第148話 勇者とは
「魔王アルモルドを倒したのは見事だった。あの戦いは俺も遠くから見ていた。」
「見ていた?」
ルーカスが怪訝そうに答える。
「あぁ、そうだ。あいつは良い魔法を持っていたな。魔力結晶だったか?」
俺はそう言って魔王アルモルドが使っていた魔力結晶の枝を伸ばし勇者パーティーを襲う。
「これが魔力結晶!?なんでハシャが!?」
マーミヤが驚きの顔でそう言う。
「何らかの方法で僕たちの戦いを見ていたというわけか…」
「さぁ、どんどんいくぞ!エクスプロージョン!エナジースラッシュ!マジックアロー!ライトニング!」
俺は様々な数千もの魔法を弾幕のように勇者パーティーに放った。
「次元が、違いすぎる…」
マーミヤが俺の魔法を見て絶句する。
「我らを守りたまえ。サンクチュアリ!!」
アリルが全力で自身の最強の守りの魔法を唱える。
サンクチュアリが発動され俺の魔法と相殺された。
なかなかやるじゃないか。でも、もう肩で息をしているな?アリル程度が何回も使える魔法ではないしな。
「フロストショット!」
俺は氷結の力を込めた魔力弾をマシンガンのように放つ。
勇者パーティーが逃げ惑う。
まるでシューティングゲームのように俺は打ちまくる。
「ぐぅ!!」
フロストショットを足に受けてしまったマーミヤが倒れた。
おっ、当たったな。
「癒しを!ハイヒール!」
すかさずアリルが回復魔法をかけてマーミヤを癒す。
「そこだっ!」
弾幕を掻い潜って来たドルフが俺に蹴りを入れようとする。
「魔力結晶。」
俺は魔力結晶で壁を作りドルフの蹴りを防ぐ。
俺の高濃度の魔力で作られた魔力結晶はかなりの硬度だ。ドルフ程度の蹴りでは砕けるどころかひびすら入らない。
「がぁ!?かってぇな!」
むしろドルフの足の方が血を吹いた。
「エクスプロージョン!」
すかさずマーミヤが爆裂魔法を放つ。
それも俺は魔力結晶で防ぐ。もちろん俺の魔力結晶は無傷だ。
「光の剣!」
だが、その爆裂魔法を目眩しに使いルーカスが俺に斬りかかる。
「ふん!」
俺はただ魔力をルーカスに叩きつけ斬りかかってきたルーカスを吹き飛ばした。
「ドラゴンブレス!!」「ホーリースラッシュ!!」
龍化したアベリオが迫っており高火力のドラゴンブレスを俺に放つ。
アリルがアベリオとは違う方向からホーリースラッシュを放つ。
「ドラゴンフレア。ダークスラッシュ。」
俺は手のひらから火炎放射器のようにドラゴンブレスを模倣した魔法を放つ。
もちろんハシャである俺もドラゴンブレスを放てるがそれではアベリオが消し炭になってしまうからな。
俺はドラゴンフレアでアベリオのドラゴンブレスを相殺した。
そして、アリルの攻撃はダークスラッシュで相殺した。
「僕のドラゴンブレスがただの魔法一つで相殺されただと…?」
アベリオがショックを受けたようにギリッと歯軋りをする。
「これは強すぎるよ。」
アリルが辛そうな顔をする。
かなり連携の取れたパーティーだ。さすが勇者パーティー。絶え間ない攻撃、最後に高火力な攻撃に繋がる連携。そして、ダメージを負わせても気づいたらアリルが癒しいてすぐに戦線に復帰している。
だが、俺には届かない。そんなものでは埋まらない格の差がある。
「それでも僕たちは覇王に負けられない!力を貸してください女神ジャスティナ様。正義の天秤!!」
ルーカスはそういうと巨大な天秤を顕現する。
「あぁ、それを待っていた。マグネットフォース。」
俺は正義の天秤を顕現したルーカスをこちらに引き寄せる。
「なっ!?ぐっ!」
凄まじい力で引き寄せられたルーカスは俺に頭をガッチリと掴まれた。
「さて、どこにいるのかな。おっ、いたいた。行け、アステリア。」
俺はルーカスが顕現した正義の天秤からルーカスに力を与えている者を探り、別次元にいる者を見つけた。
—御意—
一言アステリアはそう言うとその別次元に向かって行った。
俺は掴んでいたルーカスを投げ飛ばす。
「ぐぅあ!せ、正義の天秤が!?」
