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第161話 大戦争開幕

「侵略した龍の国の民を虐げ、世界の調和を乱す悪王 バーバルを討つ!夜の国に向けて進軍せよ!」


ルーは自ら大軍の指揮をとり夜の国に向けてついに進軍を開始した。


これに呼応し、ルー傘下の魔王達、魔王ジンジュ、魔王シャールブも軍を起こし夜の国に向けて進軍を開始した。




誰もが感じていた。この戦いの行く末でこの世界の王が決まると。








「あはっ!ついに来たね、大魔王ルー・チャルロイド。戦況はどうなってる??」

玉座に座るバーバルは上機嫌にそう言った。


「はっ!国境にてこちらも待ち構え迎撃していましたが、突破されました。現在、砦と主要都市を落としながら王都まで一直線に向かってきています。敵の戦略魔導特別隊の働きが凄まじく、なすすべなく軍が崩壊していっています。」 

血盟騎士団 団長のバラードは戦況を伝える。


「まぁ、あれはルーの虎の子の最強の軍だからね。仕方ないよ。国境付近に伏せてあった伏兵はどうなった?」


「敵別動隊にて刈り取られました。」


「アナスタシアやモグからの援軍は?敵がある程度私の領土に侵攻してきたら背後を打ち、こちらの軍と挟撃する策を言ってあったはずだけど?」


「はっ、魔王モグ様はおそらくルーにすでに調略され出陣せず。魔王アナスタシア様は大軍を派兵してくださっていますが、ルーの策略により道が塞がれ迂回せざるを得なくなっており大幅に到着が遅くなっております。逆に、大軍を派兵したことが仇となっているようです。」


「モグはあとで絶対に殺す。うわぁ、なんにも上手くいかないじゃん。強すぎでしょ。んー、知恵比べでは勝てる気がしないなぁ。敵軍はもう少しで魔砲の配備場所かな?」


「魔王アナスタシア様のルミオン魔導大帝国からの技術提供されたものですね。はい、もう少しでその地点に差し掛かります。」







「ルー様、敵の兵器により味方前線が大きな被害を受けています!」

隊長のメロが今もなお砲撃を続けている魔砲を指差して慌ててルーに報告する。


「ほう、あれは魔筒か?ルミオン魔導大帝国の技術かの?懐かしいのぉ、ワイス大魔道大国との戦いを思い出す。あれにはなかなか苦戦した。じゃが、まだまだ開発初期の技術じゃよ。陣形を変え、左右に展開して進軍せよ。あれはまだ固定式のはずじゃ。可動式ではない。」


このような兵器はこの世界には珍しい。なぜならば、魔法があるからだ。わざわざ兵器を使わなくても攻撃するならば、魔法で事足りてしまう世界だ。

しかし、あえてルミオン魔導大帝国は兵器開発に力を入れた。魔法が得意な種族にもかかわらずだ。

なぜか?それはひとえに魔王アナスタシアが優秀であるからに違いない。

彼女は兵器の強さに気づいていた。

優れた魔法使いには才能とコストと年月がかかる。打てる回数もかぎられるし、なにより意思がある。

対して兵器はどうだ?優れた魔法使いと同等の火力の魔法を放てる兵器ならば?金はかかるが量産でき、魔法使いを育成するよりも圧倒的に短い年月で製造できる。そして、魔力がなくとも誰でも扱える。

つまり、凄まじい軍事力の向上が望めるのだ。

この考えは魔法の得意な種族からしたら異端の考えだ。変わり者だと笑われる。しかし、アナスタシアは兵器開発に力を注ぎ続けたのだった。





ルーの読み通りルミオン魔道大帝国の開発した魔砲は地面にしっかりと固定して放つ固定式で角度も向きも変えられなかった。


もしも、これがルーでなければ甚大な被害を齎していただろう。

いや、すでにルーは過去に甚大な被害を齎していたのだ。ルミナス魔導大帝国が足元にも及ばない遥かに凄まじい技術力をもっていたかつての強国 ワイス大魔導大国とも戦ってきたルーにはルミオン魔道大帝国の魔砲はただの子供騙しであった。




「前方にさらに敵の大軍が出現!」

魔砲を処理し終わったメロが更なる敵軍を視認する。


「ふぉ、力比べて勝てると思ったかの?メロ、焼き払え!」


「御意、皆のもの構えろ!一斉に最上級魔法 熱線を放つ!」


一斉掃射する直前、ルーの静止がかかった。



「待て!!あれは、飛空挺じゃと!?」

ルーは目を見開いて驚く、ルミオン魔道大帝国の国旗を掲げた空飛ぶ巨大な船が三隻、自軍の後方より現れたのだ。


「ふはは!!道を塞いだくらいで今の我が帝国の進軍は阻めぬ!三大王ルー・チャルロイド、我が帝国の技術力の前に沈め!一斉掃射、放て!!」


巨大な飛空艇に備え付けられた無数の魔砲がルーの本陣に放たれる。


「くっ!?メロ、まずはこの飛空挺を落とすぞ!」


「ルー様、あれはなんなのですか!?空飛ぶ船!?」

メロは空飛ぶ船を見て驚いて目を丸くした。


「ふはは!!これが我が国の技術力だ!!防御結界を展開せよ!」

ルーの軍勢も反撃に魔法を打ち返すが、飛空挺の周りに堅固な防御結界が展開されルーの軍勢が反撃に放っている魔法が防がれる。


「あれは飛空挺じゃ!まさか飛空艇を作れるほどの技術力があるとは…そうかドワーフか!!奴等、滅ぼしたドワーフの国を取り込み躍進的な技術改革を行ったのか?」

数年前、ルミナス魔導大帝国はドワーフの国を滅ぼしドワーフを奴隷として取り込んだ。

ルーの言う通り、ドワーフの技術とルミオン魔導大帝国の魔法技術が合わさることによりルミオン魔導大帝国は凄まじい技術革新を迎えていたのだった。


「ゲコッ、バーバルよりよっぽど手強いじゃないか。」


「ここはお任せください。」「ここは儂たちに任せて進軍を。」

すでに合流していたルー派閥の2人の魔王、魔王シャールブ、魔王ジンジュがそう言ってルーの前に現れた。


「ふぉ、では、ここは任せようかの。全軍前進!背後を気にせず進軍せよ!!」

ルーはそう言って軍隊の指揮に戻った。


「ふふっ、空飛ぶ船とは面白いですね。鹵獲して遊びたいですね。悪魔達よ、あの船を奪いなさい!」

シャールブ軍の無数の悪魔達が笑い声を上げながら翼を生やし船に向かって飛び立った。


「空飛ぶ船か、有用性は計り知らないのぉ。物資や兵士の輸送、空からの行える砲撃、天気には左右されるじゃろうが悪路などは関係ない。なるほど、だからアナスタシアはあれほどドワーフを手に入れるのに躍起になっていたと言うわけか。末恐ろしい。あの女帝はここで殺しておくべきじゃ、皆のものあの船を落とせ!」

魔王ジンジュは魔王アナスタシアの伸び代を考えて全力で殺すことにした。魔王ジンジュの虫型のモンスターや獣系、植物系のモンスターなどが羽や翼のあるものは羽に飛び立ち、遠距離攻撃の手段をもつ物は飛空挺に攻撃を始めた。

ルミオン魔導大帝国はドワーフを取り込んで帝王アナスタシアの目論見通り飛躍的な技術革新を遂げて強国となりました。しかし、その裏にはアナスタシアの懐刀による大粛清が行われていたのです。


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