第156話 ルーの羨望
「ルー様、よろしかったのですか?あのままあの勢力を放置していたらいずれ取り返しのつかないほどの勢力になりますよ。なにせ、敗れた魔王達の大将軍が集っているのです。それに大精霊をも従えたあの少女の力…今のうちに潰しておかなければ!」
メロが行軍の指揮をとりながらルーに不安そうにそう言った。
「ふぉ、そうじゃな。なぁ、メロ。魔王アリアが言っていたあの夢は現実可能だと思うか?」
「ふふっ、あの全ての種族が助け合い笑い合えるとか言うやつですか?不可能かと。それもあんな人間の少女ができるわけありません。」
「ふぉ、儂も最初ムー様がその言葉を聞いた時、狂人の戯言かと思い鼻で笑った。今もそうじゃ、狂人の戯言だと思う。」
「うふふ、そうですよね。」
自分の思いがルーと同じだったことにメロは少し嬉しくなる。
「儂はムー様を世界の王にするために全力を尽くした。正直、普通に世界征服をするのならばもしかしたら叶っていたかもしれない。ムー様もまだ健在でこの世界を統治していたかもしれない。それほどあの子の言っていたことは難しいことじゃ。かつての凄まじく強力な勢力や国は今の世界にほとんど存在しない。今の時代は懸念となるのはダイヤやバーバルくらいじゃった。それでも儂はあの子の言う全ての種族が助け合い笑い合える国というのは難しいと思う。」
「単純に難しいですよね、全ての種族の入り混じった国。」
同じ種族ですら国が分かれている。文化が分かれている。それが種族単位で違うのだ。分かり合えるのか?仲良く暮らしていけるのか?
愚問だ、無理に決まっている。
「あぁ、儂には無理じゃろう。そう思う。」
「ルー様で無理ならばできる人はいないでしょう。」
「儂はそれに足る器ではない。しかし、あの子ならばもしかしたら、そう思わせる力があの子にはある。」
「随分買っていんるですね、あの子を。」
我が師はあの子のなにをそこまで買っているのだろう?確かに大精霊を従えている。アーガストなど亡国の英傑も彼女の下に募っている。
しかし、我が国が今本気であの子の国に侵攻をすれば、我が師が本気であの子を潰そうとすればひとたまりもないだろう。
私は今よりも力をつける前にあの子をあの魔王を生かさず潰しておいた方が得策だとどうしても思ってしまう。
「あの子の言葉は人の心を震わせるのじゃ。その者がかけて欲しい言葉、態度をとる。それはきっとあの子がその者の一番大切なものを無自覚に感じ取れるからなのだろう。だから心が震わされる、魅了される。あの子の言葉に引き寄せられる。あの子を応援したくなるのだろう。人を魅了するカリスマ。それは確かな王たる資質じゃ。」
「しかし、まだ少女です。」
「その少女にこの世界に名を馳せていた魔王達の大将軍が、大精霊が従っているのじゃ。彼女は愛されている、世界に、神に。儂はそう感じる。儂もバーバルと戦争していなかったら、あの子を我が国に招き、王としての教えを与えたかった。近くであの子を支えてあげたかった。」
ルーはそう言って拳を固くする。
「なっ!?」
「あの子は大魔王の儂ですらそう思わせてしまうのじゃ。本当に惜しい。」
「師はそれほどまであの子に可能性を感じたのですね。」
「ふぉ、嫉妬すら感じるよ。」
ルーはあのスケルトンの言った言葉を思い出す。
—あはは!君じゃ無理だろう?—
君では無理、つまりあの子ならばできると言うのか?魔王アリアならば全ての種族の王に、世界の王になれるというのか?
嫉妬せざるを得ないじゃろう。
儂よりも、そしてムー様よりも大きな器を持つ彼女に。
志しが同じのムー様と魔王アリアとの一つ大きな違いがある。
ムー様は各国を侵略や吸収して従えていった。それはあの時代には仕方がないこと。それでも慈悲の治世を行なっていた。しかし、従えられた国や王達には禍根が残った。
一方魔王アリアは英雄たちが集うのだ、彼女の下に!求められているのだ。世界に、時代に、人々に彼女は求められている!それてこれからもっと彼女は求められるだろう。時代が血に濡れらればられるほど彼女を求める声は強く大きくなっていく。
それはとてもとても大きな違いじゃ。
悔しい、求められなかった我が主が。
そして羨ましい、求められる彼女が。
従わせられるのと従うは違います。アリアのカリスマの前に皆が集い、従っていく。それはムーとは明確に違う点でしょう。
「面白い!」「続き読みたい!」「最後まで見たい!」など思った方は、ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします!一言でも感想お待ちしております!!




