お越しください! まものタウンの新名所へ!
ともあれ、安心した。
その時ーー。
急に、ゴブ・リン子が解凍された。まるで、電子レンジに入れた冷凍食品のように!
「あー、死ぬかと思った! 魔力を放出しなければ、氷付けだった!」
そう言ったゴブ・リン子は身体を震わせ、
「うー、さぶい! お昼に食べた冷凍チャーハンの気持ちがよくわかったわ……」
言い切った後、ゴブ・リン子は自らの口をおさえた。
「いやっ、この高貴なあたしが冷凍チャーハンなんて食べるわけないじゃない! ホ、ホホホホホッ……」
俺の疑惑のまなざしにゴブ・リン子は気づいたらしく、
「やったわねっ! よくも、あたしの秘密を知ったわね! あたしが意識高い系だということを!」
自分からバラして、逆ギレですかっ!?
「もう完全に怒ったわ! 踏み潰してやるんだから!」
うおっ、ゴブ・リン子が突然巨大化してしまった! 七メートルはあるんじゃないか?
「フフフ……、これがあたしの最終形態! 恋の復讐モード!」
とか言いながら、さっきバラまいた金貨を回収するなっ!
それ、本当は保険金徴収モードとかだろ!?
「さあさあ、どっちから踏み潰してやろうかしら? 勇者か、魔王様を気取るメスガキか!」
ゴブ・リン子は、俺たちに気をとられている。その間に、彼女の足下にはモンスターが集まっていた。
ガーゴイルが、スマホで電話をしている。
「ああ、俺俺! 今、ゴブ・リン子前だけどこれからバー行かね?」
待ち合わせ場所になってるー!
「盛る? 盛る?」
こっちのスライムは、SNSに投稿する気満々だ!
「あんたたちから踏み潰してやるわっ!」
ゴブ・リン子が味方を攻撃してる!
ゴブ・リン子は足下のモンスターを追い払って、
「ハアハア、おかげでまものタウンの新名所になるところだったわ! 足下でうろちょろとウザい!」
怒り心頭のゴブ・リン子は俺とガーネットを交互ににらみつけ、
「これも、すべてあんたたちのせいよっ! ぶっ殺す、絶対にぶっ殺すからなっ!」
怒り狂うゴブ・リン子をガーネットは見上げ、
「お、落ち着くのだ! そんなに怒ったら血圧が上がるぞ!」
「あたしゃ、ばあさんかっ!」
まずい、ゴブ・リン子がガーネットを踏み潰すつもりだ! ガーネットの頭上に臭そうな足が迫る!
「とうっ!」
俺は、ゴブ・リン子の脚めがけて飛んだ! そして、弁慶の泣き所を思いきり殴る!
「ぎゃあっ、痛い! し、死ぬっ!」
ゴブ・リン子はうずくまっている。その隙に、ガーネットを連れてゴブ・リン子と距離を取った。
復活したゴブ・リン子。相変わらず、怒りまくっている。
「あんだたちぃいいい! 許さないわよぉおおおっ!」
七メートルのゴブ・リン子が全力で走る! 県大会で優勝しそうな勢いだっ!
俺は火の魔法を放とうとした。しかし、MPがたりない! いや、そもそもMPが存在しない!
俺の脳内掲示板にそう書いてある!
これは慰めなのか!?
代わりに、過去に見たパン○ラ映像が脳内に映し出されてる!
しかも、ランキング形式で!
どうやら、チートが切れたらしい……。
いや、諦めるのは早い! 脳内掲示板には、また文字が表示されたぞっ!
『あきらめろっ!』
んなもん、わざわざ表示するなっ!
俺が我が脳内にキレている間に、ゴブ・リン子は頭上にいる!
「フフフ、ようやくアリを踏み潰せるわ!」
ゴブ・リン子が足を上げた!
その隙に俺はガーネットの手を引いた。そして、家同士の隙間に避難する!
「それで逃げたつもり!? 家ごと踏み潰す!」
焦る俺は、ガーネットにお願いをする!
「頼む、踊ってくれ!」
「む、無理なのだっ! ここじゃ狭すぎる!」
「確かにっ! でも、どうしよう……。時間がない!」
「だ、だったら……」
ガーネットは、俺に抱きついてきた。
あ、ありがとうガーネット。おかげで、めちゃくちゃ力がわいてきた!
俺はゴブ・リン子の足下におもむいた!
「フフフ、わざわざ踏み潰されに来たの!? じゃあ、望み通りにしてあげる!」
ゴブ・リン子の足がふり下ろされた!
それでも、俺は冷静だ。右手に氷の魔法を発生させる!
ゴブ・リン子の足をギリギリかわした俺はジャンプした!
そして、ゴブ・リン子へ氷の魔法を放った!
今度は、氷の魔法『永久凍土!』
ゴブ・リン子は、完全に凍った!
「これで、めでたく待ち合わせ場所のできあがりだ!」
俺はそう呟くと、ガーネットが寄ってきた。
「な……なあ、ロアス」
「なんだ?」
「す、素直に聞くぞ。余のこと……す、す」
「えっ?」
「なっ、何でもないのだっ!」
どうしたんだよ、ガーネット。顔を真っ赤にして。
ガーネットの血圧が、本気で心配になった俺だった。




