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ガーネット、おどる! 

 俺は、チートじゃなくなったので焦る。


 以前は、一切使えなかった魔法が使えたんだ。間違いなく、ポーションの効果はあったはず!


  そういえば、チートポーションは安かったからな。


 効果が短いのだろう。


 焦る俺に、じりじりとにじり寄る、平スライムと平ゴブリン。


 もうダメだっ! 剣を使っても、マッサージになってしまう!


 絶対絶命だっ!


 そう思った時だった!


 「貴様らっ、いい加減にするのだっ!」


 丘の上に誰かがいる!


 太陽の光で、シルエットになっている。が、この声はガーネット!


 「とうっ!」


 丘の上から飛んだガーネット!


 今度はうまく着地した!


 しかし、黒ローブがめくれておどりこの衣装が丸見えだ!


 ガーネットは慌てて、黒ローブで身を(おお)う!


 照れながらも、ガーネットは話す。


 「お、お前ら……。この魔王、ガーネット様の威圧(いあつ)で吹き飛べ……」


 恥ずかしがりながら言っても、迫力ないって!


 「はっはっは! 確かに、魔王様の威圧は強力だった! お前が、なぜそれを知ってるかわからない。だが、お前の威圧など怖くないぞ!」



 平ゴブリンは完全にナメている。


 ガーネットは怒って、


 「ならば、思い出させてやるのだっ! 威圧!」


 そよ風が吹いてる……。


 ガーネットは涙目になって、


 「ふええ……。なぜ出せないのだ!」


 今はおどりこだからだろ!


 「そか、今はおどりこだったのだ!」


 今さら納得するなっ!


 「で、でもおどるには……。お、おどりこの衣装を見せないといけないのだ!」


 耳まで真っ赤になるガーネット。今まで、よく生きてこれたな。


 威圧ができないと知られたとたん、ガーネットはピンチになる。


 平スライムと平ゴブリンは、ガーネットににじり寄る。


 泣きそうな女の子をほっとけない!


 俺はモンスターたちに向けて、石を投げた!


 「おい、お前らの相手は俺のはずだっ!」


 平スライムが鼻で笑い、


 「フン、ザコに何ができる!」


 「精一杯やるさ! ガーネット、危ないから俺の後ろに下がってろ!」


 ガーネットは、こくんとうなずいて従った。


 背後から、ガーネットがつぶやく。


 「あ、ありがとう……」


 俺はうなずいて、平スライムに斬りかかった!


 やはり、手応えはなし。ここで、終わるのか?


 諦めかけたその時ーー。


 「し、仕方ない。ゆ、勇者よっ! 余のダンスで応援するのだっ!」


 なんと、恥じらいながらもガーネットがおどりこの衣装をあらわにした。


 勇気を出してくれてありがたい!


 ガーネットはほおを赤らめながら、スカートをひらひらさせて踊る!


 女の子に応援されて、やる気が出てきたぞっ!


 俺がガッツポーズをしている間に、モンスターたちは体当たりをしてきた!


 あいかわらず、卑怯だなっ!


 俺には、そう思える余裕があった。


 だって、平スライムと平ゴブリンの攻撃がかゆい!


 これならいける!


 そう確信した俺は、全力で剣をふった!


 斬撃を受けた平スライムと平ゴブリンは、丘にぶつかり消滅(しょうめつ)した。


 ガーネットと二人きり。


 俺は精一杯感謝した。


 「ありがとう、ガーネット! 俺のために踊ってくれて!」


 「べ、別に貴様のためじゃないのだ! ピンチだったから……」


 プイとそっぽを向いた後、ガーネットは呟いた。


 「き、貴様……。名前は?」


 「俺はロアスだっ!」


 「そ、そうか……。しょ、しょうがないのだ。これからは、余の配下として働くのだっ!」


 「ああ、よろしく!」


 俺と握手をしたとたん、ガーネットはすぐに手を引っ込めた。


 それから、驚いた表情でおどりこの衣装を黒ローブで隠す。


 こんな感じじゃ、この先危ないよな。


 俺は、魔王ことガーネットと共にいることを誓った。

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