第184話 アナスタシアは冒険者を求める
帰らなければならない。なんとしても帝都に。
そのために強力な仲間が必要だ。私を帝都まで運べるほどの護衛が。
魔王アナスタシアは撃沈された飛行船から命からがら抜け出し、がむしゃらに逃げてなんとか命を繋いだ。
本当ならばバーバルに救命してもらいたかったが、あの戦況だ。まずは自分の身を隠し、できるだけその場を離れることを優先した。
その結果、命を繋ぎ止めたが夜の国はルーの監視が凄まじく容易には近づくことはできない事態になり、自力で戻るしか道がなくなってしまった。
もしも他国に私の存在がバレてしまえば、私を狩り、ルーに嬉々として首を差し出されるだろう。
だからバレるわけには行かないが、1人で帝都まで戻るには困難を極める。
しかし、我が国はドワーフの国を滅ぼし隷属化した。友好国はバーバルの夜の国、モグの地下王国しかない。そして、夜の国は近づけず、モグは裏切った。つまりどの国にも保護は望めない。
そこで私は金で解決することを考える。金で高ランク冒険者を雇うのだ。
これが一番確実で手っ取り早い。本国に戻ればいくらでも払ってやる。だが、問題は依頼を受けてくれる高ランク冒険者がいるかどうかだ。
迷宮都市クーリッヒ。
私は世界で一番多くの冒険者が、最高峰の冒険者達が集う街に向かう。
最高の冒険者の護衛を求めて。
私はクーリッヒに到着するとすぐに冒険者ギルドに向かった。
さすがは冒険者の街、すごい冒険者の数と活気だ。
冒険者ギルドもすごい大きい。
「あれはなしだな…」
冒険者ギルドに入り併設されている酒場で飯を食いながらしばらく冒険者たちを観察する。
そして、昼間だと言うのにだらしなくずっと酔い潰れたエルフが視界の端にちらちらと映る。
エルフというのはもっと気品高いと思っていたが、人によるのだなとどうでもいいことを考えながらそう呟いた。
私は酒場にいる冒険者達の会話に耳を傾ける。
「おい、あれがこの街最高の冒険者チームクローバーのルーファか?本当に?」
「あぁ、あのエルフもA級冒険者らしいぞ。でも、実力は誰も知らないらしい。だが、A級だぞ?強くないはずない。」
「A級になるにはギルドの厳しい審査の目が通る。つまり、あのエルフはギルドにA級冒険者の資格があると判断されているんだ。」
「ホントかよ、だってあいつかれこれ一週間はあんな感じで昼から酔い潰れてるんだぜ?」
「「…たしかに。」」
どうやらあの酔い潰れているエルフはA級冒険者らしい。私もとても信じられない。
冒険者たちの会話を酒場でしばらく盗み聞きしていたが、どうやらこの街の最強の冒険者は白銀という異名をもつS級冒険者ジンという者だ。そして、その白銀の冒険者チームがあのエルフも入っていると言うS級チーム クローバーだと言う。
まずはこのジンというものにコンタクトを取りたい。そのためにはジンのチームのあのエルフと話す必要があるか。
はぁ、こいつ本当にA級冒険者なんだろうな?
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