お兄ちゃんが結婚!?
報せは突然だった。
19時、いつもどおり父母と食卓を囲み、手を合わせて「いただきます」と言ったばかりのことだった。
「晴人くん、今度結婚するんだって! 早いわよね~、お母さんびっくりしちゃった」
結婚?
従兄弟の晴人お兄ちゃんが、結婚。
結婚。
青天の霹靂とはこのことだ。
聞いていない。どこの馬の骨と?
「ケッコン!?」
発された声は、あまりのショックに裏返っていた。
「有紗は晴人くんと仲良かったもんね、びっくりでしょ~」
びっくり、と言いながらお母さんは私の1/10も驚いていないように見えた。
「面白いでしょ~」と言っているようにしか聞こえない。
「ついこの間まで大学院生だったと思ったが……」
お父さんの言うとおり、お兄ちゃんは大学院を卒業してまだ3年。
27歳の若造である。結婚なんてとんでもない。
「早すぎるでしょ、なんかの間違いじゃないの?」
私が尋ねると、母は自分でも「早いわよね~」と言っていたくせに今度は「そうでもないわよ」ときた。
「男性の初婚年齢の中央値は28〜29歳なんですって。だから言うほど早すぎるわけじゃないみたいよ。お義姉さんの受け売りだけど」
「私聞いてないんだけど」
「お義姉さんだって今日晴人くんから『紹介したい人がいる』って言われて、早速うちに電話してきてくれたんだもの。有紗がそれより先に知ってたらそれはそれでおかしいでしょ」
「そうだぞ。有紗は昔から晴人くんに遊んでもらうのが好きだったけど、向こうからしたら10個も下の子どもなんだからな。親より前に知らせるほどの間柄ではないだろう」
それはそう。そうなんだけど。
「お兄ちゃんはなんか……結婚とかしないと思ってた。ずっと」
だってあのお兄ちゃんよ?
ボサボサの黒髪、同じくボサボサの眉毛。
身長はちょっと高めの175cmだけど、ひょろっとしたもやしっ子で。
何より、就職難の世代で学歴の割に正直冴えない企業。年収400万円ちょっとだと言っていた。
――まぁ趣味の漫画買ったりするくらいは不自由しないよ、家賃補助もあるしぃ
そう、ふにゃっとした笑顔で言っていた。
いつの間に彼女なんて?【年齢=】の仲間だと思っていたのに!




