はらぺこガーネット
目立ちすぎるウェルカムトゥの看板!
そう、道具屋の看板はバーより明るいのである。
中に入ると、怪しげなピエロがいた。
俺はこのピエロに見覚えがある!
「あっ、裏道具屋の店主!」
どうりで、店内に怪しげな薬や物体が並んでいると思った。
ピエロ店主は苦笑いをして、
「へへへ勇者のダンナ……、この間はどうも」
「だましたなっ、最強になれるなんて言っておいて! 下手したら、俺だけでなくガーネットまで殺されていたんだぞっ!」
「だましてませんよ……。ここぞという時以外って、天使のささやきをしました!」
「ささやきじゃ聞こえないだろ! それに、天使じゃなくて悪魔のささやきだっ!」
「で、でも……ここぞという時以外は最強ですよ!」
「まだ言うかっ! 嘘つきには、バツを与えてやる!」
俺はピエロ店主の額にデコピンをした。
するとーー。
ピエロ店主は吹き飛んで、壁にぶつかった。木の壁は壊れてしまう。
冷静になった俺は、
「ごめん。安物でチート効果が持続するなら、良品だった!」
幸い、ピエロ店主にケガはなかった。
悪く思った俺が壊れた壁を直し終わると、
くきゅるるる……。
今、誰かの腹の虫が鳴ったな。
とっさにふり返る。すると、ガーネットがほおを赤らめている。
俺の視線に気づいらしくガーネットはあわてて、
「よ、余ではないぞ! 余は、決して木の実と水で飢えをしのいでなど……」
たく、しょうがないな。
「待ってろ、ガーネット。宿屋に行ったら、おいしいものが食べられるから!」
ガーネットは、プイとそっぽを向いた。
くきゅるるる……。
しかし、お腹は正直だった。
「はっはっは! もう少しの我慢だから!」
「笑うな、ロアス! 余は腹ペコじゃない!」
言い訳するガーネットの頭に、俺は手をポンと乗せる。
「わかったわかった」
「もう! 信じてないのだ!」
背後からガーネットにしがみつかれながらも、俺たちは店を出た。
店の外。俺から離れたガーネットが、突然変な声を出した。
「ひゃうっ!」
俺がふりかえると、ガーネットは震えている。
どうやら、初老の男におどりこの衣装を見られたらしい。
男はうれしそうに、
「おおっ、おどりこがいるなっ!」
「ち、ちがっ……。余は魔王……」
うまく否定できないガーネットの手を男はつかんで、
「わしはバーのマスター! 高額のギャラを出そう! さあ、今すぐ我がバーに来てくれ!」
「い、嫌なのだっ! 強制は反対なのだっ!」
「あくまで嫌がるか……。さては、この街のことをなにも知らないな?」
「そ、そうなのだが?」
「ならば教えてやろう! この街の現状を!」
街の現状!? さては、このおっさん酔っぱらってないだろうな? まるで、モンスターみたいなことを言って……。
このおっさんは何者なんだろう。




