調査しせたら数人の貴族がその邪教に与していたのだ。


ゾッとした。


我が国にも忍び込んでいたと言うことは当然、他の国にも潜り込んでいただろう。教祖は敵国のトップ。

もしも我が国が龍の国と事を構えることになっていたならば、情報は抜き取られ操作され、籠城すればうちから門を開かれていただろう。抵抗なども許されない。

そしてそれは他の国も同じこと。

龍妃ロベアが存命中に事を構えれば三大王を除くどの国も成すすべなくあっという間に滅ぼされていたのではないか?それほどの力を龍妃ロベアは持っていた。

龍の国はバーバルによって滅ぼされた。しかし、もしも龍妃ロベアが生きていたならば、まだ龍の国は三大王の国としてこの世界に君臨していたのだろう。


そんなことを思いながらこの飲んだくれエルフの話を聞いていた。



「このコスモ亭で待ち合わせしてる。あっ、白銀、リーナはもういるじゃないか!」

やっと時間になり待ち合わせの酒場にルーファに連れてきてもらった。


「ん、やっと来た。あれその人誰?」

白銀とすでに飲み始めていたリーナは少し火照っている顔をかしげてそう言った。


「おっ、来たか。って、もう出来上がってるじゃねぇーか。ん?そちらの魔族の方は?」

ジンはそう言って魔族の女の方に視線を向ける。


ルーファの連れてきた者は黒く美しい髪に額には立派な美しいツノ。褐色の肌を持ち、目はキリッとしていて覇気のある美女だった。


なぜ魔族とわかったかと言うと、額に黒く美しいツノが2本と褐色の肌という魔族の特徴があったからだ。別にクーリッヒでは魔族は珍しくはない。魔族は魔力が豊富に備わっており、魔法が得意だ。だから、エルフ同様冒険者として活躍している者も多い。


「この人は白銀のファンだ。えっと名前は…そういえば聞いてなかったな。」

ルーファは紹介しようとするが、名前をまだ聞いておらず、言い淀んだ。


「貴方が白銀か。私は…貴方たちに依頼したい者だ。どうか私の話を聞いてくれないか?」

アナスタシアはそういうと頭を下げる。


「ふぇ?」

ルーファは意味がわからず変な声をだす。


「依頼?」 

ジンも不審がり、言葉を返す。


「あぁ、後払いになってしまうが報酬は弾む。だから私を帝国まで連れて行ってほしい。」


「まず、貴方がなにものかわからない。報酬を支払われる確証もない。帝国は遠いが連れて行くだけならば、俺たちS級でなくてもいい。つまり、貴方を連れて行くのは困難を極めると言うことだ。例えば、追手がいるとかな。ならば少なくとも先払いでなければ釣り合わないと思うが?」

どう考えても怪しい依頼にジンはさらに怪しがる。


「ん、そもそも依頼をするのならギルドを通すべき。」

リーナの言っていることはもっともだ。

ギルドを通して依頼をすると手数料を取られるためよくギルドを通さずに依頼をしてくる人達もいる。しかし、それはあまり冒険者にいい顔はされない。

ギルドは冒険者に報酬を保証しているのだ。しっかりと支払いができる者からしか依頼を受けないし、もしも依頼人から報酬が支払わなければギルドは保証してくれる。

だから冒険者はギルドから依頼を受けるのだ。


「さすが英雄と言われてるだけはある。相当頭が回るようだな。私も今、貴方達のことを信用して全てを打ち明ける事はできない。私を帝国まで連れて行くと言う正式な契約を結んだ後に私が何者か話そう。報酬は必ず支払う。10億でも20億でも。」


「ふぇ!?10億!?20億!?それも送り届けるだけで!?」

ルーファが報酬を聞いて驚いた。


「すまないがお断りさせて頂こう。俺はそう言う長い期間拘束される依頼は受けたくないんだね。」


「えっ!?白銀、こんな大金貰えるんだぞ?もう少し詳しく聞いてもいいんじゃないか?」


「バカ、どう考えても依頼額がおかしいだろう?それにわからないか?こいつ相当強い。それにもかかわらず護衛が必要だと判断しているんだ。絶対やばいだろ。」


「うん、護衛でその額は流石におかしいと思う。聞いたことがない。」 

リーナも報酬の額を聞いて驚いて魔族の女を怪しんだ。


「どうか頼む。貴方は頭も切れる。貴方なら安心して護衛を頼める。」

アナスタシアはそう言って引き下がらす再度お願いをする。


「んー、アリの話も聞いてみるか!あっ、きたきた。アリ、こっちだ。」

ジンはアリを見つけて手を上げた。


「皆さん、すみません。寝坊です。」

遅れてきたアリが謝罪する。


「寝坊?もう夜だよ?」

リーナはジト目でアリを見ながらそう言った。


「すでに昼夜逆転してるんです!あれ、そちらの方は?」

アリは知らない人がいることに気が付いて尋ねた。


「私は…っ!!?」

アナスタシアは自己紹介をしようと振り向いて驚きのあまり言葉を失い、目を見開く。


「えっ、えっ!?貴方が、いや、…貴方様がどうしてこちらに!?」


アリは驚愕した。この場にいるはずのないその人に。


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