第150話 集う英雄3
「くっ!デリア様はどこに行ってしまったのだ?」
なんとかバーバル軍の包囲網から脱出したアドネス率いる龍軍は途方に暮れていた。なぜか?
死に物狂いでなんとか逃したデリアがどこかに行ってしまったからだ。
デリアはあまりにも目立ってしまう龍軍を捨て、自分のいうことを聞く腕の立つ邪竜信者少数のみを連れて他国の権力を持つ邪竜信者の所に身を寄せたのだ。
取り残された龍軍はなぜデリア様が居なくなったのか分からず困惑していたのだ。
しかし、アドネスだけはなんとなく分かっていた。デリアという王女のことを。
なんとなく悟っていたのだ、邪悪な気配を、女王ロベア様が処刑されたあの日から。
だから、自分たちが切り捨てられたのだと気づくのにそう時間は要らなかった。
今心配しているのは残った龍軍100匹をどう面倒見るかだ。
どこかに雇われるというのは現実的ではないだろう。
我らを雇う、匿うということは三大王バーバルに目をつけられるということだ。
では、竜王ダイヤの派閥であった魔王ミンクの元に行こうかと考えたが、魔王アナスタシアの軍勢に攻められ、さらに竜王ダイヤ様が敗れたことでバーバルからも援軍が送られてすでに戦線は崩壊。
自身が治める妖精の森に強力な護りの霧を張って外界と遮断してしまっているため、もうミンク元へは行けないだろう。
どうするか迷っているとこんな噂が流れてきた。
どんな種族だろうと難民だろうと受け入れてくれる王がいる。オークだろうとアンデッドだろうと人間だろうと。困っているならどんな種族でも受け入れ手を差し伸べてくれる魔王がいると。
そんな魔王いただろうか?
この世界の混乱に乗じて発足した小さな新興勢力かなにかか?
まぁ、いい。今の我らは拠り所が必要だ。ダメ元で行ってみるのも悪くない。
そう思い私は龍軍を率いてその魔王がいる森に向かった。
その森はかつて魔王ブーモルが支配していた森。
新たな魔王の名前は…
魔王アリアとか言ったかな?
「止まれ!貴様らは何者だ?」
龍軍を率いて例の魔王が治める砦に入ろうとしたらオークの兵に止められた。
それはそうだろう。我らは目立たないように龍の姿ではなく人化しているとは言え100人の武装集団だ。
「魔王アリア様に取り次ぎを。一度話をさせて欲しい。」
私はオーク兵にそう言った。
「いきなりアリア様に合わせるわけなかろう!まずは名を名乗れ!」
「我が名は赤龍アドネス。かつて竜王ダイヤ様の元で四龍と呼ばれていた龍の国の将軍だ。」
「ひっ!?ま、まさか本当にあの赤龍アドネスなのか!?わかりました!すぐに上のものを呼んでまいります。」
オーク兵はそう言って砦の中へと駆けていった。
「赤龍アドネス殿がなぜここに!?」
そう言って出てきたのは屈強そうなオークであった。
むっ、こいつ知っている。確か…ブーモルのところの将兵だったな?名は確かガータ。魔王ブーモル軍の最強のオーク騎士団の団長。
魔王ブーモルはもともと竜王ダイヤ様の派閥の魔王だ。有能だった将兵は私でも知っている。
「少し魔王アリアと話がしたい。可能か?」
「アリア様は不定期で来ます。今はいないので砦の中で数日待って頂くことになりますが?」
「わかった。…お前は魔王アリアに仕えているのか?」
ガーダは魔王ブーモルの第一将だ。
そんな大物がなぜ新興魔王のところに?
「私はオークを救ってくれる魔王アリア様に忠誠を誓いました。」
「お前程の者が付き従うほどの魔王ということか?」
オーク騎士団は弱くない。数で補っていた節はあるが歴戦の猛者どもの軍勢だ。その軍団長であるガータも有能な指揮官である。
「いや、我らを従えるにはまだまだ未熟。本人の力も弱ければ経験も浅い。だが、我らが付き従う価値のある。赤龍アドネス、どんな理由で尋ねてきたのかは知らぬがもしも、我が主に牙を向けようものならばその首を我が刎ねる。」
後からやってきたアーガストが殺気を放ちそう言い放った。
「死霊騎士団のアーガストだと!?なっ、魔王アルモルドの第一将も魔王アリアに降っているというのか?なにものなのだ…魔王アリア。」
死霊騎士団 団長フルモンド・アーガスト。軍を率いる者でその名を聞かなかった者はいないだろう。
魔王アルモルドの恐怖の軍勢とその軍団長。
まさか魔王アリアは魔王アルモルドと魔王ブーモルの残党を吸収しているのか…
ただの魔王ではない。
これほどの者たちを従える魔王がただの魔王であるはずがない。
それはだって、そんなことができるのは絶対的な力をもつ竜王ダイヤ様のような…大魔王クラスの者だ。
「みんな元気ですかぁ〜!?今日も来ましたわぁ!あれっ?お取り込み中でしたか?」
元気よく現れたのは、一匹のスケルトンを従えた私からしたら小さな小さな人間の少女だった。
砦の中の猛者の人口密度が高すぎる笑
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