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コラボ配信

「八郎さん、よろしくお願いいたします」

「ああ、任せて。茜さん」


 俺は再び訪れた原初の大迷宮で、襲ってきたモンスターを一掃していた。

 いまいる階層はパッと見は草原だ。ただ、フロアの端はあるらしいのだが、相変わらずここも天井はない。


 そして草原らしく現れた狼系のモンスター。それを俺はカンストしている土魔法と風魔法のスキルで殲滅しているところだった。


「すごい……あのファントムウルフが一撃……それに、なんて手数が多いの……でも、あの、いいんですか。私たち、見てるだけで」

「いや、手出ししたら逆に足手まといだろ、これ」

「そうね、白雪の言う通りだわ、グレーちゃん」


 白雪さんたち三人のうちの最後の一人はグレーちゃんと言うらしい。三人のなかでは癒し系な見た目だが、戦力としてグループ内、二番目の実力者だと紹介された。


 'なんとコラボ配信かっ'

 'よくあのももちゃんが許可したな'

 'コラボ相手はグリマーズか。若手女子四人でコアなファンが多いところだよね'


 そして今回のダンジョン探索では、俺たちと白雪さんたちでコラボ配信をすることになっていた。

 今も早速配信されていて、茜さんとグリマーズと言う白雪さんたちのグループの配信チャンネルの両方で配信を行っていた。


 'グリマーズは前回の探索で最大火力のブレーメンちゃんがダンジョンに消えちゃったからね'

 'ああ、トラップにかかって、そのままってやつか。あれ、もしかして、きむきむの?'

 'そう、たぶん、同じ系統のお休みトラップだろうね'

 'なるほどね、そういうしっかりした事情のあるコラボなのか。ならまあ、ももちゃんも許可してもおかしくないな'


 とりあえずは、コラボ配信は好評のようだった。


 'それにしてもきむきむが真面目に戦っているとこって、レアだよな'

 '確かに。だいたい茜タソをお姫様だっこしてモンスターひき殺してるだけだもんな'

 'きむきむ、生き生きしてる'

 'きむきむはカミカミしてなんぼなのに。きむきむのコメまだ?'

 'まあまあ。可愛い女子トークを楽しんで待っとけ。俺たちのきむきむなら、きっとやってくれる'


 なかなか鋭いコメントも多い。

 俺はぶっちゃけモンスターと戦っているだけの方が楽だった。

 しかし、残念ながらそう言うわけにもいかず、あれほどいたモンスターはすでに跡形もなくなっていた。


 くいくいっと茜さんが手招きしている。


 たぶん戦闘が終わったからドローンカメラの前に戻ってこいということだろう。


 'おお、早いな'

 'カミカミタイムが始まるのか?'

 '待機完了'

 '(^-^ゞ'

 '(^-^ゞ'

 '(^-^ゞ'


「なんかこっちの視聴者もカミカミタイムを待っているみたいだぞ。人気だね、スキルマスター」


 戻ってきた俺に白雪さんが声をかけてくる。

 距離が近い。


「はいはい、画角の邪魔ですからお下がりください、白雪さん?」

「ふふ。ドローンを動かせばいいだけだろう? 茜姫」


 白雪さんを退かそうとする茜さん。

 ちなみに白雪さんが茜さんを茜姫と呼ぶのは最近の俺たちの配信を見て、一部視聴者の方が言い出しているらしい。

 何でも俺がいつも茜さんをお姫様抱っこしているのが由来なのだとか。


 'うわ、きむきむモテモテだ'

 'うらやま'

 'きむきむ56す56す56す56す56す'

 'おいおい、きむきむがすっかり諦め顔だぞ'

 'えー。きむきむのコメントはー?'


 結局見かねた赤帽子さんが止めてくれるまで、俺の周りで茜さんと白雪さんのドタバタが続いたのだった。



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