魔物建設(株)の業務内容
外がやけに騒がしい。
俺は、工事中っぽい音で目が覚めた。
昨夜は、めちゃくちゃ目がさえていた。
だが、やはりベッドの上は気持ちよかったので寝てしまった。
俺が起き上がろうとしたらーー。
「くまさん大好きなのだぁ!」
ちょっ、ガーネット! 寝言を言いながら、俺を抱きしめるなっ!
「くまさんはかわいいから、なでなでするのだぁ!」
……なんか、和む。
おっと、ほわほわしてる場合じゃない。一体、外では何が起きているんだ?
と、とにかく抱きついているガーネットを起こさないと!
「くまさんにキスするのだぁ!」
うおっ、ガーネットが抱きついたままキスを……。
その時、ドアが開く音がした。
宿屋の女将があらわれた!
「勇者のお兄さん! 大変……いや、変態!」
語感めちゃくちゃいいセリフ!
「勇者のお兄さん、朝ちゅんですか!」
「ち、違うんだ女将! ガーネットは変な夢を見てるだけだ!」
「まさか、睡眠薬を飲ませて……」
「俺はどんだけ計画的な変態なんだっ! 俺が、そんなに変態だと思うかっ!?」
「ええ……ろい」
「その返事で、女将の思考がよくわかったよっ!」
「まさか、超能力!?」
「もう、あれだ。女将と話してると、ムダに人生削られる! 外で何があったんだ?」
「そう、外が変態……いや大変なんです!」
「無理に語感を意識した前置きはいいから! 簡潔に述べよっ!」
「敵が来てね!」
「だから、無理に語感を意識するなって! カタコトの外人みたいだから!」
「ヤバいね! 勇者サン、何とかしてホシイネ!」
俺は無視してかけ出した!
女将のあの物言い、恐らくモンスターが襲撃してきたな!
宿屋を出ると、案の定モンスターたちがいた!
やはり、襲撃に……。いやいや、工事してるよっ!
「さあ、今日もいい汗かこうぜ!」
ヘルメットを被ったスライムがそう言う。モンスターたちは、「おう」と叫ぶ!
「ちょっと待った!」
俺が叫んだら、モンスターたちはいっせいにこっちを見た!
俺は続けて叫ぶ!
「お前らっ! ここで、何をしてるんだっ!?」
「その質問……。あんた、勇者の格好をした警官か?」
「職質じゃないからっ、ヘルメットゴブリン!」
「ヘルメットゴブリン? 違う。我が名は、ゴブリンメットだっ!」
「似たようなものだろっ! まあいい、ここで何をしてるんだ?」
「言ったら見逃してくれるか?」
「事と次第によっては……」
「じゃあ、言うぞ! 我々、魔物建設(株)の仕事内容を!」
「もったいぶるなっ! CMを挟むわけじゃないんだぞっ!」
「人間の街を破壊して、魔物の街を建設する! よし、見逃してもらえる!」
「待て待て、無理だから!」
「無理? じゃあ、力ずくでもやらせてもらうぞっ!」
モンスターたちは、ドリル片手に襲いかかってきた!
しかし、俺は手のひらに巨大な火の玉を発生させた!
それを敵に投げつける!
あっさり掃除完了!
黒こげのゴブリンメットは、震える手でスマホを持つ。そして、電話を始めた!
「ぶ、部長……。すいません、救援願います!」
部長だと! 早く、ガーネットを起こさないと!
これは厄介なことになったぞ!




