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結婚式 本当にこの人が花嫁?

4月、大安吉日。


恵比寿にある某有名ホテルの式場。


ここで彼らは挙式するらしい。


らしい。まだ実感がない。



突然の報せから約8ヶ月。


当初こそ動揺していた私だが、所詮はたかが「従兄弟の結婚」である。


日が経つとともにショックも薄れ、「異性の影がないように見える人たちも、実はしっかり恋愛してある日突然彼氏ができただの結婚するだの言い出すようになるんだよな、うん」と飲み込んだのだった。



中学時代の友達もそうだった。


違う高校に進学したが月に一度は遊ぶ仲だった。


かっこいい男子とか漫画の中にしかいなさすぎ、三次元に存在しない、学校の男子はモブ、とか言ってたくせに。


ある日突然「彼氏できたんだ~」と、二人で遊ぶ約束をしていた日に予告もなく、目の細い肌の荒れたまさにモブ男のような男子を連れてきたのである。


色々な衝撃を一気に受けてしまい、その後の記憶がない。



本当に異性との関りがないまま【年齢=】なのは、もしかして自分だけなのかもしれないな。


こうして見てみると、私もなかなか可愛いのに。


ホテルのロビーにはいたるところに鏡があるので、ついチラチラ自分の姿を見てしまう。


結婚式参列用のレンタルドレスにキラキラのパンプス、美容院でヘアセットもメイクもしてもらったので、我ながら今日の私はかなり可愛い。多分。


「高校生なんだから制服で良かったのに」と父は言うが、「有紗だってたまにはこういうドレス着たいわよね」と母は味方してくれた。


正直、別にドレスで着飾りたかったわけではない。制服だと絶対にこういう場では目立つから嫌だったのだ。


やっぱりドレス着させてもらって正解だったな、と鏡を見て思う。


私もちゃんとした格好すれば、ちゃんと可愛いんじゃん。




親族控室にはもう伯父さんと伯母さんがいて、


「あら~有紗ちゃん! すっごくキレイ!」と伯母さんが褒めてくれた。


やっぱり? 自惚れじゃないよね? 人から見ても可愛い!? と内心嬉しさが爆発していたが、照れ臭かったので「美容師さんがすごくってぇ……」としか言えなかった。


「まりあさんもすっごくキレイな子でね、最初はなんでこんな子が晴人と? って思ったわよ」


どうやら花嫁さんの名前はまりあというらしい。


「どういうご縁だったんですか?」と伯母さんに尋ねると、


「高校の同級生だったんですって。私は全然記憶にないんだけど、まあ私が覚えてるのなんて晴人と特に仲の良かった男の子数人くらいだからねぇ。同窓会で再開して、そこからとんとん拍子だったみたいよ」


漫画みたいな話だと思った。


本当に同窓会で意気投合し……みたいなのってあるんだ。


「新郎新婦が入室します」の声に扉の方へ目を向けると、普段着の晴人お兄ちゃんの隣に――


栗色のふわふわとしたロングヘア、透き通るような白い肌、目はぱっちりしているけど目じりが少し下がっていて優しそう、いや、慈悲深そう。まりあという名前がぴったりの女性が微笑んでいた。


晴人お兄ちゃんと並んでこの身長差、170cmくらいありそうなモデル系美女だ。

水色の爽やかなワンピースがよく似合っている。


「晴人、お前はそんな格好で……まりあさんと並ぶとアンバランスだなぁ」と伯父さんが苦笑いした。


「これから衣装に着替えるんだからいいじゃん」と、やはりいつもの調子のお兄ちゃん。


これから結婚式という緊張感がなさすぎて、思わず笑ってしまう。


「紹介するね。母の弟で、叔父さん、叔母さん、それに娘の有紗ちゃん」


「初めまして。まりあです。ふつつかものですが、どうぞよろしくお願いいたします」


おっとりとした、期待を裏切らない話し方だった。



ねえお兄ちゃん、本当にこの聖母マリア様みたいな人と結婚するの? できるの?


騙されてるんじゃない? 内心、そう思った。

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