宿屋に泊まりたいが、ダンジョンになっているので部屋を見つけなければならない!
俺とガーネットは、宿屋に入った。
モンスターと連戦したので、それなりに金はある。
宿屋の若女将らしき人が、
「そこのお兄さん。ご飯にする、それとも私とお風呂?」
いきなり、いかがわしい質問!
なぜかガーネットはムッとして、
「余たちはお疲れなのだっ! もう寝るのだっ!」
若女将は嬉しそうに、
「じゃあ……、そこのお兄さん。私と寝る?」
喜んで!
やはり、ガーネットはイライラしている。
「ロアスはお前なんかとは寝ないのだ! いいから、部屋に通せ!」
まるで、戦国大名のような物言い!
若女将はそれでも笑顔で、
「二名のバカップル様を、地獄の底へご案内しまーす!」
発言に本音が現れてる! 断られたことを本気で根に持ってるな!
若女将に案内され、階段を降りる。
「これから、地獄……。いえ、地下へ向かいまーす!」
若女将の笑顔が逆に怖い!
俺とガーネットは、階段を降りて地下についた。
その瞬間、若女将が告げた!
「いらっしゃいませ! お客さま!」
今さら言うんかい! 普通、玄関で言うだろ!
眠いのに、余計なつっこみでMPが枯れた……。
そんな中、若女将が言う。
「私と寝ないコースを選ばれたお二人様。代わりに、こちらのコースを用意しました!」
なんで、宿屋なのに地図とコンパスを渡すんだよ!?
「このコースをご説明いたしまーす! まずは、コース名から。『宿屋に泊まりたいが、ダンジョンになっているので部屋を見つけなければならない!』」
早く寝たいのに、コース名だけで長ったらしい!
うんざりする俺に、若女将は笑顔で告げる。
「それでは、楽しいゲームをどうぞっ!」
悪意しか感じねえ!
若女将は何か思い出したように、
「現在、深夜ニ時のショータイムをご用意しております! 松・竹・梅の中からどうぞ!」
若女将は、カタログを見せてほがらかに言う!
「梅は五寸釘、竹は七寸です!」
俺たちをわら人形で呪うつもりだっ!
「ちなみに、一度部屋に入ったら、一階に戻ってはなりません。私の部屋は決して、のぞいてはいけません!」
何、このホラーゲームをプレイしてるようなセリフ! おそろしや、この若女将!
「トントンと聞こえても、決してのぞいてはなりません!」
ツルの恩返し風に、呪いの儀式を説明したっ!
「では、ごゆっくり~」
それは、部屋まで案内してから言ってくれ!
しっかし、薄暗い所だな。一階は普通の宿屋だったのに……。
「ガーネット、とにかく進むぞ!」
俺がふり返ると、おっさんがいた。
まさか、ガーネットがおっさんに転生したんじゃ?
俺は、おっさんに恐る恐る質問してみる。
「お、おい……ガーネットじゃないよな?」
「ガーネット? ああ、さっきの女の子ですか?」
よかったーっ。このおっさんは、ガーネットじゃなかった!
安心した俺に投げかけられた言葉。
「ガーネットとかいう女の子は、僕の部屋にいますよ!」
週刊紙に載りそうなほどの爆弾発言! このおっさん、一体何者なんだ!?
俺が警戒していると、おっさんは続ける。
「いや、僕は怪しい者じゃないんです。僕は服の行商人です!」
服の……まさか!
「いえね、僕がトイレに行こうと部屋のドアを開けたんです。その時、ガーネットさんに入り込まれて……」
ガーネットは、おどりこの衣装を嫌がってたからな。
俺がそう思っていると、目の前の部屋からガーネットが出てきた。
「い、一番マシな服を試着したのだ。これは、いくらだ?」
とか言いながらも、黒ローブで身体を隠してる!
おっさんも困り顔で、
「あ、あの……。黒ローブで覆っていたら、どの服かわかりません」
ガーネットは顔を真っ赤にしながら、
「で、でもっ」
俺もおっさんに味方する。
「ほらガーネット! 見せてあげないとわからないだろ?」
「う、うう……」
ガーネットは、目を閉じながら黒ローブをはだけた。
ま、魔女っ娘の服! しかも、ミニスカートだ!
「よ、余はドレスしか着たことないから……。あ、脚がスースーするのだ……」
恥ずかしがりながらも、おっさんにお金を渡すガーネット。そして、おっさんから逃げるように言う。
「ロ、ロアス! 早く部屋に行くのだ!」
「そんなに俺と寝たいのか?」
「なっ!? ち、違うのだ!」
腕をふって走り出したガーネット。しかし、すぐに黒ローブで身体を隠しながら走る。いや歩く。
俺はほほえみながら、その後を追った。
再び、俺たちの部屋探しが始まった。




