第151話 龍の誇り
「なんだこの小娘は?」
私は急に出てきた人間の少女を見る。
咄嗟にアーガストとガーダがその少女の前に護るように立ちはだかった。
「このお方こそ我らの王 魔王アリア様です。」
ガーダがそう言って我らを警戒する。
「そういうことだ。」
アーガスも威圧感が増していつでも斬りかかってくるような圧を感じる。
まさかこんな小さな人間の少女がこの2人が従っている王だというのか?
にわかには信じられない。
「我が名は元龍の国 四龍が1人 赤龍アドネス。名を。」
「えっ!?龍の国の四龍!?え、えっと。私はアリアです。全ての種族が平等で分かり合える国を作りたいと思っていますわぁ〜!」
ねぇ、スケさん。どうしよう竜王ダイヤのすごい将軍が来ちゃったよ!?
と隣のスケルトンをぐらぐらと揺らしている少女からは他の魔王のような威圧感は感じない。
「アドネス殿、要件は?」
話が進まなそうな様子をみてガーダがそう言った。
「あぁ、我らは国を亡くし主を無くした。拠り所が欲しくてな。こちらの噂を聞いたので来たというわけだ。」
「つまり、貴方たちは難民というわけですか?」
アリアがそう言って首を傾げる。
「うっ、そうだな。そうなるな。」
屈辱的ではあるがそうなるため私は頷いた。
「へぇ、そうなのですか。もちろんいいですよ。貴方達を迎え入れ温かい食事を出しましょう。もう戦わなくていいですわぁ。貴方達をこの私が守って差し上げますわぁ!」
そう言ってアリアは手を差し伸べる。
私はその手をなぜか取りたくなかった。それが目的で来たはずなのに、なぜかその手を取ってしまったら私は終わりな気がする。
「アリア様、今この者たちを受け入れてしまったら三大王バーバルに目をつけられますよ?いいのですか?」
ガーダはアドネスたちを受け入れた場合の不利益を考えてアリアに暗に突き返せと伝える。
「ガーダの言う通り。追い返すのが最善だと思うぞ?」
そしてそれはアーガストも同意見であった。
「私の国では救いの手を求めるものには手を差し伸べますわぁ。最後にみんなが辿り着くような最高の国を私は作っているのです。私は世界で一番優しい魔王ですから。さぁ、手を取ってくださいまし!」
そう言ってアリアは手を伸ばす。
「あ、あぁ、よろしくたの…えっ?」パチンっ!
私が手を伸ばそうとしたらその手はアリアによって叩かれた。
「違うでしょう?」
笑顔だったアリアはさっきとは打って変わって真剣な眼差しで私を見てそう言った。
「えっ?」
私は突然のことで驚いた。
「なぜあなた方も安心したような顔を浮かべたのですか?貴方達は誇り高き龍軍なのでしょう?バーバルに心まで殺されてしまったのですか!?」
アリアは私の後ろに控えている100の龍に向かってそう言った。
「食事を与えてくれるですって?守ってくれですって!?今の貴方達は誇り高き龍ではありません!ただの弱者です!バーバルに誇りまで砕かれた成れの果てですわぁ!!」
アリアはそう言ってビシッと私を指を刺す。
「誇り…?お前になにがわかる!?国が滅びるということの、何がわかるというのだ小娘!!」
私は怒りのあまり人化が解けて本来の巨大な赤龍の姿となった。
「だから私はそんな者たちのための国を作りたいのです!!貴方達は何ですか!?負けたから、助けてください?それでも大空の覇者たる龍の言葉ですか!?龍の、貴方達の誇りはもうないのですか!?」
アリアは怯まずにそう言った。
「言わせておけば!!」
私の怒りは最高潮まで達しこの小娘を灰にすることを決める。
私はドラゴンブレスをアリアとかいう小娘に放った。
「ダークオーラ!!スキル 腐食の纏い!コロージョンスラッシュ!!」
「身体強化!スキル 怪力!うぉー!!パワースラッシュ!!」
アーガストとガーダによってアドネスのドラゴンブレスは切り裂かれて防がれた。
「トカゲめ、アリア様に向かって火を吐いたな?」
アーガストがアドネスに剣を向ける。
「看過できん!皆ものも龍を血祭りにあげようぞ!!」
ガーダがオークの戦士たちを集め出した。
「待ちなさい!私の質問にまだ答えていません。赤龍アドネス、そして龍軍の龍達よ!貴方達の誇りはもう潰えてしまっているのですか?ただの負け犬に成り下がってしまったのですか!?違うでしょう!?貴方達の中にはまだ誇りがある!だから、すぐに私の手を取れなかったのでしょう?違いますか?」
「そ、それは。」
「では、貴方達の誇りとはなんですか?」
「我らの誇りだと…?」
私はその言葉を反芻する。
「龍は屈しない!」「我らは大空の覇者。」「圧倒的な強さだ!」「我らこそ至高の種族!」「龍の潰えない炎だ!」
アドネスの後ろで控えていた龍達が人化を解き、本来の龍の姿となり各々が思う龍の誇りを言い出す。
「龍の国は滅びました。しかし!龍の誇りは滅びない!そうでしょう!?」
アリアの声かけに龍達が雄叫びを上げる。
なんなのだ、この少女は!?
いったいなんだというのだ!?
「誇りを思い出すのですわぁ!龍達よ、私は貴方達の誇りを尊重します!私の元で一つの民に加わりなさい!そして、私に仕えるのです!その炎で護るのです!もう誰にも奪われてはいけません。脅かされてはいけません!私が貴方達の新しい王となる!その誇りを私に捧げなさい!」
「「「グゥアァー!!!」」」
100の龍達がアリアの呼びかけに呼応して雄叫びを上げて頭を下げる。
新しき龍の王を迎え入れるように。
「赤龍アドネス!いずれ取り戻しましょう!貴方達の祖国である龍都 ハクアを!私の誇りに賭けて!」
「あぁ、なるほどな。こういう力か。バーバルに打ちのめされた我らの誇りすら蘇らせ、従える大きな器。そして魅せられてしまう、この子の言葉に。」
私はアーガストとガーダを見る。2人とももう剣は収めてこちらを見て頷いている。今ならわかる、彼らもこの子に魅入られたのだろう。
隣のスケルトンはうるさいくらいカタカタ笑っている。
「赤龍アドネスと龍軍は貴方様に忠誠を誓います。龍の誇りに賭けてあなたの敵を消し炭にし貴方と盾となりましょう。新たなる竜王に万歳!」
私はそう言って空に向かってドラゴンブレスを放つ。
「竜王様万歳!」「アリア様万歳!」
龍軍も空に向かってドラゴンブレスを放つ。
あはは!!
すごいねアリア。あの三大王ダイヤの最強の軍団 龍軍と四龍の1人アドネスすら従えたか。
そして竜王の称号を得た。
アドネスに認められた竜王アリアの元には、各地に散った龍たちがアリアの力になるために馳せ参じるだろう。
もうアリアは小さな魔王ではない。
アリアは世界を脅かすことのできる脅威の魔王だ。
あんなか弱い貴族の小娘が今や魔王ブーモル、魔王アルモルド、三大王ダイヤの軍団を吸収した魔王となった。
どれだけアリアは俺を楽しませてくれるんだ!
でもね、出る杭は打たれてしまうのだ。
さぁ、次はどうするアリア?次の相手は君の声が届く相手かな?
アリアはついに三大王の必殺の軍までも手に入れました。
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