禁断の合言葉
俺とガーネットは、必死に部屋を探す。
迷路みたいに入り組んでいるので、歩くだけで疲れる。
「えっと、ここを右だな」
地図を頼りに進んでいく。
まてよ。ここを右へ行ったら、落とし穴があるな。左へ行けば火あぶりで。真ん中は針の床が……。
あの女将っ、殺す気だっ!
ん? 地図にヒントが書いてある。
ふむふむ、看板のアドバイスを読め。
おっ、俺の真横にちょうど立て看板がある。
俺は、期待しまくりで看板を読んだ。
『この先、安全です!』
どこがだっ! 閻魔に舌を抜かれるレベルの嘘だぞっ!
悩む俺に、ガーネットが貧乳の胸を張って言う。
「ロアスよ。この看板は、裏にも文字が書いてある! 『嘘だよ』って!」
「すごいな、ガーネット! 見てもないのに、よくわかったな!」
「この看板は、元々余の城でダミー用に使われてたものだ!」
自慢げに元凶は自分だとさらすなっ!
「待てロアス! この地図には、見覚えがある! 余の城と同じだっ!」
あの女将っ! 徹夜で、魔王の城を攻略させる気かっ!
俺がいら立っていると、ガーネットは別のことに腹をたててる。
「おのれっ、余の城をパクったな! 著作権侵害で、訴えるぞ!」
そもそもあるのか、著作権!
「この針の床、落とし穴など悩みぬいて設計したんだぞっ! 勇者除けのために!」
ネズミ除けみたいに言うなっ!
つっこみつつも、ある思いが俺はふとよぎった。
「そうか、それじゃあ大丈夫だな!」
「どうした、ロアス? 何が大丈夫なんだ?」
「ガーネットの城がモデルなら、攻略法が解るだろ」
「おおっ、ロアス! それもそうだな!」
「よし、さっさと攻略しようぜ!」
俺が元気よく言ったら、なぜかガーネットは固まった。
「どうした、ガーネット?」
ガーネットの顔が、急に真っ赤になってる。俺は心配になって、
「大丈夫か、熱でもあるのか?」
「い、いやその……。は、恥ずかしいのだっ!」
「何が?」
「か、かつての部下が考えた合言葉が!」
「でも、言ってくれないと眠れないぞ」
「そ、そうなのだ!」
ガーネットはつばを飲んで、
「じゃ、じゃあ言うぞっ!」
「頼むぞ!」
俺がガーネットに信頼を寄せた時、
「おーい、ガーネットちゃーん! 下着代を忘れてるよ!」
奇跡的なタイミングで、服屋のおっさんが現れた!
野次馬が現れたことにより、ガーネットはよりいっそう恥ずかしがる。
完熟トマト並みに顔が真っ赤だ!
「ロ、ロアス! 言うしかないのかっ!?」
「悪いな、ガーネット! 言ってもらわないと、徹夜になってしまう」
「ふええっ、それも困るのだぁ!」
俺とおっさんが見守る。
その最中、ガーネットはうつむきながら合言葉を言った。
「ねえん、今晩は余を襲ってぇ! 胸の谷間で、がんばってるお前を応援するからぁ!」
うおっ、なんか力がみなぎってきた!
おっさんも元気になったらしく、
「ガーネットちゃん、積極的だな!」
「ふ、服屋よ! 誤解だっ! これは合言葉で!」
「よし、ガーネットちゃん! 今夜は普通の下着じゃあダメだっ! しっかり勝負しなさい!」
「ふえっ! にゃ、にゃにを言っているのだっ!」
「勝負はやっぱり赤だろ! さあ、これで勇者くんと熱い夜を!」
「ふええっ、こんな下着。恥ずかしいのだぁああ!」
トラップが消えた地下を、ガーネットは走って逃げる。
これで、ようやく泊まれそうだ! しかし、身体中から力があふれてくる!
今夜は、徹夜になりそう!