顕現した正義の天秤は崩れ去っていった。向こうがそれどころじゃなくなったのだろう。
「さぁ、これでお前は勇者の力は使えなくなった。どうする?お前はただの人になってしまったなぁ?」
「勇者の力が使えなくなった!?光の剣!正義の天秤!」
ルーカスがそう言って唱えるがいつもの勇者の力は顕現しない。
「無駄だよ。さて、勇者の力を使えないお前はただ少し強いだけの人間だ。なにも力がないお前になにができる?なにが成せる?」
「勇者の力がない…?」
「勇者の力を持っている時も魔王アルモルドに偽物だと言われていたのに、勇者の力すらなくなってしまったらお前はなんなのだ?」
「僕はなんなんだ?」
「あまり待ってはいられないぞ?」
俺はそう言ってルーカスに手を向ける。
「力を持っているから勇者なのですか?」
アリルが俺にそう言った。
「なにも成せない者は何者ではないだろう?」
「ルーカスが今まで成してきた功績はルーカスが勇者の力を持っていたからではありません。それはルーカスの救いたいと行動してきた結果です。そのルーカスが起こしてきた、行動してきたことこそがルーカスを勇者たらしめているのです。」
「その行動って力ありきだろ?力を持っているからできることだ。違うのか?ルーカス。」
「…違う。」
ルーカスが歯を食いしばり前を向く。
「ほう?なにが違う?」
「怖いんだ。」
ルーカスは俯いてそう言った。
「ふはは!怖気付いたのか?」
俺はルーカスを嘲笑う。
「僕はいつも怖いんだ。僕のやっていることは正しいのか、もしも間違っていたらどうしようといつも不安なる。強い相手と戦うのも怖い。痛いのも怖い。今だって勇者の力を奪われたし、目の前の絶対に勝てないと思わせるほど強い覇王だって立ち向かうのは本当に怖いんだ。誰かが死んでしまったらどうしよう、ここで負けてしまったらどうしよう、そんなことをいつも考えている。…でも、みんなが僕に助けを求める。だから!怖くても僕は立ち向かう!たとえ、勇者でなくとも!力がなくとも、力ある限り勇気を振り絞り立ち向かう!たとえ、打ち砕かれようとも、それで助かる人がいるのならば、そんな僕を見て勇気を出す人がいるのならば!!」
ルーカスはそう言って鋭い眼光で剣を構える。
「「あはははっ!!」」
冒険者ジンと荒野の覇者の笑い声が重なる。
「そうだ!そのありようこそが勇者なのだ!力を持つものが、何かを成せるものが勇者なのではない。誰かのために勇気を振り絞り必死に戦う。その姿を見て周囲の全てを魅了し、すべてを味方につけて立ち向かえる。女神に選ばれたから?力を与えられたから?国に祭り上げられたから?違う!勇者とはその者のあり様だ。なにを思いどう立ち向かうのか、なにに苦悩し、誰のために戦うのか?」
冒険者ジンがフルフェイスを外して満面の笑みでそう言う。
「それこそがお前を勇者たらしめるのだ!」
覇者がそう言ってルーカスへ近づいていく。
「ど、どういうことだ?」
ルーカスは不思議そうな顔をして構えていた剣を少し下げる。
「勇者ならば何度でも立ち向かえるはずだ。お前には立ち向かえる力を与えよう。」
俺はそう言うとルーカスの胸に骨の手を当てた。
「えっ?なにを?」
ルーカスが突然のことで戸惑う。
「お前は力を与えるに値する。スキル付与 3つの命 勇者。」
「うわぁ!!」
ルーカスは強力なスキルを付与されたショックと負荷で気を失った。
三つの命は3回まで死んでも完全に蘇れる強力なスキルだ。死ぬたびに二つの命、一つの命と名前が変わっていく。
スキル 勇者は光の剣や勇者の力、ブレイブハートなど勇者が使えるスキルが入っている。ちなみに正義の天秤はもう使えない。あれは女神ジャスティナが力を貸して使えていたものだ。
「これからの活躍に期待する。」
覇者はそう言ってカラカラと下顎骨を鳴らして笑った。
怖くても立ち向かう。そんな姿をみて皆は彼を勇者だと讃えるのかもしれません。
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