チートが切れない勝利?
「いくのだっ!」
ガーネットは、力強く大地を蹴った! しかし、身体を黒ローブで隠しつつの走行……いや歩行だ。
まるで、生まれたてのヒヨコのよちよち歩き……。
「ふざけないでっ!」
当然、ガーネットはゴブ・リン子に捕まってしまった。
「おやおやっ、なんで黒ローブで身体を隠してるの?」
怪しく笑うゴブ・リン子に、ガーネットは口で抵抗する。
「黒ローブこそ、魔王の証ではないかっ! 余こそ、正真正銘の魔王なのだっ!」
「へえ、そんな言い訳するなんて。よほど見せたくないもののようね! いいわっ、力ずくで確認するからっ!」
ゴブ・リン子は黒ローブをつかみ、無理矢理左右に引っ張った! ガーネットが、ローブの下に着ているおどりこの衣装があらわになった!
「へえ、黒ローブの下はこうなってるんだ……。確かに、見せたくないわね! こんなにえっちい衣装!」
うおっ、ゴブ・リン子がガーネットの脚を触ったぞっ!
「ふにゃあ、触らないで……なのだ」
恥ずかしそうにうつむくガーネット。しかし、ゴブ・リン子は容赦なかった。
「へえ、貧乏人は胸まで貧しいのねっ!」
まずいっ、ゴブ・リン子がガーネットの胸を触ろうとしている!
なんとか阻止しなくては!
だが、ここで魔法を放ってもガーネットまで巻き添えになる!
剣を振った場合、ガーネットを盾にされる可能性がある。
どうすれば、ガーネットを助けられる?
悩んでいる俺に向かって、ガーネットが叫んだ!
「ロアスっ、氷の魔法を使うのだっ!」
「で、でも……ガーネットまで巻き添えを食らうぞっ!」
「余なら、大丈夫だ……」
おおっ、なんか感動的なセリフが生まれる予感!
俺が期待していると、ついにガーネットが続きを告げた。
「なにをためらってるのだ。余なら大丈夫と言ってるだろ。なにせ、元Eカップ巨乳魔王だからなっ!」
元グラビアアイドルみたいに言うなっ!
せっかく、感動的なセリフを期待したのに! 全米が泣くかと思って、ハンカチまで用意したのに!
「さあロアス、遠慮なく魔法を使えっ! 元Eカップ巨乳魔王は死なない!」
まだ言うかっ! いや、ガーネットはいつになく真剣だ!
俺は低い声でガーネットにたずねた。
「……信じていいんだな」
「ああ! どーんと来い!」
仲間を信じる、か。悪くないな!
「じゃあ、遠慮なくいくぜ! 猛吹雪の魔法『アイスレイン』!」
俺の手からアイスレインが放出された!
絶え間ない猛吹雪がガーネットとゴブ・リン子を襲う。前方は吹雪で視界不良になった。
その時だった!
「これぞ大技!『魔王のバリアー』!」
おおっ、ガーネットはついに魔王の封印を解いたのか? バリアーなんて、大技を!?
吹雪がおさまり、視界が戻る。
そうしたら、ガーネットが俺に呼びかけてきた。
「見ろロアス! これが魔王のバリアーだ!」
身体を黒ローブで隠してるだけじゃないかっ! 技じゃなくて、いつも通りだから!
とにかく、ガーネットは無事だった。
一方、ゴブ・リン子は鼻水を垂らしたまま凍ってしまった。
ふう、どうやら勝てたみたいだな。
でも、今回はチートが切れなかったな?




