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第155話 大魔王ルーと小さき魔王アリアの対話

「ストーンマンじゃと?」


—我らの主よ、我らは貴方を守り抜こう。我らに力を与えてくれ—


「力ですって?どうすればいいの?」

アリアは首を傾げる。


—主の持っているその杖を我らに与えて欲しい。それで我らは力を得られる—


「これは世界樹の小枝?いいよ、あげますわぁ!私の力になりなさい!」


—あぁ、ありがとう。永遠の忠誠を我が主、アリア様に—


世界樹の小枝を受け取ったストーンマン達は一つになった。


ストーンマンはモンスターというより精霊だ。


精霊とは世界樹から生まれる。

今の世界樹は弱っている。その為精霊も弱い精霊しか生まれてはこない。


アリアが持っている世界樹の小枝は力ある時代の力の満ちた世界樹の小枝だ。


凄まじい力を内包しており、そしてそれは精霊にとって凄まじい進化を促す媒体となる。



ストーンマン達に宿る精霊たちは大地の大精霊へと大きく進化を遂げる。



大地がうねる。


土が盛り上がり巨大な人形へと変貌していく。


「我は大地の大精霊。大魔王ルーよ、引きなさい。我が主を脅かすことは許されません。」


大精霊、その強さはSランクモンスターにも匹敵する。



「大精霊じゃと!?」



「えぇ!?ストーンマン達がおっきくなっちゃいましたわぁ!?」



「大精霊の力を行使するじゃと!?そんな話聞いたことがない!大精霊とは神に近しい存在じゃ。それを使役するじゃと?ありえん!!」


「ふふっ、行使ではない。私はアリア様に服従している。我が全ての力はアリア様のために。」


「あ、あり得ない、服従じゃと!?普通、エルフの精霊術師ですら精霊を使役しているのではない。精霊の力の一部の力を借りているだけだ。精霊の、それも大精霊の力の全てを行使できるじゃと?」


「そうだ。引かぬというのなら…滅する。」

大地の大精霊はそう言うと巨大な岩の手だルーの出していた巨大な水の剣を握りつぶし消滅させる。


「ゲコッ、術者を狙うは戦いの定石よな。ウォータースラッシュ!」

ルーはアリアに魔法を放ち攻撃する。


「アリア様には指一本触れさせはせぬ。」

地面が競り上がり岩盤の壁にルーの魔法は弾かれた。


「ふぉ、やめじゃ。大精霊相手では儂もただでは済まなそうじゃ。」

ルーはそう言うと杖を下げた。


「引いてくださるのですか?」

アリアは真っ直ぐにルーを見てそう聞いた。


「あぁ、どうやらお主は魔王に値するようじゃ。少し話をしようか?小さき魔王アリアよ。お主の元には今アーガスト、アドネス、ガーダと言ったこの時代の英傑が集っている。この者たちはお主がなにもしなくとも再び力を集め、かつての軍団の力を取り戻す。その主人であるお主もとてつもない力を得るじゃろう。そして、大精霊すらも従えた。お主はその力でなにを成す?」 


「言ったでしょう?全ての種族が助け合い笑い合える国を創りますわぁ。」


「種族が違う者達が手と手を取り合うということは難しいことじゃよ?信じているものも違えば価値観も違う。見かけが違ければ差別もあるじゃろう。お主がしようとしていることはとても難しいことじゃ。そして、お主が全ての種族の王となってもお主は人間じゃ。たとえ人間でなくともどの種族が王となったとしてもそれは不満を持つ者がいるとは思わんか?」


「私もたくさん考えました。全ての種族は私の下で…いえ、一つの国の一つの民となりますわ。王はみんなで選べばいいのではありませんか?別に王は私でなくともいいと思います。そして、私が考える国では王は裁きを下しません。みんなでルールを作るのです!そのルールに基づき国は治められるのです。みんなで決めたルールならば、そこに種族な隔たりはありません。」


「ふぉふぉ!なるほどのぉ?沢山考えたのじゃな。そうじゃな、それは儂もムー様に仕えていた頃に考えた。考えた結果…それはこの世界では現実的ではない。」


「えっ?」


「絶対的な力を持つ個がいるこの世界では法とは力の持つもの意志じゃ。力を持つものの言うことこそがルールなのじゃ。善性をもち力を持つ者が国を治めることが理想じゃ。選挙制に王を選びだすことはが必ずしも良いとは限らない。選ばれることにだけ特化した王かも知れないじゃろう?それに種族の人口はそれぞれ違う、人口の少ない種族は多くの票を待つようにするのか?それは平等か?公正なのか?その采配はかなり難しい問題じゃ。そして良いか、小さき魔王よ。法は弱者にすら容易に破れるのものじゃ。法を守るには守るだけのモラルが必要じゃ、では、守らせるのは誰じゃ?王じゃよ。儂から言わせれば選挙制に王を選ぶ体制をとるのはあまりにも早すぎる。王が必要じゃ、それも強き王が。お主はその王になれるのか?お主という存在が全ての抑止力なり、誰もがお主が王だと認めざるを得ないそんな存在にお主はなれるのか?」


「無理ですわぁ!」

アリアは胸を張ってそう言った。


「なぁ、無理じゃと!?」  

ルーは思っても見なかった回答に目を丸くする。


「私が目指している王は、力でみんなに言うことを聞かせるような王ありませんの。困っている人が頼ってくれる王になればいいと思いますのぉ!拳を振り上げるのではなく、私は立ち上がるための手を差し伸べたいのですわぁ!!」


「ゲ、コ。立ち上がるための手を差し伸べる、か…そうか、お主はそう言う王になるのか。魔王アリア、お主の名前しかと覚えておこう。」


ルーは少し時間を置いて真っ直ぐにアリアを見つめて最後の質問をした。


「流した血が報われるくらい優しい国をお主は創れるか?」


「もちろんですわぁ!!」


「ふぉふぉ!大きな器じゃ、儂よりもずっとな。撤退じゃ!」


「よろしいので?」

メロが構えていた杖を下ろしてそう聞いた。


「良い、さらばじゃ小さき魔王アリア。」

ルーはそう言うと軍を引き連れて去って行った。








—よかったな、アリア。ルーから合格をもらえたみたいだったぞ?—


「スケさん、大魔王ルー様は本当にすごいお方なのですね。私の考えていた王の話を聞いて正してくれました。王なんて私でなくてもみんなで選べばいいと思っていましたの。もしも、このまま進めていたら私は大失敗をしていたかもしれません。」


—そうだな、まぁ、お前の周りには優秀なやつらがたくさんいる。何かアリアが間違っていたら正してくれるだろう。ルーはアリアよりも遥かにたくさんのことを考えてきたんだろう。たくさんの王とも会ってその王達の最後も見てきたし終わらしてきたんだろう。アリア、お前もその内の1人だ。そのルーからお前は認められたんだ。それは誇っていいと思うぞ—


「ふふっ、ありがとうねスケさん。スケさんって本当に何者なんでしょうか?昔の英雄さんとか?」


—何者か。俺は…アリア、君のファンかな!あははっ!!—

スケさんはそう言うとカタカタと笑う。


「じゃあ、スケさんに見せなくちゃね、私の最高の物語を!」

アリアはそう言って笑うとスケさんをぎゅっと抱きしめた。

この世界で大精霊とは神にも等しい存在です。


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