第152話 大魔王からの侵攻
「我が師よ、魔王アリアというものをご存知ですか?」
メロが儂にそう尋ねてくる。
「ふぉ、なんでも滅んだ魔王の残党どもを従えているらしいのぉ。オーク騎士団のガーダ、死霊騎士団のアーガスト、そして四龍が1人 赤龍アドネス。全員大物じゃのぉ。これほどの者たちを従えるとはどんな輩かのぉ?」
かの大将軍達を従えるほどの器、只者ではなかろうて。
「それがなんでも人間の少女だとか。」
メロかそう言ってニヤリと笑う。
「ふぉふぉ、バカを言ってはいけない。ただの人間の少女にこの時代の英傑とでも言える者達が従うか?じゃが、バーバルと全面戦争をする前に一度確かめに行かねばなるまい。さすがに看過できん勢力となっている。」
人間の少女じゃと?どんなデマじゃ。人間の少女なんぞに付き従う者どもではない。
そうアリアの勢力はさらに拡大している。
まずオークの難民の受け入れ。オーク達は意外にも各地でしぶとく生き残っていた。そして、ガーダがいることでアリアの領地に集結していた。
魔王アルモルドは滅びたがその支配下であったアンデッドはいまだにかつての魔王アルモルド領を徘徊している。そのアンデッド兵たちをアーガストはかき集め、アンデッド兵団を構築しつつある。
そして龍達だ。バーバルからうまく逃げられた龍達は各地に散ったが赤龍アドネスが新たな竜王に仕えたと聞きつけ、アリアの治める地に集結していた。
もうアリアは他の魔王にも引けを取らない。いや、他の魔王よりも明らかに軍事力を持つ魔王となっていた。
「ふぉ、軍を準備しろ。」
儂はメロに軍の準備を命じた。
「御意!」
ルーは3万の軍を引き連れ魔王アリア領に向かう。
「急報!!三大王ルーが三万の軍勢を率いてこちらに向かっております!」
オーク兵が慌てた様子でガーダの元に来て報告する。
「なに!?至急守りを固めよ!オーク騎士団にもいつでも出撃できるように準備を!俺はアリア様に報告しに行く!」
ガーダは素早く指示を飛ばし急いでアリアのもとに向かった。
ガーダは思う、ついに来てしまったかと。
「アリア様!三大王ルーが三万の軍勢を率いてこちらに向かってきていると!」
ガーダはすぐさまアリアの元へ到着し、アリアに報告した。
「えっ!?三大王ルーが!?なんですのぉ?!」
アリアは急な事態に困惑している。
「出る杭は打たれるのだよアリア。ルーはおそらく急成長しているアリアを潰せる内に潰す気だ。」
スケさんがカタカタと笑ってそう言った。
「なっ!?スケさんそんな人ごとみたいに。でも、本当にそうかは話してみなければ分かりませんよね?とりあえず相手の目的が知りたいです。使者を出しましょう。」
「わかりました。使者を出しましょう。それと守りも固めていつでも戦えるように他の砦からも軍を集めておきます。」
「そうですね、さすがガーダです!お願いします。」
「使者が帰ってきました。」
ガーダは使者を連れて再度アリアの前に現れた。
ちなみに、この場にはアーガスト、アドネスも同席してもらっている。
「三大王ルーはなんて言っていました?」
アリアは不安そうな顔でルーのもとに送ったオーク兵に訪ねた。
「はっ、一言一句違わずお伝え致します。「魔王は我の許可制である。我の許可なく魔王を名乗り勢力を拡大している貴公は我らへの敵対行為とみなす。早急に我の前に出て弁明されたし。さもなくば滅するもやもなし。」とのことです。」
「し、知りませんでしたわぁ!?魔王って許可制でしたの!?そんなぁ!ど、どうしましょう?」
「いや、これはただの言いがかりだ。魔王が許可制なのはルーが言っているだけ、こちらを攻めるための大義にすぎん…戦いは避けられんな。」
アーガストが腕を組んでそう言った。
「アリア様は避難を。ここは我らにお任せください。」
アドネスがアリアの避難を提案する。
「いえ!私もここに残ります!」
アリアは気丈にそう答える。
「ここは危険です!」
アドネスがアリアを真っ直ぐみてそう言った。
「わかっています!かつての私のような愚行は致しませんわぁ。ルーともしも会話で解決できるとしたら私が話すのが筋ですわぁ。それに私はもう逃げていい立場ではありませんの!皆、力を貸して!ここの地は奪わせませんわぁ!!」
そうアリアはもう逃げていい立場ではないのだ。
これからアリアは逃げたくとも逃げられない立場となった。
アリアはもうただの貴族の子女ではないのだ。
彼らを率いる魔王なのだから。
「ふむ、ここが魔王アリア領か。ふぉ、本当にアーガストがいるわい。面倒な。一度魔王アリアとやらと話がしてみたいのぉ…じゃが敵さんはやる気みたいじゃな。」
ルーはそう言うと軍列を整えさせる。
なぜか?アーガストが死霊騎士団とアンデッド兵1万を率いて突撃してきているからだ。
「もう貴様の策に嵌り、主は失わぬ!大魔王ルー!ここで死ぬがいい!」
アーガストが凄まじい魔力を滾らせてルーの軍勢に切り込んでくる。
アーガストを止めることはできずルーの軍勢は奥へ奥へと切り進んでくる。
「ふぉ、恨まれておるのぉ。それはそうじゃろうなぁ。あの時、儂が向かわせたシャールブがお主の背後を強襲しなければお主は勇者パーティーを滅し、魔王アルモルドは未だ健在だったのだからなぁ。」
「馬鹿なのが悪いのですよ。まぁ、我が師の前ではすべてが凡愚ではありますが。戦略魔導特別隊は杖を構えなさい!」
メロはそう言って自身の部隊に攻撃する準備を命じる。
なぜならば、アーガストの突破力が凄まじくもうすぐそこまで迫っていたからだ。
「大魔王ルー・チャルロイド!我が主には指一本触れさせぬ!」
アーガストがルーの守りを突破し、本陣にまでたどり着いた。
「化け物将軍が!アルモルドと一緒に朽ち果てればよかったものを!ホーリーレイ一斉掃射!!」
メロの号令と共にアンデッドに特攻の魔法が放たれる。
「なっ!?」
アルモルドの死霊騎士団はメロ率いる戦略魔導特別隊の一斉掃射を直撃…したかに思えた。
「なんですって!?あれはサンクチュアリ!?」
メロが目を疑う。なぜならば神聖魔法の最上位魔法であるはずのサンクチュアリが死霊騎士団の前に展開されホーリーレイの一斉掃射を無力化したのだから。
そう、アーガストはまだ持っていたのだ、ジンから受け取ったチートアイテム 神の守りの十字架を。
「まさかこれを使うことになるとはな。冒険者ジン、感謝するぞ。者ども滅ぼせ!」
死霊騎士団の足が早まりメロと戦略魔導特別隊のすぐそこまで迫る。
「ま、まずい!?」
アーガストの凶刃がメロの喉元に迫る。
「ゲコッ、させんよ。アクアドーム、ドラゴンウォーター。」
さすがは死霊騎士団とアーガストですね。あっという間に敵軍の主要部隊に迫ることのできる凄まじい武勇です。
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