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鏡を見なよ、あんたも整形したら?

「いいお式だったわねぇ」


「有紗もいずれは……ってまだ早いか」


父の運転する車の後部座席で、スマホのカメラロールを眺める。


純白のウェディングドレス、美しかったな……


ロマンス詐欺にでも遭っているのではないか? と思いはしたものの、当たり前にそれは杞憂だった。


だって二人は高校の同級生なのである。


披露宴は、新郎新婦の高校時代の同窓会のようだった。


あんなに沢山の元クラスメイトに祝福されて、きっとまりあさんは当時から人気者だったんだろうなと思った。



「あ、ねえちょっとあそこのスタバ寄れる?」


身内の結婚式だしそんなに緊張していたつもりはなかったけど、無意識に少し気を張っていたらしい。


身体がフラペチーノを求めている。


「お母さんも行こうか?」


「並ぶかもしれないから、車で座って待ってていいよ」


店内は寒いかもしれないから、と母がストールを肩にかけてくれた。



案の定、休日のスタバは混んでいた。モバイルオーダーすれば良かった。


今からやっても同じだよな、と諦めて列に並ぶ。


注文の順番は意外と早くまわってきたが、受取口にいる人の多さを見るに、出来上がりまでには随分時間がかかりそうだ。


慣れないパンプスで立っているのが辛い。


注文はしているんだし座っててもいいよね、どこか空いてないかな……とうろうろしていると、


「良い式だったね~」


声のした方を見ると、いかにも結婚式帰りという格好をした女性が三人談笑していた。


お兄ちゃんの式の参列者だろうか? いくつも式があっただろうからわからない。


「でも意外だったよね、何もかも」


「ほんと、何もかも」


「同窓会の時も思ったけどさ、やっぱ整形だよね? 昔の写真全然出てこなかったじゃん」


「思った! 高校の同級生なのに高校時代の写真出てこないの不自然すぎて察したよね」


「でもそこまでして結婚相手……」


「それも思った~! 二十代なんだし全然もっと上狙えるのにもったいな~」


「ね~、あ、二次会ってここからどれくらいかかるんだっけ。もうタクシー予約しとく?」



高校の同級生、昔の写真が出てこなかった。間違いなかった。


スライドショーに出てきた写真はいずれも大学以降のもので、高校時代の二人が見られると思っていたのに少しがっかりしたのだった。


整形? 確かにあれほど綺麗ならありえる。でもそれが何なのだ。


悪口のように、整形だのもっと上を狙えるだの、醜悪だ。


お兄ちゃんは高校時代の同級生なのだから、仮にまりあさんの今の顔が整形なのだとしても、整形前の顔を知っているのだ。


そして、それを承知で付き合って結婚しているのだから何も問題はないじゃないか。



いつの間にか私の番号はとっくに呼ばれており、フラペチーノの生クリームが少しへたっていた。

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