ガーネットのしゅうげきタイム!
俺は元底辺勇者、ロアス。しかし、今は女の子の応援で最強になれる! だから、あくまで『元』だ!
元底辺なので、慣れない戦闘で疲れた。
俺は、宿屋を求めて街へ向かう。
俺の横には、ガーネットがいる。
彼女はかわいらしい見ためだが、中身は魔王である。
なぜなら、ガーネットは魔王からおどりこに転生したらしい。
そんなガーネットは、ゆっくり進んでいる。
黒ローブで身体を隠しながら。
ローブの下に着ている、おどりこの衣装を見られたくないからだ。
「ロ、ロアス……。もっとゆっくり進めないのか?」
「無理だよガーネット。これ以上ゆっくり進んだら、日が暮れる。野宿になってもいいのか!?」
「野宿は、もうこりごりなのだ!」
「野宿やってたの?」
「い、いや、高貴なる魔王が野宿など……」
恐らく、いつも野宿だったんだろうな……。
二人並んで歩いている間に、いつのまにか夜になっていた。
まずいな、このままでは野宿確定じゃないか!
焦る俺の横で、ガーネットはあくびをする。
「ロアス、疲れたから今日はここで休むのだ!」
いやいや、それを野宿っていうんですよ!
「この黒ローブにくるまって寝ると、結構温かいんだ!」
ガーネットさん、野宿のプロだとお見受けする!
笑顔で地面に寝ころんだガーネットはハッとして、
「ち、ちがうのだ! 野宿は初めてなのだっ!」
「初めても何も、野宿は嫌だよ!」
「ま、まあ嫌だが余は疲れたのだ……」
「かといって、フィールドで寝るのも身体に良くないだろ!」
「そ、そうだが……」
「もし冒険者に出会ったら、フィールドなのに『魔王があらわれた!』って表示されかねないぞ!」
ガーネットはがばっと起きて、
「そ、それは大変なのだっ! すぐに街へ……で、でもっ!」
「俺の後ろにいれば、おどりこの衣装が見えないだろ! 真っ暗なんだし」
「さすがはロア……い、いや今回だけはほめてやるのだ……」
こうして、俺たちは走って街へ急いだ。
夜だから、街は静かだ。
明かりがついているのは、宿屋とバー。そして、道具屋のみ。
バーに行きたいが、手持ちが少ない。
今日は大人しく宿を取るか。
「ガーネット。あんま金ないから、今日は寝ようぜ!」
と言いつつ、ふり返るがいない。
どこ行ったんだよ!?
街を見回したら、大木の下にオレンジのセミロング少女が。
全く、ガーネットはあんなところで何やってんだよ!
俺は大木まで向かい、
「ガーネット、こんなところで何を?」
シュッシュッシュッ。
包丁を研いでるーー!
「ふはははっ、久しぶりの人間の街なのだっ! しゅうげき、しゅうげきぃー!」
叫びつつ立ち上がったガーネットは、天に包丁をかかげる!
めっちゃ襲撃する気満々なので俺は焦って、
「ガーネット! おどりこの衣装が丸見えだぞっ!」
「きゃっ! そ、そんな大声で言わないで……」
ガーネットが恥ずかしがってる間に、俺は包丁を奪い取った。
そして、俺も包丁を天にかかげる!
こうすれば、背の低いガーネットは届かないからだ!
「しゅうげきぃ、しゅうげきするのだぁ……」
泣きそうなガーネットに俺はため息をついて、
「はいはい、今日はもう遅いからやめようぜ!」
「ううっ……」
ガーネットは、つまらなさそうにうなずいた。
「ガーネット。宿屋に入る前に、ちょっと行きたいところがあるんだが」
「ま、まさか……。バーじゃないよな? バーで、余を踊らせるつもりじゃなかろうな!?」
「違うって。念のため、回復アイテムを買いたくてな。道具屋に行こう!」
「わかったのだ。バーで踊らないならいいのだ!」
ガーネットを連れて、俺は道具屋へ向かった。




