第164話 マーミヤとポッシル
巨大な木を利用した一際大きなツリーハウスにゴクリと緊張したように唾を飲んでマーミヤは入っていく。
そう、ここはマーミヤの実家である。
「ち、父よ、お久しぶりです。」
マーミヤは顔を強張らせて父を見つめてそう言った。
「えっ!?お前はマーミヤか?帰ってきたのか!?」
椅子に座って休んでいたポッシルは驚いて立ち上がる。
「はい、心配かけました。」
マーミヤは今度は目を伏せて申し訳なさそうに言う。
「おぉ、こんなに成長して…魔力も力強く大きくなっている。それに、一目見ればわかる相当な修羅場を潜り抜けてきたのだろう…本当に成長したな我が娘よ、心配していたよ。」
父であるポッシルは目に涙を溜めてそう言い、マーミヤに近づいて優しく抱きしめた。
「私も父が先の戦いで負傷したと聞いて心配していました。無事で本当になによりです。」
それからポッシルとマーミヤは今までのことをたくさん話をした。
そして、マーミヤの話は今回の目的の話となった。
「ふむ、対大魔王の人類の大連合か…お前の言っていることは間違っていない。間違ってはいないだろうが難しいな。」
ポッシルは顎に手を当て考えながら真剣な眼差しでそう言った。
「父よ、なぜですか!?竜王ダイヤを討つためにエルランドを含め、一度は人類の大国達は手を取り合ったではありませんか。なぜ今回は難しいのですか?」
「マーミヤよ、お前の考えはいつも間違っていない。だが、いつも深く考えられていないのだ。全体を考えられていないと言うべきか、多角的に見れていないと言うべきか。結果やメリットばかりを考えてプロセスを考えられていないと言うか。そこは変わらないな。まず、一度、大連合を組んでしまって失敗してしまっていることが問題なのだ。一度大失敗して我が国を含め列国は大きな損失が出た。大きな同盟には慎重にならざるを得ないし、各国の中では反対派の声を強めたことだろう。」
「うぅ。」
「そして、今我々はお互いを信じられていない。大魔王ルー・チャルロイドの調略により、戦うことよりもルーにの傘下ついた人類の小国も多い。そんなお互いが疑心暗鬼な中、同盟を組んだとて大魔王に対抗できるほどの戦力が整うのか。今は各国の士気も低い。」
「それでも同盟を組まなければ、大魔王達の戦いに飲み込まれてしまいます。手を取り合うべきでは?」
「組むとしても先の戦いの中枢国の我らエルランドか巨人の国アトラース、獣王国ヴァイハラといった大国が軸で進めなくてはならない。しかし、アトラースの王ア・テスは先の戦いで大敗してしまったことにより国内での信頼は失墜し、反乱を起こされ今アトラースは大内乱中だ。獣王国では最強の将軍に与えられる称号を持つ 猛将フェリルが生死不明だ。獣王国では猛将失うと言う意味はとてつもなく大きいのだ。獣王国では国王よりも猛将が重要視されることがあるほどだ。獣王国の士気は今、最底辺。こんな列国の状況の中、大連合を組むことは我々エルランドにとってもリスクでしかない。だから、大同盟を結ぶことは今は難しい。」
「う、さすがです。私の考えでは足元にも及びませんね。」
「お前はあの魔王アルモルドを倒したと言う勇者パーティーの一員なのだろう?もうお前達の発言はどの国も無視はできないほどの功績をあげて力をつけている。私もこの国の中枢の役割を担っている。よく考えて発言し、行動しなさい。」
「では、このままなにもせずに滅ぼされるのですか?なにか打つ手はないのですか?」
「…現状、一国では三大王には太刀打ちできない。それに、なにより我々中枢国の3国が力を合わせても三大王には勝てない。今は他国と外交しつつ守りを固め備えるしかない。」
「父よ、教えてください!私たちは勇者のパーティーはどうすれば人類を救えるのですか?」
「我々が一つになるには最低限の条件がある。一つは人類最強の国である巨人の国アトラースの内乱が治ること。二つ目は獣王国ヴァルハラの猛将の帰還、または新たな猛将の誕生。そして…さらなる強力な友好国の誕生。これでやっと我らに希望の芽が出てくる。」
「ど、どれも難題ですね…わかりました。我ら勇者パーティーも尽力します。」
「あぁ、期待している。我らも外交交渉を進めていく。」
「ところで、万能の二つ名の王女ルーファ様はもう帰っているのですか?」
「え、えっ?ルーファ様か?えっーと、この間帰ってきたけどもうこのエルランドを去ったかな。」
あからさまにポッシルの目がキョロキョロと動き始める。
それはそうだろう。帰国したというか兵士を派兵して強制的に守り人が連れ戻したといったほうがいいのだから。
「やはり!この危機に駆けつけて帰国されていらっしゃったのですね!!あぁ、なんと素晴らしいお方だ。すぐにたったということはルーファ様もなにか重要な役割を担っておられるのでしょう?」
マーミヤは目をキラキラとさせて尊敬の目でそう言った。
「んー、さぁ?ど、どうなんだろうね。」
ポッシルは歯切れが悪く答える。
なぜならば、ルーファは帰ってきて国防に着いてくれという守り人の頼みを知ったことではないと断固拒否しているからだ。
なんなら三大王に立ち向かった守り人に対して余計なことせずに森に閉じこもってればいいなどと言っていた。
「私も頑張らなくては!ルーファ様が命をかけて人知れず1人で戦っているのですから!!」
「…うん!頑張ろう!」
ポッシルは「まぁ、いいや」と呟いてそう言った。
勇者パーティーのやることが明確になりましたね。
ちなみに、ルーファに対しての国民の評価はマーミヤのような感じで支持を集めています笑
なんなら、守り人よりも人気です笑
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