第169話 退路
「ゲコッ、なかなか逃してはくれないのぉ。メロ、ここは儂に任せて先行し、アナスタシアの飛空挺を落として退路を確保しろ。」
ルーは殿を務めながらメロに退路の確保を命じた。
「ッ御意!師よ、必ず退路を確保して見せますのでご無事で!!」
メロは部隊を率いて浮遊し先行した。
「くぅ、流石に魔王2人相手は厳しいか。だが、もう少しの辛抱だ。バーバルがなにをやったのかはわからんが、凄まじい数の蟻型のモンスターが出現し、なす術なく大魔王ルーの軍勢は撤退している。数隻落とされてしまったが、敵軍の消耗も激しい。ふははっ!このまま粘っているだけで勝てるぞ!!あの大魔王ルーに勝てる!これからは我らの時代だ!!」
アナスタシアはそう言って全軍を鼓舞する。
実際に飛空艇からもルーの軍勢が黒い軍勢に追い立てられて撤退している様が見えているため、帝国軍の士気も高くなっていた。
「くぅ、なかなかしぶといですね。飛空挺に展開されている防御結界がかなり硬い。全ての悪魔たちよ、そのまま総攻撃を仕掛けなさい。どうやらなにかあったようです。退路を確保しなくては!」
魔王シャールブも非常事態を感じとり全ての悪魔を帝国の飛空挺へと向かわせ、自身も攻撃に加わった。
「アナスタシアめ、その飛空挺はそんなに兵士が乗れるか。かなり反撃が激しい。皆のもの、余力など考えるな、総攻撃じゃ!凄まじい数の敵がやってくる!今のうちに退路を確保するのじゃ!!」
飛空挺には凄まじい数の帝国軍が乗っており反撃の魔法や矢を無数に放っている。さらに魔砲も絶えず打ち続けておりかなり味方の被害が激しい。
さらに敵の士気が高まったことにより攻撃の苛烈さが増していた。
魔王ジンジュは味方の被害を気にするよりも、退路の確保を優先するために全軍に総攻撃を命じた。
凄まじい攻防が繰り広げられ、どちらも一歩も引かない。
だが、それもルーの最強の部隊の登場で状況は一変する。
「皆の者!あの飛空挺を落とす!熱線を束ねよ、大熱線!!」
メロの号令によってあらかじめ長い詠唱を唱えていたメロの部隊が一斉に熱戦を放つ。そして放たれた熱戦はメロの魔術によって束ねられ、巨大な熱線となって飛空艇の防御結果とぶつかった。
そして、防御結界を貫き、飛空挺の土手っ腹を貫いた。
大きな穴が空いた飛空挺は火を噴きながら墜落していく。
「よくやった!メロ、それはアナスタシアが乗っていた飛空挺じゃ!皆の者、相手はあの魔王アナスタシアじゃ。確実にアナスタシアの息の根を止めるんじゃ!」
「ふはは!風向きが変わりましたね。さぁ、悪魔たちよ、墜落していく飛空挺に追い討ちを加えなさい。アナスタシアの首を持ってくるのです!」
魔王ジンジュと魔王シャールブの軍勢が墜落していく飛空挺に追い討ちをかけようと襲いかかる。
その行手を阻もうと他の飛空挺が間に入り、飛空艇から魔族たちの軍勢が飛び出てきて打って出た。
「今は退路を確保するのが先決です。魔王ジンジュ殿、魔王シャールブ殿、追撃ではなくまずは目の前の敵の撃破を!」
2人の魔王たちがアナスタシアに追撃を加えようとしているところをメロがいさなめる。
「むぅ、魔王アナスタシアを殺すまたとない機会ではあるが。致し方ない。」
「…そうですね、このままでは我らも危うい。アナスタシアをここで潰しておきたいですが、まずは我が身ですかね。」
メロの部隊も加わり残りの飛空挺を落とし、帝国軍を壊滅させて退路を確保。
その後、蟻の軍勢に激しく追撃されながら撤退してきたルーの軍勢に加わり撤退して行った。
魔王アナスタシア墜落…
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