大トカゲに食べられる!?
俺とガーネットの前に現れた初老のおっさん。
なんと、そのおっさんは大トカゲに姿を変えた! それから、声を張り上げる!
「この街の名は、グリフィールドタウン! しかし、それは過去の名だ!」
「!?」
「驚くのも無理はない。現在の名は、『まものタウン』! 昨日、書類にハンコ押して役所に提出した!」
めっちゃ人間のルールに従ってる!
「しかし、その書類はどうやら婚姻届だったらしい! バカな部下が間違えたのだっ!」
責めるなよ、間違いはだれでもあるさ!
「しかも、その部下は婚姻届にわしだけの名を書き込みやがった! おかげで、わしは恋人募集中だと思われて……。中には、第2ボタンをねだる魔物もいた!」
大トカゲさん、それ部下にはめられたんですよ!
「魔物界で噂も広まったんだぞ! わしが、ゴブリンのゴブ美と付き合ってるとか! ゴブ子と二股してるとか!」
週刊誌のトップを飾ってそう!
「わしは大トカゲだぞ! 異種族のゴブリンなど、好きになるもんか! わしが好きなのはな!」
急に、赤裸々告白タイム!?
「わしが好きなのは、スライムのスラ美じゃあ!」
異種族だよね!? 足すら生えてないよね!?
「あのスラ美の触りごこち、可愛らしさ! すんばらしいィー!」
大トカゲは絶叫した後、咳払いをした。
「おっと、大声を出しては見つかる! 今は、バーのマスターに化けてるんだった! ゴブ美に見つかるとヤバイから!」
大トカゲは俺たちをにらみ付け、
「わしが正体を現したから、『バーに連れてくと騙して、女の子を食べちゃう』作戦は中止だっ!」
危険な雰囲気を察知した俺が、
「一歩間違えたら、18禁な作戦名だぞそれ!」
「ふーむ、確かに危険か……。よし、もっと万人向けの作戦名にしよう!」
「いやいや、作戦名はどうでもいいから!」
「よし、この作戦名で行くぞ! 『大トカゲの俺が、バーのマスターに変装したら女の子を食べられる』!」
「売れるweb小説のタイトルかっ! 確かに、流行るかもだが真っ先にエ○ゲ化するタイトルだぞっ!」
「確かに、アダルト路線だな……。『女の子を食べる』を言い換えるには……」
「隠語を使ったら、よりディープになるだけだから!」
「そうだな……、って考えてる暇はない! ゴブ美が来る前に、今すぐ食べさせてもらう!」
一体、どっちの意味かわからない! 食事なのか、そっち系か!
ともかく、大トカゲはガーネットに襲いかかった!
「食らえっ、ハエ取りパンチ!」
説明しよう! ハエ取りパンチとは、ただ舌を伸ばすだけの技である!
どうということはない。今の俺は、基本的に最強勇者だから!
行くぜっ!
俺の剣が大トカゲの舌を受け止めた! そして、舌を斬り裂いた!
絶叫する大トカゲ。だが、すぐに笑い出す。
「フフフッ、わしの舌は再生するのだっ!」
なんというご都合主義!
復活した舌を伸ばし、大トカゲは俺に襲いかかった!
俺は再び剣で舌を受け止めた!
しかし、大トカゲの力は強かった!
チート切れるの早すぎ!
俺の剣は、弾き飛ばされてしまう!
丸腰になった俺に、大トカゲは言い放つ!
「ふっふっふ! さっきの勢いはまぐれか!? 力が弱いな! わしなど舌だぞ、舌! 舌なのに、こんなにも力が強い!」
これ、明らかなざまぁフラグだよな!?
大トカゲも気づいたらしく、
「待てよ、このままいくとざまぁでやられる! 猛毒を注入した舌で、殺す! はああああっ!」
大トカゲは力をためている! その瞬間、真っ赤な舌は紫色に変わった!
「はははっ! この猛毒の舌さえあれば、ざまぁ展開は無しだ!」
大トカゲは、うるさいほど続ける。
「丸腰なお前は、パンチくらいしかできまい! 男よ観念しろっ、俺が食べてやる!」
トカゲに食われてたまるかっ!
「題して、『オスの大トカゲの俺が、男を襲って食べてみた』!」
またweb小説風! しかも、さっきとは明らかに読者層が変わるから!
「ざまぁは無効だっ! 食らえ猛毒のハエ取りパンチ!」
猛毒の舌が迫り来る! 本当に、ざまぁは無効になってしまうのか!?
俺が焦っていると、か細い声がした。
「ま、待て……。い、いや待って……ください」
ガーネット! でも、めちゃくちゃもじもじしてる!
「ロ、ロアスよ~。よ、余がダンスをおどってやるぞ~」
かろうじて聞き取れたガーネットの声。
その後、ガーネットは街中でおどりこの衣装をあらわにした!
「はっ、恥ずかしいのだ~」
小声でつぶやいた後、ガーネットは大きく脚を上げた!
そして、おどりこの衣装のスカートをゆらしておどる!
「そ、それ~それ~……がんばるのだ~」
おどり終えたら、ガーネットはふさぎ込んでしまった!
勇気を出してくれて、ありがとな! おかげで、力がわき上がってくる!
早速、火の魔法を発生させた俺。大トカゲは目を丸くして、
「な、なにっ! 魔法が使えるだと!?」
「そうだっ、燃え盛れ!」
俺はそう叫んで、火の魔法を放った! 炎に包まれた大トカゲの断末魔が聞こえる。
「結局、ざまぁの運命からは逃れられなかったかぁああ!」
焼けこげた大トカゲを指さし、復活したガーネットが言う。
「見ろロアス、大トカゲの丸焼きのできあがりなのだっ!」
「食べるのか!?」
「いらないのだ」
「意外にグルメだなっ!」
「もちろん、余は魔王であるぞっ! 高貴なのであるぞっ!」
「その高貴な魔王様が、俺のためにおどりを?」
「ち、ちがう! べ、別に助けたつもりはない! 余も殺されるから、助けただけだ!」
結局、助けてるじゃん!
でも、感謝してるからそれは言わなかった。




