盗賊たちの尋問
ドロスが雇った冒険者たちが盗賊たちを尋問していた。
だが、自分たちはただの盗賊だとなかなか口を割ることはなかった。
このままだと、黒幕までは暴かれることはなさそうだ。
盗賊たちはどのみち犯罪奴隷に落ちることは決定している。
そうなると……わざわざ庇う必要もないだろうが、庇わなければいけないほどの理由があるということだろうか。
「あぁーもうわかったわ。私がやるわよ」
リリは冒険者たちがやっているのを見て埒が明かないと思ったのか自分が尋問すると言い出した。
「お嬢さん、助けてもらったのはありがたいが、盗賊の尋問なんてのはお嬢さんにはまだ早いよ」
だが、リリがやると言い出すと最初に捕まえた盗賊がガクガクと震えだす。
「冒険者のお兄さん、悪いけどそこの盗賊さんは私の方が怖いみたいよ。ねっ盗賊のお兄さんはどっちがいいの」
「そっそりゃ、そっちの若いお兄さんの方がいいに決まっているだろ」
「ほらね。盗賊のお兄さんもこう言ってることだし」
盗賊のお兄さんの顔が真っ青になり自分がいま失態をおかしたことを理解したようだった。
「とりあえず、私に任せてもらえるかしら?」
「そこまで言うなら……任せるけど」
冒険者のお兄さんは納得できないと言った感じだったがしぶしぶ譲ってくれた。
「ドラ、悪いんだけど一応リリの方を見といて」
「はいよ。リリが暴走しないように見張っておくわ」
「なによ。失礼ね。ちゃんと私だって加減を知っているわよ」
リリが腕まくりすると、最初に捕まえた盗賊が震えだし、
「わっわかった。頼むよ。あれはもう辞めてくれ」
とリリに懇願しだした。
リリが一体どんな方法をしたのはわからないが、それからその盗賊は堰を切ったように話し始めた。一人が話始めるとあとはもう他の盗賊たちも止まらなかった。
盗賊たちが言うには、世界を救うと予言されていた可能性のある子供たちを集めている組織があるとのことだった。
その組織の全容は男たちも金をもらっただけで知らないらしいが、世界的に子供の誘拐事件をおこしているらしい。
今回の襲撃以外にも狙われた子供たちがいるとのことで、僕たちが次の目的地にしていたペイドンの街に子供たちがいったん集められるということだった。
ペイドンは交通の要所の街だ。そこからまたどこかへ移動するらしいが、それ以上は知らないらしい。
そんなに一度に誘拐事件が起きて大丈夫なのかと思うが、誘拐事件は全部ヴァンパイアがやったことにするらしい。そのためにヴァンパイアがやった証拠まで捏造するとのことだった。
特にペイドンはヴァンパイアの伝説が色濃く残っている街なので、実際にヴァンパイアが絡んでなくてもヴァンパイアを犯人にしたてた誘拐事件が多々あるとのことだった。
そんなことをが許されるわけがない。
ヴァンパイアは人の前にでてこられない種族だ。
もちろん、人の血を非合法に吸うことは許されないことだと思うが、謂れのない無実の罪を押し付けていいはずはない。
意見を言えない者が損をするような社会が正しいはずないのだ。
「それでいつ? どこで待ち合わせ?」
「俺たちは、そこの子供を手に入れたらペイドンの街の南側にある倉庫で待ち合わせだった。小鳥のお宿っていうさびれた宿の反対側だ。あそこはなんであんなところに宿屋を作ったのかわからないくらい寂しい場所で人も滅多に近寄らない」
「本当に。ほとんど人なんて泊まっていないのによくやっていけているもんだよな」
よほど寂しい宿屋なのか、捕まっている盗賊たちに同情されていた。
「門はどうやって通り抜けるつもりだったんだ?」
「南側の門番にはすでに金を握らせているから、あとはそのまま入るだけだ」
「その倉庫には他の街で捕まえた子供たちも連れて行くのか?」
「あぁそうだ。だけど、ミッションを失敗したらそこへは行かないことになっている。ミッションを成功できない奴は報酬がでないからな。まぁわかるだろ? 失敗した時点で殺されるか捕まるかだから、そこへくるってことはスパイ以外の何者でもないとみなされ殺されるだけだ」
「どうにかして、そこに潜り込むことはできないのか?」
「子供を連れていけばできないことはない。だけど、その子供の危険度は増すぞ。俺たちはただの下っ端だが俺たちが口をつぐんでしまうほどのすごい剣士がいるんだ。そこの嬢ちゃんとだって互角に渡り合えるかもしれない。俺たちはまだ死にたくないんだ。頼むよこれだけしゃべったんだから見逃してくれよ」
リリは剣星と呼ばれるくらい剣の腕はある方だ。
もちろん、盗賊たちには本気では相手していなかったと思うが……。
リリのように強い剣士か。戦いたくはないが子供たちが誘拐されたまま放置しておくことはできない。何か策を考えないと。




