俺の魔法を利用される
チートポーションを飲んで、最強勇者になった俺。
戦う前に、なぜかネクタイをしているモンスターたちに疑問を抱く。
その時、スライムが緑の身体を震わせしゃべった。
「俺は平スライム!」
続いてゴブリンが、
「俺は平ゴブリン! この人間の女をさらう!」
そうはさせるかっ、と俺は身構える。
するといまだに伏せっているガーネットが、
「ス、スライムにゴブリン! この無礼者めっ! 余は魔王だっ!」
「嘘つけっ! 魔王様はナイスバディ! 貴様のようなガキじゃない!」
平ゴブリンが、ガーネットのおしりを踏みつける。
どうやら、転生前は女魔王だったことを信じてもらえないらしい。
続いて平スライムが、
「そうだっ、魔王様は偉大だった! ああ魔王様っ! なぜ……なぜなんですかっ!」
悲しむ平スライムに、平ゴブリンももらい泣きする。
「ああ、なぜなんですかっ! 魔王様っ! なぜあの時、生命保険に入ってくれなかったんですかっ!」
このゴブリン外道だっ!
「魔王様が保険に入ってくれてたら、我々も夏休みをエンジョイできたのにっ!」
スライムも、保険金を奪い取る気満々じゃん!
「魔王様、おかげで我々は平社員ですっ! 貴重なお時間を返して下さい!」
空をあおいで、ハモるスライムとゴブリン。
しかし、肝心の魔王は目の前にいるわけで……。
起き上がったガーネットの身体から、どす黒い殺気がメラメラとわき起こる!
モンスターたちは、ガーネットをにらみつけてハモる。
「なんだよ、女っ!」
「余がっ、魔王なのだっ!」
おおっ、ガーネットが戦うぞっ! 元魔王の力、見せてもらうぞ!
ーーしかし、ガーネットとモンスターたちは見つめ合ったまま動かない。
何ここ、体育館裏なの!? ガーネットは、両手に花を狙ってるの!?
いや、違う! ガーネットは黒ローブを羽織ったまま、ほおを赤らめている。
どうやら、おどりこの衣装を見せるのが恥ずかしいらしい。
しょうがないな。
チートポーションを飲んで、最強勇者となった俺の実力を見せてやる!
俺は左手に火の魔法、右手に氷の魔法を発生させた。
「さあ、モンスターたちよ! どっちを食らいたいんだっ!?」
めっちゃ、ビビっているモンスターたち。しかし、彼らにも作戦があるようだ。
「おい、平スライム! あの勇者はハンパない野郎だっ! こうなったら、のろしを上げて助けを呼ぼう!」
「名案! さすがは平ゴブリンだっ! しかし、のろしを上げるには火がいるぞ!」
「そうだな。どこかにいい火は……」
平スライムは、俺の左手に注目する。
「あ、あのー。すいませんが、ちょっと足下に火を放ってくれませんか?」
敵にねだるなっ!
平スライムがweb小説を書いたら、絶対にご都合主義のものになる!
でも、このまま殺してしまうのもかわいそうだ。
火くらいは放ってやるか!
俺は前方に火の魔法を放った! 草が燃えて煙が立ち上る。
「おい、これでいいだろ?」
ため息をつきながら、俺がモンスターたちにたずねた。
しかしーー。
前方にモンスターたちはいなかった。
恐れをなして逃げ出したかな?
と、気をぬいたその時!
目の前に、平スライムと平ゴブリンがいた!
「こんなに接近されては、魔法は使えないだろ!」
くっ、平ゴブリンめ!
その外道っぷり、今度から保険金野郎と呼ぶぞっ!
俺はやむなく、氷の魔法を消した。
それから、剣を抜いて平スライムに飛びかかった!
俺の攻撃!
しかし、平スライムには効かなかった!
俺の連続攻撃!
しかし、平スライムは気持ち良さそうだ……。
平ゴブリンはほくそ笑み、
「さっきはあんなすごい魔法を放っていたが、剣の腕はダメダメだなっ!」
どうしたんだ? 俺は確かにチートポーションを飲んだのに!




