ケルベロス社長流の戦い方
俺とパーティメンバーは、バーの前に立つ。
ここに、悪の親玉・ケルベロス社長がいるからだ!
「よし、突入するのだっ!」
ガーネットが、ロボットものの司令官っぽく叫ぶ!
俺たちは激安店の開店みたいに、入店した。
おばさんになった気分で、店内を見回す俺。
街のバーは、マスター以外みんな魔物だ!
そんな魔物たちは、カウンター席に座りながらこちらをにらんでくる!
なんか、全員がクレーマーに見えてきた!
そんな中、トイレが流れる音が聞こえてきた。
それと同時に、聞き覚えのある声がする!
「やあやあ、来たのかな」
ガーネットが叫ぶ!
「ケルベロス社長!」
「これはこれは、元魔王様。我が社から、わざわざ来られましたか!」
「ああ、走ってな!」
「それはご苦労様。まあ、一杯どうですか? 割り勘で」
「ふざけるなっ! 余の家来だった魔物たちを、こき使いおって!」
「こき使う? それが会社でしょ」
「余裕ぶってられるのも、今のうちなのだっ! ロアスはチートなのだぞ!」
「チート。それがどうしたのです」
「カウンター席にいる魔物でも、ロアスにはかなわないのだっ!」
「そうですか。勇者さんはさぞお強いのですね」
なんだ? ケルベロス社長のこの余裕は?
あっさり、ガーネットとランに捕まっていた。
だから、ケルベロス社長は強くないはずなんだが……。
俺が違和感を感じている最中ーー。
ゴブリンや悪魔、ガーゴイルなどの魔物たちがガーネットの前に立つ!
「おうおう、お嬢ちゃん! 今日はせっかく、社長のおごりで飲んでるんだ!」
チンピラ風のガーゴイルが言う。
続いてゴブリンが、
「気持ちよく酔ってるんだ! 邪魔しないでくれるか!」
最後に悪魔が、
「やっちまえ! って、俺のセリフこれだけ!?」
ガーネットに迫る魔物たちを、俺はすばやく斬り裂いた!
俺はケルベロス社長に剣を突きつけ、
「みんなに謝罪して、罪を償え!」
「そうはいかないね。だって、私は負けないから」
「なぜ、そんなに余裕がある? ステータスが低いことは、わかっているんだぞっ!」
「バレていたか。確かに、私はステータスが低い。だが、代わりに頭脳がある!」
「とか言いながら、右腕にかみつくなっ! 完全に、野生の本能丸だしじゃないかっ!
俺は左腕で、魔法を放とうとした!
しかし、突然脳内に銀行が浮かんだ!
銀行員が言う。
「すいません! 強盗にあいました! MP丸々盗まれましたっ!」
しっかりしろよっ!
今度は、銀行内に警察が入ってきた。
警察が俺に言う。
「すいません。どうやら、MPは密輸されたみたいです!」
どこまで行ったんだっ!
警察は深刻な顔で、
「アジトは海外にあります! 今、仲間の刑事があんパン片手に渡海しました!」
海を越えてもあんパンかよっ!
その刑事、無人島にもあんパン持っていきそうだなっ!
ともかく、チート切れだ……。
ケルベロス社長は俺の腕から口を離し、
「おかしいですね。かみつかれても、反撃しないなんて。まさか勇者さんはドM?」
「違うわっ! 俺がドM設定になる展開多すぎ!」
「違うと知ってますよ。全部、モニターで見てましたから!」
「まさか、チートが切れることも……」
「もちろん、知ってます。虫型ロボットが偵察してましたから!」
「くっ、全部筒抜けか……」
「はい。さらに、あなたが女の子に応援されると強くなることもね!」
ケルベロス社長はそう言って、一冊の本を投げた!
床に落ちた本を見て、ランがうめく!
「あっ、あれは! 『夜の忍法のすべて最終巻&オマケ付き』!」
ランは、食い入るように本を読んでいる!
ガーネットは怒って、
「ランよっ! 今はそれどころじゃないのだっ!」
しかし、ランは夢中で読んでいる!
ケルベロス社長は笑いながら、
「ムダですよっ! あの本には、魔女の呪いがかかってます! 読み終えるまで解けません!」
あのショートコントばあさんのしわざかっ!
ガーネットはケルベロス社長をにらみつけ、
「こしゃくなマネをっ! 相変わらず、卑怯な社長だっ!」
「ほめ言葉です。そうそう、元魔王様。あなたの応援も封じますよ!」
ケルベロス社長が二回ほえると、店の奥から魔物がたくさんやって来た!
「元魔王様。あなた、バーでおどるのは恥ずかしいでしょ? みんなに、見られながら!」
くっ、ケルベロス社長めっ!
わざとタクシーを呼んで、俺たちをバーに誘い込んだのは作戦だったか!
チートは切れて、女の子の応援もない……。
一体、どうすれば?




