お久しぶりです、魔王様!
「ロアス、どうして起こしてくれなかったのだっ!」
俺が宿屋に戻ると、元魔王の少女・ガーネットが怒っている!
でも、魔女っ娘姿のガーネットが怒っても怖くない。むしろ、ほほえましい。
「もう夜ではないかっ! 一日をムダにしたではないかっ!」
俺の胸ぐらに、しがみつくガーネット。そんな彼女に俺は一言。
「夜からが、魔王の時間だろ!」
「はうっ!」
核心を突かれたらしく、慌てるガーネット。
「あ、あのだな……。ま、魔王たるもの苦手な日中も克服して……」
俺の顔を、チラチラうかがうガーネット。
俺はほくそ笑み、
「克服? 夜のフィールドで、寝ようとしてたのに!? 本当は、お昼が大好きじゃないのか?」
「はううっ!」
ミニスカートをおさえながら、慌てふためくガーネット。
彼女の頭に、俺はポンと手を乗せた。
そして、大笑いする!
「もう、いつも通りロアスはいじわるなのだっ!」
ガーネットは、怒ったまま黒ローブを羽織る。
どうやら、魔王たるものミニスカート姿を見られたくないようだ。
ガーネットは、力一杯部屋のドアを開ける!
「ロアス! バツとして、夜の散歩に付き合うのだっ!」
俺はまた大笑いして、
「一人じゃ怖いのか?」
「け、けけ決してそんなことはないのだっ!」
「はいはい、じゃあ行こうか!」
俺とガーネットは、部屋の外に出た。
その瞬間ーー。
「こんばんは、勇者様!」
よく見知った顔が!
「や、やあランじゃないか!」
ガーネットは俺とランを交互に見て、
「もしかして、生き別れの兄妹か?」
泣ける映画かっ!
どういうプロットを組み立てたら、そういう設定になるんだっ!
疑ってそうなガーネットに、ランが質問をする。
「あら、どうして兄妹だと思われたんですか?」
「二人とも、エッチそうだから!」
一緒にするなっ! ランは次元そのものが違う!
俺は咳払いをして、
「ランよ、何か用か?」
「いえ、勇者様の忘れ物を届けようと……」
「そ、それは俺の剣! ありがとう、嬉しいよ!」
「いえ。太くて固ぁい勇者様の剣、を返却したまでですよ!」
「いちいちエロいなっ!」
「あら、勇者様もお好きなくせに……。まあ、いいでしょう。それより、勇者様」
「な、なんだ?」
「お隣にいらっしゃる可愛らしい方は、妹さんですか?」
なんで絶対『妹』なんだよ! 俺のキャラ設定はシスコンなのか!?
おおっ、ガーネットが口を開くぞ! 俺のシスコン説を否定してくれ!
「ロアスは、この魔王・ガーネットの家来なのだっ!」
ランはメガネを光らせて、
「家来……。つまり、お二人はSM仲間なんですか?」
Mは俺かよっ!
まずいぞっ!
このままでは、俺のステータスが『勇者』から『ドM男』に切り替わる!
焦る俺に、ランは口を半開きにした。
まさか、『あなたの女王様にして下さい』って言うんじゃないだろうな!
俺がドキドキしていると、ランが告げた。
「勇者様。あなたの……」
やっぱりだっ! 俺の予言者として才能が開花された!
「あなたの……SM仲間にして下さい!」
ランが仲間に加わった!
よかった、てっきり女王様と……。
いや、待てよ!
「ラン、ひょっとして女王様をやりたいとかじゃないよな?」
「さすが勇者様! よくわかりましたね!」
やっぱりだっ! 尻にしかれそう!
ランはガーネットを見て、
「魔王・ガーネット様! 私が、女王様役をやることをお許し下さい!」
「今度の文化祭の話か?」
一人だけ解ってねえ!
何だかんだ、仲間が増えた。
勇者としての仕事、魔物建設
(株)からこの街を守ろうじゃないか!




