悪魔と魔女のショートコント!
影男との戦闘に勝利した。……まではよかった。
俺は後悔する。ガーネットやランと、談笑している場合じゃなかったと。
俺は、ケルベロス社長を甘くみていた。
だって、ケルベロス社長はガーネットとランに簡単に捕まったから。
それに、逃げないようスケルトンが見張ってくれてる。
そう信じていた。
しかし、ケルベロス社長に逃げられてしまった!
そして、スケルトンは縛られている!
俺はスケルトンの下へ行き、
「スケルトン! 何があった?」
「影男が負けそうになったとき、ケルベロス社長が逃げ出そうとした!」
「ふむふむ」
「俺はゴールキーパーのように、必死に逃がさないよう守ったんだ!」
「それで、なんで縛られているんだ?」
「知らない悪魔と魔女が来た! 恐らく、社長が金で雇った奴らだっ!」
「そいつらに縛られたのか?」
「ああ、すまん……」
頭を下げるスケルトンにランがキレ気味で、
「縛り方が甘いですねっ!」
「そこにキレる!?」
「縄にも硬さ、コシが全然足りません!」
「ラーメンで人を縛るつもりかっ!?」
「違いますよっ! 縄を、ゆっくりと時間をかけて縛る。そしたら、固さやコシが生まれて……」
「完全にラーメンのノリだからっ!」
スケルトンがつっこむ。そんな中、ガーネットがスケルトンの縄をほどいた。
「ありがとう、ガーネット!」
「礼はいいのだ。それより、社長の逃亡先に心当たりがないか?」
「それなら大丈夫だ! 社長は、タクシーの運転手にこう言っていた」
「なんと?」
「バーに行くと! 街の方へタクシーが向かうのを、俺はハッキリと見た!」
「スケルトン、よく監督してくれた!」
「フッ。これからは、監督と呼ぶんだ!」
急に上から目線!
ランが元気よく、
「みなさん、監督に胴上げをしてさしあげましょう!」
やってる場合かっ!
ガーネットも焦って、
「ランにスケルトン! ふざけてないで追うぞっ!」
さすがは元魔王、仕切るな。
街は近いので、俺たちは走って向かった!
街に着いたとたん、俺たちを出迎える者がいた!
悪魔と魔女だ! 恐らく、さっきスケルトンが言ってた連中だな!
悪魔は俺たちに右手を出した! 魔法でも放つつもりか?
「待てぃ、勇者ども! 悪魔と魔女のショートコントを見ていけ!」
この悪魔たちは芸人かっ!?
魔女が高らかに言う。
「悪魔と魔女のショートコントだよぉ! 『結婚式』だよぉ」
悪魔と魔女は向かい合う。どうやら、神父役と新郎役を悪魔がする感じだ。
「健やかなるときも、病めるときも。あなたは、新郎・悪魔を愛すると神に誓いますか?」
「誓いません! 悪魔さん、あなたは神に誓いますか?」
「誓いません! って、結婚できねえじゃん!」
「どーも、ありがとうございました!」
……シラケる俺たち。
魔女が言い放つ!
「よし、スベったねぇ!」
なぜ喜ぶ!?
嬉しそうな悪魔が魔女を誘う!
「行くぞっ、魔女! 身動きがとれない勇者に、魔法を食らわせろっ!」
悪魔と魔女は闇の魔法を放った!
2つの巨大な暗黒球が俺たちに迫る!
スケルトンは恐れて、
「な、なんて巨大な暗黒球なんだっ!」
ガーネットは震えながら、
「あ、暗黒球など……。こ、怖くないのだ」
確かに、ものすごいエネルギーだっ! それも、2つ!
ふんばらなければ、チートの俺でも吹き飛ばされそうだ。
うおっ、ランが吹き飛ばされた!
俺は、ランを腹でキャッチする!
お姫様だっこをされたランは嬉しそうに、
「勇者様、がんばって下さい!」
俺の身体から力が溢れだす!
久々にきたっ! チート状態での応援! これが、『チートの限界突破』だっ!
俺の気合いだけで、暗黒球は消し飛んだ!
「悪いが、お前らに構ってる暇はないんだっ! 光の魔法!」
悪魔と魔女は、光に包まれて消えた。
いよいよ王手! ケルベロス社長のいるバーへ行く!




